悠歩の管理人室

歩くことは、道具を使わずにできるので好きだ。ゆったりと、迷いながら、心ときめかせ、私の前に広がる道を歩いていきたい

「令和」の手話~その後

2019-04-26 21:04:59 | 手話

「令和」の手話は、その後どのような受け止め方をされているか調べてみた。
ろうの知人が「バカ」と言う手話に似ている。反響が心配だと言っていたので、
そのあたりが気になっていたのだが、今のところ杞憂であったようだ。

むしろ、「手話かぶり?」と「誤訳?」が話題になっていた。
「手話かぶり」とは、下記の画像のような状況をさす

これは、NHKのうっかりミスだろうが、「手話が邪魔だ」とか「NHKはけしからん」
などの反応があった。<このように手話を別画像で入れることを「ワイプ」という>

ニュースその他の情報番組に手話通訳を入れること自体が、浅い歴史しかない。
官邸の会見に手話を入れるのは、2011年の東日本大震災からということだ。
生放送に、ワイプ位置の調整を考慮して画像(手話)を入れることが、そもそも難しい。
手話通訳者は官房長官の、向かって左にいる。

手話通訳者は、かぶっていることを知らない。それでも敢えて「こちらです」と表現
しているのは素晴らしいという意見もあった。<右手で表現している>

また、手話通訳の原則~話者の口元と手話通訳を同時に見ることができる位置に立つ。
ろう者は、常時ではないが、話者の口元も見ながら手話を同時に見ている。その場合、
話者が「きれい」と言い、通訳が「ぶす」と表現しても、気がつく可能性がある。
聾学校では口の形を読み取るよう指導するが、同音異義語が多いので、苦労する。
「たばこ」「なまこ」は、口の形が同じなので、口の形だけでは読み取れないことを
考えてほしい。

本来は、手話通訳者は話者のすぐ隣に立ち、額を掲げた時はすかさず位置を変える。
すぐ脇にいれば、そんな対応ができる。
その原則を軽視して、ワイプで対応している現状にこそ、問題がある。

「天皇」が喋った時に、隣に手話通訳が立つということが可能になった頃には、
「天皇制」は廃止しよう、という状況に民意が傾く兆しがでてくると思う。
そんな状況は、どれだけ民度が上がった暁に可能となるのだろうか?

次が「誤訳?」
下の画像で、手話通訳者は指文字で「め」と表している。この後に「い」「わ」と表現。
つまり、「めいわ(明和?)」と表現している。

ここには、先の「かぶり」とは別の、大きな問題を抱えている。
新元号は、極秘とされてきた。ごく一部の関係者しか知らない。
だが、この文字を書いた人には知らされている。
知らせなければ「書けない」ので、これは当然視されている。
ならば、手話通訳者にも知らせるべきではないか、という課題も議論されるべきである。
「令和」の手話があれば、すぐに表現できる。極秘だから、まだできていない。
手話通訳者に知らされていれば「れいわ」と指文字で表現していただろう。
だが、官房長官の言葉は、「めいわ」と聞こえた人が多かったのも話題になったらしい。
当然(たぶん)、手話通訳者は聞こえたまま、「めいわ」と表現した。

聞き間違いということもあるし、聞こえない場合も想定できる。

以前、選挙の立ち会い演説会での手話通訳を見たことがある。
ヤジがひどくて、弁士の声が聞こえないため手話通訳が頻繁に通訳停止状態となっていた。
あぁ、手話通訳がかわいそうと思った。。
後で、選挙管理委員会に「弁士の声が聞こえるようヘッドフォン」を使わせたらと進言したが、
実現されなかった。1983年、公職選挙法の改正で演説会は廃止された

自分の手話通訳経験でも、話者の発音が悪かったり、周囲の音がうるさくて、
話者の声が聞き取りにくいことがけっこう頻繁にあった。

これは、上記の問題とは別だが、以前所属していたウォーキングクラブの例会で、出発式、
昼食後の連絡事項を、常時手話通訳していた。当時、ろう者が数人参加していた。
だが、手話通訳(私)が位置に付く前に話し始めることが多く、「ちょっと待って」と、
私が、さえぎることが多かった。何度伝えても、なかなか理解されなかった。
私がトイレに行っていたり、別の作業をしている時に、スタッフが勝手にしゃべり出す、
という状況を想像してほしい。
これなども、ろう者の情報(聞こえ)の保障という問題をはらんでいる。

ぜひ、「令和」が「明和」とならないよう、聞こえる人すべてに考えてほしい。