漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 360

2024-04-10 05:54:53 | 貫之集

馬、車に乗りて、人おほく野に出でたり。さまざまの花咲きまじりたり

あきくれば はたおるむしの あるなへに からにしきにも みゆるのべかな

秋くれば 機織る虫の あるなへに 唐錦にも 見ゆる野辺かな

 

馬や車に乗って、たくさんの人が野に出ている。さまざまな花が咲き交じっている。

秋が来ると、はたおりが鳴くとともに、野辺がまるで唐錦のように美しく見えるよ。

 

 「機織る虫」とはキリギリスの古称。その名前からの連想で、色とりどりの花が咲く野辺を唐錦のようと詠んだ歌です。さぞ美しい光景で絵柄であったことでしょうね。
 この歌は拾遺和歌集(巻第三「秋」 第180番)に入集しています。