ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

David T. Walker

2007-11-15 05:32:29 | 音楽
とにかくジャケットがかっこいい。
どことなくウォーホールのコラージュのようで、ジミヘンのような佇まいもある。
Davit T.WalkerのOdeレーベル3部作の最初の作品がこれ。このあと『Press On』、『On Love』と続く。

全体に彼の音楽的なバックボーンに繋がるような選曲になっている。
Jackson Fiveの「Never Can Say Goodbye」、Stevie Wonderの「Loveing You Is Sweeter Than Ever」、
Barry Mannの「On Broadway」、Neil Youngの「Only Love Can Break Your Heart」、Marvin Gayeの「What's Goin' On」・・・。
カヴァーした曲の数々から、数々のミュージシャンのバックでギターを弾きながら、
彼がどうやってその曲に感応していったかが垣間見られる。
ギターという楽器でどうやって歌と関わりあっていくか、その一端をこのアルバムで聴くことができる。

白眉は、Mac Davisの「I Believe In Music」だろう。
ゴスペルのコーラスに対峙するギタープレイは歌を殺さず、それでいて自らをしっかりといささかの誇張もなく主張している。
一方で、「I Want To Talk To You」や「The Real T.」といった自作曲では自らのギタリストとしての矜持を如何なく発揮している。
ジャジーでシュールなテイストの「The Real T.」は緊張と弛緩がない交ぜになった名演。

バックを支えているのはJoe Sample(key)、Wilton Felder(bass)、Paul Humphrey(ds)、Billy Preston(key)といった名手たち。
アレンジャーにはGene Pageの名前もある。

12月にブルーノート東京で彼のライブが行われるが、出かけてみようと思っている。
今はいわばそのための予習期間である。
これから彼がバックで弾いているものも少し聴いてみようと思っているが、膨大で何から手をつけよう。
こういう「困った」が実は一番楽しい。

さらば愛しき女よ/レイモンド・チャンドラー

2007-11-14 05:28:26 | 
秋の夜長はハードボイルド(笑)。
前に読んだジェイムズ・クラムリーが今ひとつぴんと来なかったので、フィリップ・マーロウで溜飲を下げることにした。

マーロウってヒーロー像としてはあまり完璧ではない。そのあたりは長谷川平蔵とも通底するものがある。
それでも、平蔵が部下を持っているのでなかなか素のままを出さないのに対して、フリーランスのマーロウはほろっとなってしまう時がある。
マーロウが女にもてるのは実はこのあたりの強さの裏にある弱さとうか、優しさがあるとき不意に顔をのぞかせるからではないか。

現実に起こる刺激的な事件や凝ったプロットのミステリーに麻痺されているのか、
古典的なこの作品における事件そのものは今となってはさほどの意外感はない。
大鹿マロイという人物もいろんなところで語られているほど、私には魅力的な人物像には思えない。
なんと言うか大男のくせに女々しいなあ、というのが率直な感想。
「愛しき女」ヴェルマもキャラクターとしてはステレオタイプで薄い印象。
そのなかでもマーロウを助けるアン・リアードンだけは一筋縄ではいきそうにないところに惹かれたりする。
こういうクールな女性っていいよなあ。キム・ノヴァクあたりが演じたらいいかも。(古すぎか)

マーロウの登場作品としては「大いなる眠り」に続いてまだ2作目ということもあり
マーロウ自体もキャラクターとしてこなれていない、ということはあるのかもしれない。
全体に登場人物のキャラクターをうまくつかめないままに終わってしまったというのが正直なところだ。

とにかくこの作品の白眉はやはり最後のマーロウのセリフと、最後の最後のセンテンスだろう。
チャンドラーにとっての男のロマンティシズムというものの一端を感じることができる。

紅雀/松任谷由実

2007-11-13 05:15:27 | 音楽
ユーミンの旧譜のCDはずっと音が悪いままだったので買い換えることなくそのままになっていた。
これまであまり気にしてこなかったのだが『seasons colurs』が出たのをきっかけに、
CDショップでユーミンの棚を見てみると、何だ旧譜も一斉にちゃんとリマスターされているではないか。
しかも99年というからもうずいぶん前の話だ。不覚。

ということで、秋らしい一枚をと思って買ったのがこのアルバム。
今まではアナログ盤でしか聴いたことはない。
結婚後EMIに移籍して最初のアルバムでリリースは78年の春。
ユーミンの長いキャリアの中でももっとも地味なアルバム。前作の『14番目の月』からの反動からかぐっと落ち着いたトーンになっている。
歌詞の内容も内省的で当時のユーミンの歳が22,3歳だったことを思えば
ずいぶんと大人っぽいというか、若干の背伸びも感じられなくはない。

「ハルジョオン・ヒメジョオン」で、風景の普遍性を"私だけが変わりみんなそのまま"と歌い、
「残されたもの」では"もう捨てるものは何もなくなる またひとりだけの時が始まった"と歌う。
通底するテーマはどうあがいても戻っていく「ひとり」ということか。
結婚してパートナーを得た直後に孤独をひとつの題材に取ったというのが、ユーミンのユーミンたる所以か。

マイナーながらも曲調はバラエティに富んでいる。
フォルクローレ調の「ハルジョオン・ヒメジョオン」、「罪と罰」のボサ、バカラックを意識した「出さない手紙」など
結婚を転機に今までとは違った作風に挑もうとする意欲作という感じがする。
シングル・ヒットはない。ライブの定番といった派手な曲もないが、味わい深い作品が詰まったアルバムだと思う。

