昨日は、6DJ8単管コントロールアンプの音質が気に入らない話をしましたが、今日は少し基本に帰り、もっと原因を確かめてみようかと思い、本アンプでは、出力インピーダンスを下げるべく、大電流を流す目的で少し無茶な動作点にしているのを修正しました。
上記は6DJ8の特性曲線で、赤線は5kΩのロードラインとなります。現在、”A”の動作点で駆動していますが、これをもう少し下げて”B”点を動作点にします。”B”点では、グリッドバイアスがおよそ-1.2V前後で、Ipが約4mAですから、カソード抵抗が約300Ωとなります。
よって回路は、元々の33Ωのカソード抵抗を下記のよう330Ωに変更します。
早速カソード抵抗の変更作業を実施しました。
一応、Ipを測定します。
5kΩのプレート抵抗両端の電圧が19.1Vありますので、大体設計値通り4mA近く流れています。
いざ、音質確認!
う~ん、歪感も少なくそれなりになっている・・・しかし、何かが足りない。音に艶がない。ひょっとして球のせいかもと思い、いくつかの球や、似たような球で6BQ7でも差し替えて確認してみましたが、やはりいまいちです。
そこで、毎度のごとく6AQ8系の球に変更したところ、明らかに音質は、こちらの方がいい!音に艶がある。特にシルバニアの6DT8がよかった。
ちなみに6DT8なんてあまり知らない方もいらっしゃるかと思いますが、6AQ8と同等管で、RF増幅用の球です。テレビのチューナなどに使われていたよくある球です。LUXのアンプでも以前持っていたA3500のドライバー段の6AQ8と差し替え可能となっていました。しかし、あまり知られていないためか、オークションでも値が付かない球の1つかもしれません。
ということで、6DJ8系はあきらめて6AQ8系の球にしようということで、一体動作点はどうなっているのかと、特性曲線を確認してみました。
特性は上記のように内部抵抗が6DJ8よりも高く、普通はこんな5kΩの負荷で使用しない球です。測定してみると現状Ipに2mA程度流れていましたので、動作点は●の位置になります。5kΩの負荷であればこのぐらいの動作点で良さそうで、回路の定数はそのままで良さそうです。
オシロで出力の波形を確認してみましたが、6DJ8の時よりも若干歪が多い印象がありますが、音は全然こっちがいい。因みに全体の増幅度は約11倍となりました。
6DJ8の方がきれいな波形していたのに、少し歪が多そうな6DT8の方が音がよく、艶っぽく聞こえるなんて・・・オーディオの七不思議の1つを体験したようでした。
よって、本アンプは6DJ8単管コントロールアンプではなくなり、6AQ8/6DT8単管コントロールアンプと相成りました。
また、今回は地味で日の当たらない6DT8の音質を再確認でき、得した気分になりました。これから収集の対象になりそうです。だれも見向きもしなくて安い今が買い時かもしれませんね。