Friends of Valves 自作真空管アンプ

自作真空管アンプを中心にいろいろ載せていきたいと思います。

800ダイナミックカップリングシングルアンプ(ノイズ対策)

2023-10-22 17:02:00 |  800シングルアンプ

800シングルアンプ完成後、少し気になっていることがありました。それは、片方のアンプでノイズが少し大きく、スピーカからはハムが聞こえてくるのです。

スピーカ端子にオシロを接続し、確認してみると約4.5mVほどもあります。

そこで、この原因がどこにあるのか確認し、その対策を行いました。

まずは、ノイズはどこから出力されているのか、確認してみたのですが、どうやら前段の出力端子から結構大きな出力が出ています。

入力をショートした場合に上記のようにカップリングコンデンサの出力を確認したのが下記になります。

前段の出力で瞬時値で2Vもの出力があります。

そこで、前段の球のヒータからハムが入っているのかを疑い、ヒータの片側をアースしたりしてみたのですが、全く効果なし。

入力段からノイズが入っているのかはグリッドをショートしているので、これも関係なし。しかも、このくらいはっきりした波形なら、ハイインピーダンスの部分から入ってきたノイズではなさそうです。

そこで、ちょっと回路とにらめっこです。

本アンプの回路は上記のような回路になっており、800のプレートと入力段のプレートが接続されているので、800の出力が入力段回り込む形となります。であるなら、一番疑わしいのは、800のフィラメントから出力されるハムではないかと考えました。

写真を撮り忘れたのですが、800のフィラメントのリップルは瞬時値で約70mVほどありました。

フィラメントの整流回路は、トランスの巻線の出力をブリッジダイオードで整流し、15,000μFの電コンで平滑しています。そこで試しにもう1つ15,000μFを追加してみると、40mVぐらいのリップルとなりました。

この状態で、スピーカ端子のノイズを確認してみますと・・・

見事、半分くらいのノイズに減りました。原因は、800のフィラメントのリップルから出たノイズだったようです。

これでスピーカからはほとんどノイズは聞こえなくなり、一応めでたしめでたしとなりました。

追加したコンデンサは、下記のように他の配線とともに整理して取り付けておきました。

おしまい。

 

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800ダイナミックカップリングシングルアンプ(石転がし)

2023-10-01 18:33:43 |  800シングルアンプ

昨日は、出力管800にダーリントン接続するトランジスタについて記載しましたが、このトランジスタで音質が結構変わるので、今日は”球転がし”ならず、”石転がし”をしてみました。

転がしてみる石は、手持ちにあるIGBTです。IGBTは、たまにオークションなどで出ていますが、人気がないのかあまり高額にならず入手できる場合があり、3種類が手持ちにありました。

手持ちは下記の型番です。

左から、下記になります。

(1)RJH60D0DPK

メーカはルネサス、用途はインバータ用です。入力容量は、1000pFです。

(2)40N120

メーカは、IXYS?というところか。よくわかりません。用途は、英語でいろいろ書かれていますが、(1)とほぼ同様、スイッチング用ではないかと思います。入力容量は、2000pFのようです。

(3)GT40T301

メーカは、東芝。用途は、並列共振スイッチング用とあります。入力容量は、2900pFです。

ところで、昨日のブログでは、IGBTを使用した場合、歪っぽい音質と記載しましたが、その後、出力波形を確認したところ、出力がきちんと出ておらず、なんとIGBTが壊れて小出力で波形がクリップしていることが判明しました。IGBTを取り換えると正常に動作しました。

アンプは、石をとっかえひっかえするので、石の端子はコネクタに接続できるように改造しました。

準備が整い、音質を確認したところ、一番良かったのは・・・

なんとこの(1)の石でした。他の石はやや大味な音質でしたが、この石は、音がおとなし目でありつつ、またしっかりと締まり落ち着いたきれいな音がしました。

この石で次回のオフ会に臨むか、色々な石の音を確認できるようにセットして、皆さんの意見を聞こうかと思います。

 

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800ダイナミックカップリングシングルアンプ(12)

2023-09-30 22:03:54 |  800シングルアンプ

800ダイナミックカップリングアンプですが、完成したものの電力効率が思わしくない旨について、前回記載しました。

そこで、今回はこれを改善すべくいろいろ試したうちの1つを記載したいと思います。

800ダイナミックカップリングの(9)回目の記載で、終段回路の接続方式について検討しましたが、これで下記の(3)の回路がびっくりするような特性だった(が、さらっと流した)と記載したかと思います。

そこで、この(3)の回路でいろいろ実験して見ました。確認したのは、純粋に出力と音質になります。なお、オシロでの確認では、負荷を純抵抗の8Ωとし、1kHzの正弦波で確認しています。また、800のプレートには325V、100mAを印加しています。

まず、(2)の回路がダイナミックカップリングの標準回路としていますが、この回路の場合、下記のような最大出力になります。

出力が、7.2Vでクリップしています。最大出力は、約3.5Wです。印加した電力のおおよそ10分の1が出力になっている感じです。

そこで、次は(3)の回路で試してみました。(3)の回路では、ダーリントン回路とするトランジスタをどうするか、バイポーラか、ユニポーラかあるいは最近はIGBTなんて素子もあります。

