漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1020

2022-08-15 05:58:56 | 古今和歌集

あきかぜに ほころびぬらし ふぢばかま つづりさせてふ きりぎりすなく

秋風に ほころびぬらし 藤袴 つづりさせてふ きりぎりす鳴く

 

在原棟梁

 

 秋風に吹かれて、藤袴が綻びてしまったようだ。「つづりさせ」と言ってこおろぎが鳴いているよ。

 スマートな(?)口語訳が難しいですが、第二句の「ほころぶ」は花(藤袴)が開く意と、(袴が)綻びる意の両義で、こおろぎの鳴き声が「つづりさせ」と聞こえることをとらえての言葉遊びですね。「つづりさせ」は「綴り刺せ」で、綻びを縫い繕う意です。

 作者の棟梁(むねやな)は業平の子。古今集に四首入集している四首目で、これまでの三首は 001502430902 に採録されています。