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「インターステラー」を観てきた

2014-11-28 09:00:00 | (相)のブログ
 先日、クリストファー・ノーラン監督の最新作「インターステラー」を都内の某映画館で鑑賞した。
 SF、宇宙、ノーランと個人的に好みの要素が3つも揃った作品とあって、「これは観るしかあるまい!」ということで、公開3日目にして劇場へ足を運んだ。
 物語のあらすじは以下のとおり。
 地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進む近未来。人類を救うためのミッション―新たに発見された宇宙のワームホールを利用し、人間が居住可能な新たな惑星を探す―が秘密裏に進められていた。元エンジニアの主人公(マシュー・マコノヒー)は、生きて帰還できるかわからない困難なミッションの遂行チームの一員に抜てきされる。葛藤の果てに、主人公は家族に「必ず帰ってくる」と約束し、宇宙船へと乗り込む。人類の限界を超え、不可能にも思える史上最大のミッションのため、前人未到の未開の地へ旅立った一行は、自らの使命を全うし、愛する家族の元へと戻ることができるのか…。

 鑑賞の感想としては、期待にたがわぬ出来で、たいへん楽しめた。3時間弱の上映時間にもかかわらず中だるみすることなく、視線は終始画面に釘づけだった。ブラックホール、ワームホール、事象の地平線、ウラシマ効果といった宇宙物理学の専門概念がてんこ盛りのハードなSF作品だが、難しいことはわからなくとも、父と娘の親子愛を描いたヒューマンドラマとして充分楽しめる。圧巻の映像だけでも観る価値はある。
 作品をテーマを一言でまとめるなら、「愛は時空すら飛び越える」。文字にすると何だか陳腐だが、作品を観てもらえれば私が言わんとすることが理解できると思う。重力と時間という重厚なモチーフに人類の存続という壮大なテーマを載せて、宇宙空間を舞台にした一級のエンターテインメントに仕立てつつ、最後は父と娘の人間愛のドラマに着地させる演出の手腕は見事。

 人によって評価は違うだろうが、私は率直に言ってノーラン作品が好きだ。「メメント」「ダークナイト」「インセプション」などなど―。シリアスで人間心理を追求した作風、意外性のある設定と練り込まれた脚本、CGを極力排して実写にこだわった映像は何度も作品を見返したいという思いを掻き立ててくれる。
 今年初めの「ゼロ・グラビティ」に続いて今回の「インターステラー」と、個人的には今年はSF映画の当たり年だと思う。(相)
 



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2 コメント

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無題 (ブラウ)
2014-12-03 11:07:04
最近よくテレビCMで見かけるSF作品ですね。

CMからはどういうお話なのかがほとんど汲み取れなかったのでほとんど無視していたんですが、(相)さんのレビューを読み、宇宙を「触媒」として語られる「人間と世界についての物語」だと理解しました。

こういうタイプのSF映画は私も好物です。といっても、似た主題性を持った先行作品は、ロバート・ゼメキスが1997年に撮った「コンタクト」ぐらいしか寡聞にして知りません(こちらもたいへん良作でした)。
「コンタクト」から「インターステラー」の公開まで、ほぼ20年が経っています。この領域のSF作品がいかに稀少で、なおかつあまり省みられていないかの証左でしょうね。

…って、よく見ると主演がマシュー・マコノヒー? この人「コンタクト」でも準主役でしたね(ジョディ・フォスター演ずる主人公の天文学者が、深宇宙へと旅立つのを送り出す恋人にして宗教学者。今度は自分が行くのか。笑)。彼自身こういうタイプのSFが好きなのか、ただの偶然なのか…(笑)。

とにかく、これはぜひ劇場に足を運んででも観るべき映画のようです。情報ありがとうございました。
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Unknown ()
2014-12-08 21:44:33
ブラウ様、コメントありがとうございます。返信遅れてしまい、申し訳ありません。
「インターステラー」、ぜひ劇場に足を運んでみてください。たぶん、観て後悔はしないと思います!
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