漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0386

2020-11-19 19:54:52 | 古今和歌集

あきぎりの ともにたちいでて わかれなば はれぬおもひに こひやわたらむ

秋霧の ともに立ち出でて 別れなば 晴れぬ思ひに 恋やわたらむ

平元規

 秋霧が立つのとともにあなたが出発して別れ別れになってしまったならば、霧が晴れないのと同じように晴れない心で、あなたを恋しく思い続けることになるのでしょう。

 「たち」は霧が「立つ」と旅に「発つ」、「はれぬ」は霧が「晴れぬ」と思いが「晴れぬ」の掛詞になっています。
 作者の平元規(たいら の もとのり)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集への入集はこの一首のみです。