漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1013

2022-08-08 06:31:30 | 古今和歌集

いくばくの たをつくればか ほととぎす しでのたをさを あさなあさなよぶ

いくばくの 田をつくればか ほととぎす しでの田長を 朝な朝な呼ぶ

 

藤原敏行

 

 どれほどの田を作っているからといって、ほととぎすは田長を毎朝呼ぶのだろうか。

 ちょっとわかりづらいですが、ほととぎすは自分で田を作っているわけでもないのに、忙しい田長に毎朝呼びかけているのは困ったものだ、というところ。田長(たをさ)は、農仕事を取り仕切る長の意で、「しでのたをさ」はほととぎすの別名。Weblio古語辞典 によると、「『賤(しづ)の田長』の変化したもので、田植えの時期を知らせる鳥の意であったが、音が変化して『しで』となったので『死出』と当てられ、死出の山を越えて来る鳥の意となった。」とのこと。