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日々の恐怖 3月20日 仕出し(3)

2017-03-20 19:44:52 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 3月20日 仕出し(3)



 俺は、

「 ええ覚えてますよ、よく俺もありがたくいただきましたから。」

って答えた。
 そしたら、親父さんが言うんだ。

「 教えてあげるよ、ひとつ配達で多いのは、この店の常連さんが亡くなった時なんだ。」

そして、親父さんが言うには、あとはなぜか男の人だと言うこと。
女の人の時は、そういうことがないらしい。
 それで、さらに親父さんが、

「 覚えてるかい?
一個多い時は、必ず戻ってきた時にAちゃんに塩かけてたろ?
きっと、この店の味が恋しくて付いてきちまってるから、やってたんだよ。
俺としちゃあ、死んでも食いたいと思ってくれるなんて、ありがたいけどね。」

そういえば、そうだった気がする程度で、俺は全然覚えていなかったけれど、

“ そうだったのか・・・・・。”

と、妙に納得した。
 閉店少し過ぎまで飲んで帰ったけれど、帰り際に親父さんと友達に、

「 俺が死んだ時も、夜食の数は増えるかもね。」

って言ったら、

「 お前の通夜の時は、もったいないからひとつ減らして持ってくよ。
でも、それだとAは化けて出てきそうで嫌だね。」

なんて笑われた。
 今でもうちの嫁さんには、

「 あんたが死んだら、きっと食べたがるだろうね。」

なんて笑われる。











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