ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

膝の痛み

2007-11-29 05:43:59 | ジョギング
左膝の半月板損傷という重傷を負ってから2ヶ月が経とうとしている。
当初は歩くのもままならないほどだったが、今では日常生活はほぼ問題ないレベルまで回復してきた。
小走りぐらいならできるようになった(たぶん)。
足をひねるとまだ痛みが出るし、長時間歩いたり立ちっぱなしだったりすると膝全体が鈍い痛みに包まれる。
可動域はだいぶ広がってきたが、膝を曲げると最後のところで痛みが走るので、体重をかけて正座することができない状態だ。
回復は一進一退を続けていて、調子がいいときはこのまま治りそうだな、と楽観的になるが、
翌日には痛みが出たりして一本調子にはいかない。

・・・とまあこんな具合で本人の意思とは裏腹に膝だけが早く回復することに異議を唱えているようで、回復のスピードは焦れるほどに遅い。
半月板というところはもともと血流のあまりないところで、それだけに回復が遅いのだそうだ。
早く走りたいと思う。走っている人を見かけるとうらやましくてつい目で追ってしまう。
「ああ、走ることがこんなにも生活の中に溶け込んでいたのだなあ」と思う。

毎日の治療と無理のない範囲でのストレッチを続けている。
僕の場合、怪我がちなのは体の硬さにも原因があるとのことだった。
柔軟性を高めることが怪我の回避にもなる。これは大きな教訓となった。
目標にしている年明けからの再スタートまで残り1ヶ月ほど。
膝はそれまでに機嫌を直してくれるか?

守護天使/上村佑

2007-11-28 06:26:11 | 
第2回日本ラブストーリー大賞の受賞作。

しかし、ラブストーリーというにはあまりに異色のというか、ありえない組み合わせのラブストーリーだ。
清楚で可憐な女子高校生とチビでハゲでデブ、おまけに会社をリストラされて財布には500円玉しかないような中年の男。
この男がこの女子高生に恋をする。しかも純愛。このシチュエーションだけでもこの物語がかなりドタバタな展開になることを読者は予想してしまう。

須賀啓一はただ太っているという理不尽な理由だけで親族の経営する会社をクビになり、職を求めて家族を伴って仙台から東京へ移住してきた。
何とか職にはありつけたが、収入は半分以下になってしまった。
そして家庭内での地位も収入に応じて下落した。妻の勝子は腕のいい美容師でパートでも啓一の倍は稼ぐ。
家庭内では勝子が絶対的な権力を握り、啓一の日々の小遣いもこの鬼嫁によって2日で1500円と決められている。

・・・という具合にまったくどうにもうだつの上がらない主人公像なわけだが、啓一がたまたま通勤電車の車内で見かけた女子高生。
この女子高生に一目惚れをした啓一がこの子の「守護天使」になろうと決心するのだ。

一方でこの女子高生が開設したというブログが静かにネット上を一人歩きし始める。
ネット社会の見えない闇と今の日本に巣くう病巣みたいなものがこのブログを通して描かれている。
いささか誇張気味ではあるけれども、著者としてはネット社会のネガティブな世界をアンチテーゼとして示している、と言えなくもない。

ヴァーチャルなブログ上の人物たちがやがて表に出てきて、現実の女子高生に静かに忍び寄り、そこから物語は急展開していく。
啓一と幼馴染のヤクザの村岡、啓一が仕事でカウンセリングをしている引きこもりの少年ヤマトという、
これまたありえない組み合わせの3人が、犯罪に巻き込まれようとする女子高生を救うべく動き始める。
後半の"お笑いダイハード"な展開はスピード感があって面白い。村岡の傑出したキャラクターが物語を引っ張っていく。

サイドストーリーして家出した啓一を勝子が探し求めるのだが、勝子の心境の変化がいまひとつ描ききれていないと思う。
勝子の啓一への感情の揺れ動きがもう少し描かれていれば、物語の中にもうひとつのラブストーリーが存在したのだろう。

