
精神科医で高齢者の味方である和田秀樹著の「患者の壁」を図書館で借りて読んでみた。和田先生の本は人気があるので、数か月待ってやっと順番がまわってきた。副題として、「ベルトコンベア医療」には乗るな!とある。和田先生は、過激的発言で有名だが、なるほどといつも目に鱗の感がある。-
前書きで「あなたは元気なのに“医療のベルトコンベア”に乗せられ、いつの間にか病名を付けられ、病人にされ、薬をたくさん処方され、生活指導で節制を強いられ、ヨボヨボにされ、生きる意味を見失っていませんか?」と警鐘を鳴らしている。人生の主役はあなた自身。医者でも病院でもない。生き生きと自分のやりたいことをやって生きるために、立ちふさがる7つの壁を越えて、人生の最終コーナーを楽しく走り抜けましょうとアドバイスをしてくれている。
本書ではあくまで、患者の目線を大事にして、人生後半に生き生きと人生のステージを歩むために、7つの壁を示しながら、医療との上手な付き合い方を伝授してくれている。
■第1の壁・「健康診断」
健康診断や検査は、ほんとうに必要なものか?健康であるにもかかわらず、異常があるかのように錯覚していないか?油断していると、たちまち病名をつけられ、医療のベルトコンベアに乗せられてしまうことになる。
■第2の壁・「医者」
「医者の言うことは100%正しい」と無意識に感じていないか?難しい試験を突破したのだから、間違ったことを言うはずはないと考えていないか?病名がつけられず、診療方法もはっきりしない場合が多々あるという。
■第3の壁・「薬」
病院で処方される薬は、すべてほんとうに必要なものか?特に高齢者ほど多種類の薬を服用しており、医者はそのことを理解して、処方しているか? 薬をたくさん飲んでも長生きにはつながらないことを知るべき。
■第4の壁・「節制」
生活習慣病を心配するあまり、好きなお酒やタバコをやめ、異性への関心も諦め、自動車の運転も家族から止められていないか?65歳を過ぎたら、好きなことをやって生きた方が長生きすると思われるので、自分の「第2の人生」について考えてみるべき。
■第5の壁・「うつ・認知症」
意外に多いのが老人性うつが認知症と誤診される。老化が進めば脳機能も衰えてくるし、生きる目的を見失えばだれもが心を閉ざしてしまいがちになる。うつと認知症の違いを正しく知り、壁を突破する必要がある。
■第6の壁・「介護・入院」
60歳を過ぎれば、誰もが親の介護に直面し、また自らも大きな病気を抱え入院するケースもある。介護期間は男性で1.4年、女性で3.1年。最後の瞬間まで、「ストレスなく、好きなことをして、人生を楽しむ」と決めてしまえばいい。
■第7の壁・「死」
死は突然訪れる。考えもしないような事故で、命が絶たれることもある。死ぬ前に身の回りの整理ができない突然死は避けたい。作者が考える最高の死に方は、夜寝たまま、朝になっても起きてこないとうものであったが、自分の場合は、飛行機の中で睡眠中、海に墜落して遺体も発見されないというのはどうかと考える。飛行機事故なら諦めもつくし、睡眠中で恐怖感も痛みもなく、事故の保険金でも支払われるなら一石二鳥である。誰にでも訪れる人間の「死」は大きな壁であることは間違いない。
7つの壁のどれもが、これから乗り越えなければいけない壁というが、-ちょっとした知識や決断が、これからの人生を左右することになりそうである。
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