日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

旅するカメラ

2016-11-28 10:00:00 | (理)のブログ

(上野彦馬賞HPより)

 先日、「上野彦馬賞受賞作品展」に行ってきました。上野彦馬賞とは、若い写真家の発掘と育成を目標としたフォトコンテストで、幕末から明治にかけて長崎で写真館を営んだ実存する人物の名を冠したものだそうです。
 今年は一般部門705点、高校生・中学生部門5454点、ファミリー部門124点、合計で6283点が全国から集まり、その中から選ばれた作品が会場に展示されていました。

 シンプルで静かな会場に、等間隔で受賞作品が展示されています。そのような雰囲気もあってか、一つひとつの写真の前に立つとまるでその場に吸い込まれるような迫力を感じました。メッセージ性のあるものから、中にはホッとさせられるものまで、素敵な写真がたくさん。こんな賞と展示会があるということを、今回初めて知りました。
 なぜ私がこの賞を知ったかというと、なんと来年の1月号からイオで連載を担当して下さる方の作品が展示されているからなのです。上の写真で右下にあるのが、フリーフォトジャーナリスト・板谷めぐみさんの作品です。以下は板谷めぐみさんの、受賞作品についての文章です(ご本人のブログより)。

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タイトルは『邂逅~辺野古より~』
辺野古キャンプシュワブで60年代米兵として従軍していたケンマイヤーさんと、
当時沖縄戦が終わりシュワブ基地内で働いていた、今も辺野古の座り込みをしている文子さんの約60年以来再会の場面でした。
タイトルにはあえて元米兵をいれませんでした。なぜ、ケンマイヤーさんは軍隊や戦争に疑問を持つようになり、元米兵がなぜ米軍基地を反対しているのか?
元軍人と基地内で働いていたという立場を超え、平和な未来を目指すという同じ目標になった時同じ人間としての瞬間を感じていただけたらと思いまして。
皆様に見ていただければ、本望でございます~~!!!
よろしくお願いします!!!!!!!!
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 タイトルにある「邂逅(かいこう)」という言葉を調べてみると、「思いがけなく会うこと、めぐりあい」という意味でした。見れば見るほど、この二人と、二人を取り巻く大きな物語が迫ってくるようで、作品の前にじっと立ち尽くしてしまいました。

 板谷めぐみさんがどんな方なのか、イオでは何について書いて下さるのか。それは1月号以降のお楽しみです。

 作品展は入場無料。東京では12月4日まで行われるほか、来年も日本各地で巡回するみたいです。日程とHPは以下。写真はHPでも見られますが、パネルで大きく展示されたものを見るとやはり強く印象に残ると思います。ご興味のある方はぜひ足を運んでみて下さい。(理)


●上野彦馬賞
http://www.kyusan-u.ac.jp/relation/hikoma/2016_sakuhin/index.html

【2016年】
11月26日~12月4日 東京都写真美術館
【2017年】
2月7日~12日 鹿児島市立美術館
3月22日~4月2日 小倉井筒屋パステルホール
5月23日~28日 長崎県美術館
9月10日~21日 北海道東川町文化ギャラリー