映画化が決定しているそうだが、登場人物それぞれの個性が際立っており、誰がどんな役を演じるのかが楽しみでもある。




J2第51節 東京ヴェルディ1969対愛媛FC(調布・味の素スタジアム)2-1

2007-11-27 05:29:31 | サッカー
J2の昇格争いはついこの間まではまず札幌が磐石かと思われた。しかし終盤東京Vとの直接対決に負けて以降もたついている。
一方の東京Vはここにきて勝負強さを発揮。
これに京都、仙台と続いており、ラスト前の今節はその京都と仙台の直接対決が昇格の行方を左右する大一番となった。
仙台は負けると昇格がなくなる。また京都が引き分け以下だと札幌の2位以内が確定。
その状況で東京Vは勝って2位以内確定となる。
京都は勝って自らの3位以内が決まるとともに、札幌と東京Vの今節での昇格を阻止するということで、
今節は京都がすべてのキャスティングボードを握っている。
札幌は試合がない。東京Vはホーム味スタで愛媛と対戦。もしかしたらラモスの胴上げが見られるかもしれないということで観戦に出かける。

東京Vはフッキが残り2試合出場停止ということで船越をワントップに据えた4-5-1。対する愛媛はフラットな4-4-2。
フッキがいないことで東京Vの戦い方がギクシャクするのかと思っていたが、まったくそんな心配はない。
ディエゴのトップ下が実によく機能している。廣山や飯尾もサイドから攻め立てる。
多彩なパスワークで早くも主導権を握り、ディエゴのインターセプトを船越が決めてわずか10分で先制。

しかし、愛媛も目の前の胴上げを阻止するべく必死で対応。東京Vが追加点を取れずにもたついている間隙を突いて前半で追いつきそのまま前半を終える。
京都対仙台はこの時点でスコアレス。

追いついたことで後半は愛媛にも勢いが出てきた。攻防は緊張感の高い一進一退を繰り返す。
しかし、30分過ぎCKを頭で合わせたのはまたしても船越だった。フッキの代役として起用された船越が見事その期待に応えた。
一方の京都は膠着して動かない。このまま行けば東京Vの昇格が決まる。次第に緊張感が高まってくる。

試合は愛媛が粘りを見せるものの決定的なシーンを全員で凌ぎきり東京Vがきっちりと勝利をものにした。
後半ロスタイムまでスコアレスだった京都はその最後のロスタイムで決勝点をもぎ取り東京Vと札幌の昇格を阻止。加えて仙台の昇格を阻んだ。
京都の結果を確認しながらのスリリングなゲームだったが、残念ながら昇格はお預け。
しかし、得失点差の関係から東京Vはこの試合に勝利したことで昇格をほぼ手中に収めた。

組織的で攻撃のバリエーションに富んだ東京Vの戦い方はすでにJ1仕様と言ってもいいものだった。
フッキは来シーズンは川崎に復帰することが濃厚と伝えられているが、フッキがいなくても東京Vはいいサッカーができている。
来シーズン久しぶりのJ1でどういう戦い方をするのか、ラモスの去就も含めて興味は尽きない。

J1第33節 FC東京対大宮アルディージャ(調布・味の素スタジアム)1-2

2007-11-25 08:32:43 | サッカー
今年のJリーグも残すところあと2試合。東京はホーム最終戦を迎えた。
数日前に原監督とコーチ陣の退任、土肥、福西の来期契約非継続が発表された。
来期へ向けた体制作りに早々と着手したというところだろうが、多くのファンがフロント自身の責任が明確にされないのを不満に思っているようだ。
それにしても、Jリーグにおいてはステークホルダーとしてのファンの発言力は非常に大きなものがあると思う。
ジャイアンツが優勝を逃したからと言ってファンが渡辺オーナーのクビを云々するということはまずない。
経営と執行がない交ぜになっているJリーグのクラブというのは、いまだ中小企業の域を出ていないのかな、という気もする。
チームの成績はクラブ経営のワン・オブ・ゼブだということをきちんと説明してもいいのではないか。
株主でもないファンに会社の経営者のクビを切る権利はない。
ただ、世論の高まりによって自ら辞めざるをを得なくなった経営者はいくらでもいるということだ。

話が思わぬ方向に行きそうなのでこれぐらいにして、それにしてもこの試合、今年の東京を象徴する試合になってしまった。
どうにもかつかみどころがない、試合の主導権を握っているようでそうでもない。結局先制しながら逆転負け。
終了間際の失点で逆転負けという、大宮にはどういうわけかこういう煮え湯を飲まされる。