そこで、今回は載せませんが、2SCタイプのトランジスタか、FETかで音質を確認したところ、FETの方がよく感じたので、とりあえずFETとしました。

この接続で、ほぼ同じ電力を800に加えて確認したところ、次のような結果となりました。

クリップするところが、9.4Vとなりました。出力は5.5Wとなり、電力効率が少し上がりました。

やはり、トランジスタとダーリントン接続することで効果はあるようです。

そこで、この結果が面白いので、トランジスタをIGBTにしてみました。

IGBTは、東芝のGT40T301という品番のものです。この結果は不思議なことに(2)の場合と同じ出力になりました。ただ単に差し替えだけなのがいけなかったのかもわかりませんが、IGBTの特性はまだよくわかっていなく、使い方は今後の課題にしたいと思います。

今日は折角なので、この3つのタイプで音質比較していきました。

音質はあくまで主観ですが、下記のような感じでした。

(2)の回路の場合

音質は、響きが良くドラムが”ボンッ”となるところで、胸腔に響くような感じがし、どことなくエネルギーを感じるような傾向です。しかし、全体的に音質は甘く、輪郭が少しぼやけたような感じがしましたが、音質としては私の好みの音の1つです。

(3)の回路でFETの場合

FETは、NECの2SK2141とSTマイクロのSTB20NM50で比較しましたが、STB20NM50が好みの音だったのでこちらにしました。どちらもオーディオ用の品種ではなく、私は電源の平滑用にいつも使っているのですが、高耐圧ですし、この用途に使えそうなので確認してみたところ、音質は案外よかったのです。

音の傾向ですが、(2)の回路で感じた”胸腔に響くような感じ”が薄れてしまいました。が、代わりに張りのある音質で透明感はあるもののトランジスタのような硬さも混じったような音でした。しかしこれはこれでよい感じがしました。

(3)の回路でIGBTの場合

これは恐らく、真空管アンプの増幅部にIGBTを使用したアンプとして、世界初の回路ではないかと思います。そもそもIGBTを増幅回路に使用したアンプはほとんど見なくて、あまり増幅用に適した素子ではないのかもわかりません。私は今まで電源部分に使用したくらいで、増幅部分に使用したことがありませんでした。

出てきた音質は、ちょっと歪っぽくて大味な感じがしましたが、もう少しバイアスを調整するなどすればよいアンプになる可能性があります。音は朗々と鳴っていて、今後ものにしたい素子でもあります。

 

FETやIGBTは、入力容量が大きいので、出力インピーダンスの高い真空管アンプで使用して大丈夫か、とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、試した回路は、(2)を流用した下記のようなカソードフォロワの回路なので、そのあたりはほぼ大丈夫だと思います。

下記赤枠内にFETやIGBTを接続しています。

このあたりの回路で、良い動作点などを模索し次回のオフ会に臨みたいと思います。

 

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800ダイナミックカップリングシングルアンプ(11)

2023-09-23 18:09:30 |  800シングルアンプ

先週、ようやく800シングルアンプが完成しましたが、音はかなり気に入っているものの、ちょっと欠点があります。

オーディオマニアならあまり気にすることではないかもしれませんが、出力があまりとれないのです。800のプレートに400V 100mAを印加して、40Wものプレートロスがあるのですが、出力はせいぜい2Wしか取れないのです。印加した電力のたったの5%しか利用できていません。ヒータ電力を考慮するともっと効率が悪いアンプになるでしょう。

ただ、音は気に入っているのでしばらくこれで楽しみたいのですが、やはりこのあたりのところをもっと改善していきたいと思います。800はグリッドが正領域でも内部抵抗が高いのかもわかりません。

現時点の回路を掲載します。

下記はほぼ完成した状態の内部ですが、まだ改造をする予定ですので、配線は縛りません。

実は、ほぼ改造案は出来ましたので、また今度試したいと思います。

 

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800ダイナミックカップリングシングルアンプ(10)

2023-09-18 20:18:27 |  800シングルアンプ

昨日、レコードコンサート(11月12日開催)の下見をやったのですが、11月というと、もう1月半ぐらいしか時間がないことに気が付き、悠長にアンプの製作に時間かけていられないことがわかりました。そこで、今日は、急いで配線を行い、ほぼ完成しました。

まずは試聴している状態の写真です。

わかっていたことですが・・・、トリタンが目立って他の球の存在感があまりありません。

特に807なんて、細いカソードですしおまけにシールドでカソードが見えず、動作しているのかどうかさえ分かりません。

近づいてみるとようやく赤っぽいものが見える状況です。

しかし、出てくる音は、今まで聞いた中で一番!いつも出来立ての時はそう思います。しかし、今回は出力トランスが大きく、低音もしっかり出るトランスなためか、低音域がしっかりしており、全体的に音の輪郭がはっきりとして、音の響きが良くなっている印象です。

まだ、音の調整は出来ていないのですが、こんな音は久しぶりに聞いたように思います。今後、色々調整していこうと思いますが、どうしていこうか考え中です。

 

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