日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

通勤電車の中で

2018-06-01 10:00:00 | (愛)のブログ
東京で電車通勤をしていると、電車の中では様々なことが起こりうる。
特に優先席付近では、乗る人の性格などがもろに垣間みえることが多い。

先日、こんな光景に出会った。
少し混雑している平日の夜、
優先席は高齢者の方とスマホゲームをしている若者サラリーマンが座っていた。
その前にはお父さんと10歳位の女の子と5歳位の男の子の親子連れ、
そして妊婦マークをつけている女の人が立っていた。


結構混雑していたので、男の子はお父さんの足にしがみつきながらも頑張って踏ん張っていて、
お姉ちゃんは弟君らしき子をサポートしていた。
途中の駅で、高齢者がひとり降り、親子連れの前の席が空き、
お姉ちゃんは弟君を膝に抱っこしながらその席に座った。
混雑に揉まれていた男の子もホッとしたようだった。

すると、お姉ちゃんが何かはっとしたような顔をして、弟君に耳打ち。
その後、妊婦マークを付けている女の人に、
「ここ、どうぞ座ってください」と言い、弟君と一緒に立った。
女の人は「ありがとう。でも、弟君も小さいし、立っていると危ないから大丈夫だよ」と遠慮すると、
女の子はまたこう言った。
「私たちすぐ降りるので、大丈夫です!どうぞ」と。
女の人はそこで、「そう?じゃあありがとう」と座った。

そのやり取りの前方にはひたすらスマホゲームをするサラリーマンが座る…。

次の駅で親子連れは降りるのかな?
と思いきや、全く降りなかった。
むしろ4、5つ後の妊婦さんと同じ駅で降りたのだ。

そう、女の子は「善意の嘘」を付いてまでも、妊婦さんに席を譲ったのだ。
まだ幼いのになんてすごく優しい子なんだろうと、感動してしまった。
あの女の子はきっと素敵な女性に成長するんだろうな、と内心思った。

こんな完璧な「善意の嘘」を見ることも稀になく、
すごく良いことに出逢った感覚だった。

疲れが目立つ通勤電車でも、
人の心の優しさに触れることができるこういう光景に出会うと、
少し胸がほんわか温かくなる。(愛)
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