試合前の大宮は自動降格圏内にいた。最終節が川崎戦だということを考えると、勝つために前に出てくるだろう、と思っていた。
だが、残留を争っている彼らは、残留争いのためのタクティクスを身に付けていた。
残留争いには残留争いのしたたかな闘い方があるのだ。
全体をコンパクトにして、最終ラインとボランチのところでブロックを形成している。
だから東京は相手陣内に侵入することはできても、狭いところでパスを廻さざるを得なくなる。非常に窮屈。
それを打開するためにサイドチェンジを有効に使ったが、外に持ち出しても中がいないのはいつものとおり。
ルーカスひとりに単調に合わせるだけでは、チャンスは生まれない。
馬場、石川、栗澤はサイドにボールが出たときにはルーカスの近くで起点を作らなければいけない。

一方大宮は決して攻め急がない。前半は凌いで後半にカウンターから一気に勝負をかけようということか。
ある程度のラインを保ちながら(ということは東京にボールを持たせて)、奪ったら吉原や森田を走らせる。
本当のところはどちらが試合をコントロールしているのか分からないままに前半はスコアレスで終了。

後半は早々に試合が動いた。右サイドの徳永を起点に梶山のトリッキーなヒールパスを中に切れ込んでいた石川が体制を崩しながらシュート。
これが鋭くゴール隅に突き刺さり先制。点を取れば一番盛り上がる男の渾身の一撃。
ここから一気にイケイケに・・・ならないところが今年の東京である。
そのわずか2分後、今期初先発の八田が自陣でクリアミス。これをかっさらわれ吉原がしぶとくエンドラインぎりぎりまで運びクロス。
これを詰めていた藤本がフリーで受けてゴール。これで大宮は活気付く。

東京は馬場に代えて平山を投入するが、これで組織的な展開が難しくなり、ボールは行ったり来たりを繰り返す。
平山を起点にしたいのならもっとシンプルに平山に当てていくことを考えればいいのだが
前半のサッカーを中途半端に引きずっている感じ。
大宮も決定的な場面をなかなか作ることができず、このままドロー決着かと思われた89分、
レアンドロが業を煮やしたかのように猛然と重戦車のごとくドリブルで持ち上がってくる。
東京のDF陣を蹴散らしてゴール。結局は個人の一撃で沈められてしまうという、ホーム最終節にしてはあまりにも冴えない幕切れだった。

大宮はこれで自動降格圏を脱出。レアンドロの一撃はまさに値千金だった。
甲府は負けて降格が決定。広島も負けて次節広島が勝って大宮が負けたとしても得失点差から広島の入れ替え戦は濃厚。
一方、優勝争いはガンバが神戸に終了間際に追いつかれ3位決定。
そして大一番の浦和と鹿島の直接対決は鹿島が退場者を2人も出しながら執念で1点を守りきり、首の皮一枚でつながった。
大詰めでドラマが生まれた一日だった。


北京オリンピックアジア最終予選 U-22日本対U-22サウジアラビア(東京・国立競技場)0-0

2007-11-22 22:47:22 | サッカー
代表の試合を見に行くのは久しぶりだ。
子どもの所属するサッカークラブに東京都サッカー協会から斡旋販売の案内がきた。
確か残り2試合を残してカタールがグループ首位に立っていた頃だったと思う。最終戦までもつれることは必至の展開。
そうなるとヒリヒリとした勝負の瞬間を見てみたい。迷わずチケットを申し込んだ。

最終戦はカタールの展開をにらみながらサウジと戦うことを想定していたがカタールがサウジに逆転負けを喫し予選敗退、
2位に浮上したサウジと雌雄を決することになった。
日本は勝てば文句なく、引き分けでも五輪出場が決まる、サウジは勝たなければならない、
という状況設定に当初は売れ行きの良くなかったスタジアムはほぼ満席となった。

今年一番の寒さが訪れた国立競技場。
期待と不安が薄くスタジアムの空気を支配するなか19:20にキックオフ。柏木、李が元気よくサウジ陣内に駆け込んでいく。
序盤はプレッシャーからか動きの硬い日本に対して、サウジが攻勢をかける。
8分、右サイドをドリブルで持ち上がろうとした水野が自陣でボールを奪われる。
そのままペナルティエリアに切れ込みシュート、GK西川が弾いたボールを詰めていたアルゴワイニムが再びシュート。
西川の逆に放たれたシュートに誰もが失点を覚悟したが、青山(敏)がゴールライン上で値千金のブロック。日本最大のピンチだった。
サウジは想像以上に組織的なサッカーを展開していた。全体をコンパクトに高い位置からプレスをかけ、奪ったボールはしっかりと繋いでくる。
出足の良さに前半は日本の防戦が続いたが、サウジも決定力に欠け前半をスコアレスで折り返す。

