買った、使った、感想、評価
歌え!だらリーマン
圧力鍋の科学
5月に圧力鍋を買って以降、料理にはまだ5~6回しか使っていないが、使いながら考察したことをまとめておこう。
6.5倍速で煮える
圧力が上がって沸点が上がるため料理が速くできる。どの程度の温度になっているのかといえば、市販の圧力鍋では117℃とか127℃程度になっているようだ。
この温度でどの程度調理が早くなるのか。早くなるのは「火が通る」までの時間である。通常の鍋なら生煮えで食べられないような短時間で圧力鍋なら煮えてしまうのである。なぜか。「火が通る」というのが化学変化であるとすれば、おそらくアレニウスの法則で説明できる。温度が10℃上がるごとに反応速度が2倍になるということで知られる(温度が10℃上がるごとに寿命が半分になるという文脈で語られることも多い)。実際には活性化エネルギーによっては2倍とは限らず、3倍だったり4倍だったりすることもあるはずだ。
温度が上がって何倍になるのか正確には分からないが、とりあえず10℃で2倍になると仮定する。すると100℃で煮るよりも117℃なら3.2倍、127℃なら6.5倍の速度で煮えるはずである。さらに鍋の加熱途上で70~80℃ぐらいから煮え始めるはずだ。100℃に達してからおもりが回り始める117℃や127℃に達するまでの時間も当然のことながら煮え続けている。また火を止めた後、温度が下がる過程でも煮えている。でも圧力鍋を使っていると、圧力鍋のおもりが回っている時間だけが煮ている時間だという印象がある。このためすごく早い調理ができていると感じてしまう。
また同じように加熱していても鍋の温度が上がるのが早いはずだ。火を消した後の温度の下がり方は逆に普通の鍋よりも遅いはずだ。普通の鍋はふたをしていても蒸気が逃げる。逃げた蒸気は煮汁から蒸発熱を奪っている。圧力鍋ならおもりが回り始めるまでは蒸気がほとんど逃げないので熱も失われにくく、効率よく加熱される。
これ余談だが、料理の煮汁には食塩などが含まれている。沸点は上昇し100℃ではないはずだ。以前測定したときは上昇を確認できなかった。どれくらい上がるものなのだろうか。
料理の塩分はいろいろ検索してみるとみそ汁で1%程度のようだ。実際の料理はそれ以外の成分も含まれているはずだが食塩以外の物質は分子量が大きいので沸点上昇への影響が少ないと考え、とりあえず1%の食塩水の沸点を求めた。計算式は省くが沸点上昇は0.17℃だった。これでは料理用の温度計では測定できなくて当たり前だった。煮汁の沸点上昇よりも圧力による沸点上昇の方が圧倒的に大きいのである。
圧力鍋で“蒸す”効果
圧力鍋を使った蒸し料理も非常に興味深い調理方法である。普通の鍋なら「蒸す」よりも「ゆでる」方が短時間で火が通る(と私は思っている)。ところが圧力鍋では「蒸す」方が短時間で火が通るはずなのである。
それは「熱伝達」の差から来る。ゆでるのは液体に浸かった状態で加熱することである。液体と固体との熱伝達で加熱される。一方蒸すというのは食材が液体に浸かっていない状態で加熱する。食材に触れるのは水蒸気であるが、食材の温度が低い場合は表面で水蒸気が凝縮して流れ落ち、次々と新しい水蒸気が供給されることになる。水蒸気がこのため効率よく熱伝達される。水1gの蒸発潜熱は約2200ジュールもあり、水の温度が1℃変化したときの熱量4.2ジュールよりも桁違いに大きい。しかもゆでる場合は食材付近の液体(ゆで汁)の温度が下がり、対流によって温度の高いゆで汁に入れ替わるのを待たなければならない。
この書き方だと圧力鍋でなくても蒸した方が短時間で済むような感じもするが(実際そうかも知れないが)、普通の鍋ではよほど強力な火力でガンガン蒸し上げないと水蒸気以外に空気も含まれていると考えられる。空気は冷えても凝縮しないので、少しでも含まれていると熱伝達は阻害される。
食材の表面から内部への熱伝達についてはゆでると蒸すでは差がなく、つまりいかに食材表面に熱伝達するかが加熱時間を左右する。
