漆にかぶれない!
これが私にとってとても大きな喜びでした。
今日は、ゴールデンウィークにお会いした漆職人の立沢さんの工房にお邪魔して、実際の作業を見学させて頂いたのですが、家具の塗料として漆を是非やってみたい私としては、その入り口がまず漆にかぶれないこと。
それがクリアーできたのでした。
奈良井宿にある立沢さんの自宅兼工房に入らせて頂くと、そこはもう漆の世界、作業台はもちろん、壁や電話、いろんなものに漆がついて膜を作っている。
まさしく工房といった雰囲気です。
本日は、本漆というベッタリ黒く塗られている漆の作業についても教えて頂いた以外に、メンパというヒノキでできた曲物のお弁当箱に拭き漆をする作業の一部を見せて頂きました。
<拭き漆の作業工程>
1.木地みがき
2.下地を塗る
※いきなりコクソを塗るとはみ出たコクソが取れにくい
3.磨いて平らにする
4.(コクソという「漆+米粉+木屑」でできたものを隙間やへりに埋め込む)
■コクソを練る
■コクソを布でしぼり濾す
■コクソを塗る
5.漆を塗る
6.漆をふき取る
※5、6の作業を5回~6回繰り返す
ひたすら塗って拭くを繰り返すのですね。
プロが商品を見るポイントは、漆の厚さと均一性だそうです。
拭き漆といえどある程度の厚さの漆がついていて、その厚さがきちんとあり、しかもそれが均一な厚さになっていることが重要だそうです。
腕のいい職人さんの場合は、上記の5,6塗って拭くという作業を一般の人が6回かかるところを4回でできるそうです。これは1回当たりの漆の暑さを厚く均一にぬれるからです。下手な人は塗っては強く拭き取ることで面を平らにしているのですね。
つまり、上手な職人になれば、時間とウェスに拭き取られる漆の節約にもつながるということです。
また漆の艶については、各工房、職人さんの好みがあり、一概に艶があるからいいというわけではないようです。
以上のように、本日は漆の実作業を勉強させてもらうことが目的でしたが、それ以外にもやはり職人としての銭勘定、商売について学ばせて頂いたことが多かったです。ヒノキのお箸に話が及んだときのポイントです。
・ヒノキの箸の材料は、細く切られたものを買っていては商売にならない。かといって丸太でも割りが合わない。
→細く切られたものは加工賃がのって高くなっているので、ある程度大きな材料を買って自分で切らなければ儲けが少なくなってしまうということ。扱いやすいのは5寸くらいの材料らしいです。
・箸の見積もりをするときは、材料費に鋸の厚みをきちんと入れる
→意外とできていない職人さんがいるそうです。鋸の刃の厚みは何ミリですが、その部分は切った後おが屑になってしまいます。一本二本ならいいですが、何千本という単位の仕事をするのだから、その厚みは大変大きくなる。
・検品は厳しい
ヒノキのお箸ですが、何にも加工していない単にお箸に漆を塗っただけの一番シンプルなお箸でも、木目がよくなかったり逆目になっているものは、はじかれるそうです。求める目的と品質で違ってはきますが、そう簡単に「端材を使って」というわけにはうまくいかないようです。
「今度は、何か作ったら塗りにきな」
と言って頂けました。
立沢さん、お忙しい中ありがとうございました。
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さて、その後はせっかく権兵衛峠を越えてきたので観光です。
■木曽福島の宿
昔、中仙道の関所があった重要な地です。
木曽の名物「馬刺し定食」を食べました。
■御嶽のふもと 王滝村
王滝の湯へ。
村の中心部から案内板に沿って走るもなかなか着かない。「あと何百メートル」とも書いてない。「いったいどれくらい走ったらいいんだ」と思いながら山道を登り、その理由がやっとわかったのは道が未舗装になってからです。
実は王滝の湯は、村からあまりに遠かったのです。
あまりの遠さゆえに、「はじめから行く気をなくさないよう」に、「あと何キロ」は書いてなかったのだなと私は勝手に思いました。
そして道が未舗装になり温泉が近づいてくると、今度はこんな親しみのある看板が表れ始めます。
そして着いた先は山小屋のような素朴な温泉。
でもここでは湯舟につかりながら、御嶽を真ん前に望めるんですよ。
残念ながら私が入ったときは曇っていたのですが、帰り道には晴れてきて、霊峰御嶽山を拝むことが出来ました。
そしてやっぱりここは信州なんですから最後は・・・ということで、蕎麦でしめときました。
■「一竹」有名店みたいです。