漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1026

2022-08-21 06:33:51 | 古今和歌集

みみなしの やまのくちなし えてしかな おもひのいろの したぞめにせむ

耳なしの 山のくちなし 得てしかな 思ひの色の 下染めにせむ

 

よみ人知らず

 

 耳がないという耳成山のくちなしを手に入れたいものだ。あの人を思う私の思いの緋色の下染めにするから。そうすれば耳も口もないので、誰にも知られずに済むだろうから。

 「耳成山」と書いて「みみなしやま」。「思ひ」の「ひ」には「緋」がかかっています。みみなしやまのくちなしで染めれば、耳も口もないから思いが他に漏れないだろうという理屈ですね。