一転して後半は日本が主導権を握る。5分岡崎のシュート、続く10分には細貝が決定的な場面を作るがキーパーが好捕。
その後も決定的な場面を幾度となく作るが、相手DFの集中した守備を崩せない。
試合は次第に我慢比べの様相を呈してきた。30分を過ぎて勝つ以外に予選突破がないサウジはリスクを覚悟で前に出てきた。
手に掬った集中力という水を最後に切らしたほうが負けである。水はぽたりぽたりと滴り落ちる。
水を切らさずに最後まで持ち続けることができるか。
次第に観客は1点がどちらに転ぶかで試合は半ば決してしまうことをひしひしと感じ始める。
緊張感がスタジアム全体を覆い始める。この時間帯にサウジに先制されるようなことになると日本は厳しくなる。
もし日本が先制すればサウジは2点のビハインドを背負うことになり、日本は俄然優位に立つ。
最後まで水を持ちきれるか。集中力を切らしたほうが負けである。
果たしてサウジの波状攻撃を必死に凌ぎ最後まで水を切らすことなく、スコアレスのままゲームセットの笛が鳴った。日本は凌ぎきった。

それにしても、と思う。40分過ぎから日本は完全に引き分け狙いになった。コーナーキックのボールをキープして時間を稼ぐ。
無理もない。この試合には負けるわけにはいかない。引き分けでも予選突破が可能な以上この時間帯ではそれもやむなしだとは思う。
しかし、ファンはそれを観に来たのか。勝って予選突破をする姿を見に来たのではなかったのか。
戦前反町監督もそう言っていたはずだ。「勝つことだけを考える」と。
日本は最後まで圧倒的な力で予選を突破することができなかった。引き分けてもいい試合で本当に引き分けてしまった。しかもスコアレスで。
そこに日本が各年代で共通して持つ脆弱性がある。しっかりとした守備はできた。
しかしその守備が高い位置でも機能するかである。高い位置でボールを奪えてこそ初めて得点の確率も高くなるのだ。
本大会では高い位置で守らなければ攻撃も守備もほころんでしまう。世界レベルは自陣で引いて守るだけでは許してくれないだろう。

本番に向けて、困難なそしてやりがいのある宿題が残った。

鴨川ホルモー/万城目学

2007-11-20 06:12:06 | 
また面白い作家が出てきた。万城目学。76年生まれというからまだ30そこそこの若い作家である。
デビュー作である本作で第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した気鋭。
2作目の「鹿男あをによし」はすでにドラマ化も決定しているというからまさにシンデレラ・ボーイであろう。

とにかく奇妙なこのタイトル。「ホルモー」というのは何なのか?ホルモンではないのか?
まず、そういう疑問から出発するこの作品は、なんと言うか奇妙奇天烈、荒唐無稽、あまりのばかばかしさにあきれたりもするのだが、
何となくそれが許せてしまう緩さがある。

京都を舞台に学生たちが繰り広げる「ホルモー」という競技。「ホルモー」は大学サークルという枠組みの中で行われる。
「ホルモー」を軸に大学におけるサークル活動とそこにおける青春群像が繰り広げられるのであるが、
霊的で奇妙な「ホルモー」の不可思議さといかにも全うな学生たちの青春とのコントラストが面白い。
友人との葛藤や恋愛など誰もが通る学生生活が展開されていくのだが
その展開はどちらかというとステレオタイプと言っていいかもしれない。

この作品で描きたかったのはおそらくそうした学生生活のナンセンスでばかばかしい失敗やあとから思えば取るに足らない葛藤や、
若さゆえのぶつかりや転がりといった、「どうにもならなさ」、(つまりそれ自体が「若さ」そのものであったりするのだが)
へのオマージュでありノスタルジアなのではないか。
若いというのはそれだけで恥ずかしくもあり面映くもあるものなのだ。

しかし、このホルモーに出てくる鬼たち。ちょっと見てみたい気もするが見えるということは、「吉田代替りの儀」に出なくてはならないのか。
いやあ、それだけはちょっとカンベン・・・・。

