あきぎりの ともにたちいでて わかれなば はれぬおもひに こひやわたらむ
秋霧の ともに立ち出でて 別れなば 晴れぬ思ひに 恋やわたらむ
平元規
秋霧が立つのとともにあなたが出発して別れ別れになってしまったならば、霧が晴れないのと同じように晴れない心で、あなたを恋しく思い続けることになるのでしょう。
「たち」は霧が「立つ」と旅に「発つ」、「はれぬ」は霧が「晴れぬ」と思いが「晴れぬ」の掛詞になっています。
作者の平元規(たいら の もとのり)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集への入集はこの一首のみです。