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EU Film Days のおすすめ

2009-06-11 10:41:06 | シネマ&芝居

おそまきながらなのですが、東京国立近代美術館フィルムセンターで5月29日から6月20日の期間、開催中のEU フィルムデーズ映画祭はおすすめです。

今日は熱弁をふるうので、長いです。

http://eufilmdays.jp/

実はフィルムセンターという場所はなぜか私には鬼門、という先入観がぬぐい去れず、フランスから帰国して11年、1度も足を踏み入れたことがなかった映画館です。って、そんなことはどうでもいいのだ。

とにかく、昨日、その鬼門のフィルムセンターに重い足を運んだわけですが、まあ、なんと帰り道の足取りの軽かったこと。

観ましたのはジャン=シャルル・フィトゥシ監督『私は死んでない/Je ne suis pas morte』。3時間10分の上映時間、うきうきしながら次のカットに目をこらしていたら、あ、終わりなのね・・残念。という私にはツボにはまった作品でした。

今年のEUフィルムデーズの作品選考基準は、EUそれぞれの国のふだんの生活に垣間見られるユーモアが共通項のようですが、『私は死んでない』ものっけから一見、荒唐無稽の設定。

ウィリアム・スタイン博士によって26才で生を受けた女性アリックスがこの世に送り込まれてくる。ね、なんのこっちゃ、でしょ。彼女には恋愛感情を持つことができないという欠陥があり、それを克服しようと恋人を次から次へと試しては、あかんわ、やっぱりあんたを愛せへん、ほなサヨナラ、みたいな!いえ、もっとシリアスです(かつ、アリックスが主人公というよりも、三部構成で不器用な愛すべきキャラクターが満載です)。

本作のユーモアは、イギリスぽいユーモア、pince-sans-rire(=何食わぬ顔で冗談を言う)です(日本でいうと福田前首相にこの才能をおおいに感じておりました。だから大好きでした。最後、冗談か本気かわからないセリフで幕を下ろされましたが)。

本作の登場人物たちは冗談を言う気はなくてみな大まじめに悩んでいるのだけど、ちょっと視点をずらすとかなり可笑しい。微笑ましいって感じかな。

とにかく、このフィトゥシ監督の作風に、はまった。ものすごく古典主義的な部分とそこはかとない風変わりさが共存していて、清らかなクープランの音楽、天使顔の女の子男の子が登場しながら、娼婦や裸体もあっけらかんと存在する。久しぶりに面白い!と思った作品でした。

EUには他にも面白い財宝がたんまり隠されているのではなかろうか。

なので、配給を望めない作品はやはりフィルムセンターですよ、皆さん。通おう。あ、でもとても見やすいチラシを早々と捨ててしまったバカなわたしだ。20日まで。

コメント
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