BEAUJOLAIS NOUVEAU

2007-11-19 05:40:14 | 
週末にボジョレー・ヌーボーを楽しんだ。今年はサントリーが輸入したジョルジョ・デュブッフ社製をチョイス。
華やかなラベルが印象的なデザイン。
テイストの方は新酒らしいフレッシュさはもちろんだが、新人離れしたどっしりと落ち着いた風味もある。
それでいていやみがないのですっと入っていく。素直な性格で相手を選ばないところがいい。

鬼平犯科帳(23)特別長編 炎の色/池波正太郎

2007-11-18 08:53:44 | 
久しぶりの鬼平はまた長編。今回はレズビアンの盗賊の首領が登場するという異色の作品。
この首領のお夏におまさが引き込まれていく。
一方で何と平蔵に腹違いの妹がいることが分かる。
お夏の一味の「急ぎばたらき」と平蔵の妹の一件が絡み合い、スリリングな捕り物劇が始まる。

ストーリー展開はさすがというほかはない。
ただ、池波さんにしては腑に落ちない点が何点か。平蔵の妹お園と小柳同心が結ばれるそのいきさつが分からないところ。
もうひとつはお夏のその後。これについてはこの後の作品で触れられるかもしれないが、
これまでの池波さんならそういう細かいところの結末もちゃんと用意していてくれたのに、という思いは少し残った。

しかしながら、長編と言えども息もつかせず一気に読者を誘ってくれる手腕は相変わらずすばらしい。


seasons colurs 秋冬撰曲集/松任谷由実

2007-11-17 08:13:43 | 音楽
春夏撰曲集もなかなか渋い選曲だったが、
この秋冬撰曲集も今まであまり目立たなかった曲たちに光を当てている印象がある。

「撰曲集」となっていることからも伺えるように、詩に重きを置いた作品集だと思う。
季節が選曲の条件なのだからその季節のことを歌詞の中で取り上げていることはもちろんなのだが、
どちらを選ぶかといったいったときには、曲そのものの雰囲気やヒットの度合いよりも、より詩のいい方を選んだということではないか。
「恋人はサンタクロース」みたいなキャッチーな曲があえてはずされているのも、そういう理由からではないだろうか。
歌手、作曲家、作詞家といった観点から見るとこのコンピレーションは明らかに作詞家ユーミンに焦点を当てたアルバムだ。

秋のほうは「NIGHT WALKER」がなんと言っても切なかった。
リアルタイムで聞いていた高校時代を思い出して、あの頃の風景がくっきりと立ち上がってきた。
当時聞いていた時よりももっとずっといい曲だなあ、と感じる。
歌はやはり時代とともにあるものなのだと思う。

冬の方は「ノーサイド」に改めて感服した。スポーツマンではないユーミンがそれでも、しっかりとこのスポーツの本質に迫っている。
ラグビーやサッカーは冬のスポーツというイメージが強い。
今でこそ冬でもピッチは青々としているが、10数年前までは冬になると芝は枯れていかにも寂寞とした感じだった。
シーズンの終盤、終わり行く選手は何を思ってボールを蹴るのか。

もう1曲は「Walk on,Walk on by」。収録アルバムは95年の『KATHMANDU』。
僕にとってはもう最近のアルバムという感じだが、こういう曲を選んでくるというのがいかにも渋い。
ユーミンがもっとも得意とするミディアム・テンポの曲でバカラック調のアレンジが印象的。
そのスマートなアレンジに「嫉妬」というネガティブな感情をするっと滑り込ませている。

ユーミンの場合、どうしても曲全体のもつ個性に目がいきがちではあるが、
改めて詩を咀嚼しながら聴いてみると、普段は聞き流していた曲の中にもまた違った良さを発見できる。
このシリーズはまさにそこを意図したアルバムだと思う。

赤芋仕込み。ひむか寿

2007-11-16 05:32:16 | 
赤芋ということでなんとなく甘いのかなと思っていたが、意外にも非常に辛口。
がっぷりと組んで受け止めないと呑まれてしまいそうなほどクールな辛口。
この取っ付きのにくさというか、エッジの立ったシャープな切れ味、
来るなら来てみろと言わんばかりのキャラクターが面白い。
日常飲むにはしんどいかもしれないが、週末あたりにじっくりと腰を落ち着けて飲みたくなる焼酎だ。
宮崎県の最南端串間市の寿海酒造の25度。まだお湯割で飲んでいないが氷よりもお湯の方が飲みやすいような気がする。