蒸気表
6.5倍速で煮える
圧力が上がって沸点が上がるため料理が速くできる。どの程度の温度になっているのかといえば、市販の圧力鍋では117℃とか127℃程度になっているようだ。
この温度でどの程度調理が早くなるのか。早くなるのは「火が通る」までの時間である。通常の鍋なら生煮えで食べられないような短時間で圧力鍋なら煮えてしまうのである。なぜか。「火が通る」というのが化学変化であるとすれば、おそらくアレニウスの法則で説明できる。温度が10℃上がるごとに反応速度が2倍になるということで知られる(温度が10℃上がるごとに寿命が半分になるという文脈で語られることも多い)。実際には活性化エネルギーによっては2倍とは限らず、3倍だったり4倍だったりすることもあるはずだ。
温度が上がって何倍になるのか正確には分からないが、とりあえず10℃で2倍になると仮定する。すると100℃で煮るよりも117℃なら3.2倍、127℃なら6.5倍の速度で煮えるはずである。さらに鍋の加熱途上で70~80℃ぐらいから煮え始めるはずだ。100℃に達してからおもりが回り始める117℃や127℃に達するまでの時間も当然のことながら煮え続けている。また火を止めた後、温度が下がる過程でも煮えている。でも圧力鍋を使っていると、圧力鍋のおもりが回っている時間だけが煮ている時間だという印象がある。このためすごく早い調理ができていると感じてしまう。
また同じように加熱していても鍋の温度が上がるのが早いはずだ。火を消した後の温度の下がり方は逆に普通の鍋よりも遅いはずだ。普通の鍋はふたをしていても蒸気が逃げる。逃げた蒸気は煮汁から蒸発熱を奪っている。圧力鍋ならおもりが回り始めるまでは蒸気がほとんど逃げないので熱も失われにくく、効率よく加熱される。
これ余談だが、料理の煮汁には食塩などが含まれている。沸点は上昇し100℃ではないはずだ。以前測定したときは上昇を確認できなかった。どれくらい上がるものなのだろうか。
料理の塩分はいろいろ検索してみるとみそ汁で1%程度のようだ。実際の料理はそれ以外の成分も含まれているはずだが食塩以外の物質は分子量が大きいので沸点上昇への影響が少ないと考え、とりあえず1%の食塩水の沸点を求めた。計算式は省くが沸点上昇は0.17℃だった。これでは料理用の温度計では測定できなくて当たり前だった。煮汁の沸点上昇よりも圧力による沸点上昇の方が圧倒的に大きいのである。
圧力鍋で“蒸す”効果
圧力鍋を使った蒸し料理も非常に興味深い調理方法である。普通の鍋なら「蒸す」よりも「ゆでる」方が短時間で火が通る(と私は思っている)。ところが圧力鍋では「蒸す」方が短時間で火が通るはずなのである。
それは「熱伝達」の差から来る。ゆでるのは液体に浸かった状態で加熱することである。液体と固体との熱伝達で加熱される。一方蒸すというのは食材が液体に浸かっていない状態で加熱する。食材に触れるのは水蒸気であるが、食材の温度が低い場合は表面で水蒸気が凝縮して流れ落ち、次々と新しい水蒸気が供給されることになる。水蒸気がこのため効率よく熱伝達される。水1gの蒸発潜熱は約2200ジュールもあり、水の温度が1℃変化したときの熱量4.2ジュールよりも桁違いに大きい。しかもゆでる場合は食材付近の液体(ゆで汁)の温度が下がり、対流によって温度の高いゆで汁に入れ替わるのを待たなければならない。
この書き方だと圧力鍋でなくても蒸した方が短時間で済むような感じもするが(実際そうかも知れないが)、普通の鍋ではよほど強力な火力でガンガン蒸し上げないと水蒸気以外に空気も含まれていると考えられる。空気は冷えても凝縮しないので、少しでも含まれていると熱伝達は阻害される。
食材の表面から内部への熱伝達についてはゆでると蒸すでは差がなく、つまりいかに食材表面に熱伝達するかが加熱時間を左右する。
蒸気表
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