All Dressed Up/David Roberts

2007-11-12 05:25:57 | 音楽
このアルバムもFrankie Bleuと一緒に買った。動機も同じ。
そしてこれも日本のAOR評論の第一人者、金澤寿和氏が関わっている。
アルバムのリ・イシューに金澤氏が尽力したそうで、David Roberts本人ともコンタクトを取ってリ・イシューにこぎ付けたのだそうだ。

David Robertsも本人名義としてはこの作品だけしかない。現在は作曲家として裏方で活動しているそうである。
ボストン生まれのカナダ人で、音楽コンテストに入賞したことからこの世界に入ることになったのだそうだ。
AORの世界にはこういう大きなヒットには恵まれなかった人たちがたくさんいる。
音楽の性格からいって、いわゆるメガヒットというものとは縁が遠いのかもしれない。

TOTOのプロダクションで制作されたアルバムの水準はかなり高い。
Jeff Pocaroのドラム、Steve Lukatherのギター・・・、悪かろうはずがない。
伸びやかで透明感のある素直なハイトーンのヴォーカルが時代の空気をよく反映している。
先のFrankie Bleuと同じ1982年の作品で制作も同じLAとくれば漂う空気も通じるものがある。

そして、David Robertsの場合もやはりバラードに優れたものが多い。
こういう秀逸なバラードをたくさん詰め込んで夜の首都高速をドライブしてみたいものだが、
最近とんとそういう楽しみとも縁遠くなったものだと思う。

J2第49節 東京ヴェルディ1969対ベガルタ仙台(調布・味の素スタジアム)1-1

2007-11-11 07:37:23 | サッカー
J2の昇格争いも終盤に来て激しくなってきた。昇格圏内は前節終了時点で、札幌87、東京V84、仙台79。さらに1差で京都が追う。
今節の大一番はその東京Vと仙台の直接対決だ。仙台にとっては自力での自動昇格に負けられない一戦となった。

雨の中、大勢のサポーターが詰め掛けたがとりわけ仙台サポーターが大挙して詰め掛けている。
はっきり言って、ホームの東京Vよりも多い。
仙台の一体となった応援はJ屈指だと思う。小気味良いチャントの数々を繰り出してホームを圧倒する。

試合は仙台のペースで始まった。
岡山を中心とした4バックはラインを高く保ち、前線との距離をコンパクトに保つ。
中盤の高い位置からプレッシャーをかけボールを持つとすばやく前線へと送る。
フッキ、ディエゴといったところは、ボランチがDFと一緒にブロックを形成して、2,3人で囲い込んでつぶす。
攻守とも連動した動きに躍動感がある。
左サイドの梁が流動的に動いているのが機能している。トップ下からボランチの位置まで流動的に動いてボールを捌く。
そんな中、その梁のミドルシュートが決まって仙台が先制。
仙台、久しぶりに見たがいいチームになったなあ。

大一番で硬くなっているのはむしろ東京Vの方か。セカンドボールがなかなか拾えない。
フッキがいい形でボールを受けられず、ボールの失い方も悪い。仙台の出足のよさにファールで止めるシーンも度々。
前半を1-0で終えた。

後半は東京Vが攻勢に出る。
すると前半のラッシュで攻め疲れたのか、仙台のDFラインがずるずると下がり始めた。
東京Vがバイタルエリアを使えるようになってくると、フッキも前を向いて仕事ができる。
フッキのスピードに仙台のDFがついて行けずに度々決定機を作られてしまう。
マークのずれを、東京Vが徹底して突き始めたのだ。

前後半でまるで形勢が逆転してしまった。
仙台は防戦一方となり、東京Vの得点は時間の問題のように思えた。
仙台もよく耐えたが、前がかりになったときの東京Vは脅威だ。
ディエゴにフリーでシュートを決められ同点。仙台は凌ぎきれなかった。

仙台としては東京Vが前がかりになってきたところで、凌ぎながらカウンターを狙いたかったところだが、うまく決定機を作れなかった。
試合はそのまま引き分けで終了。東京Vにとっては半歩前進。仙台にとっては痛い引き分けとなってしまった。

しかしゲームはスリリングな展開だったし、両チームとも気迫のこもったゲームを展開してくれた。
試合終了後、仙台サポーターから長い間コールが送られていたのが印象的だった。

天孫降臨

2007-11-10 10:42:34 | 
非常にフルーティで軽い飲み口。
これなら女性でも抵抗なく飲めるのではないか。
雲海酒造が作った芋焼酎。雲海酒造といえばそば焼酎の「雲海」で有名だが、
宮崎県北の高千穂町のメーカーだけに、男っぽくて野趣溢れる南の都城や鹿児島の焼酎などとはずいぶんとテイストが違う。

「天孫降臨」という大仰な名前とは違って優しい。
本格芋焼酎と比べれば物足りなさが残らなくもないが東国原県知事もご推奨というだけに、
飲みやすさでこれからもっとメジャーになっていくかもしれない。
それにしても、昔はこんな芋焼酎はなかった。
芋焼酎なんて田舎者の飲む酒だった。東京に出てきた20年前に町の酒屋にあるのは「霧島」と「白波」ぐらい。
若い女性が競って芋焼酎を飲む文化には隔世の感がある。


Who's Foolin' Who?/Frankie Bleu

2007-11-09 10:07:12 | 音楽
田舎に帰ったときにふらりと立ち寄ったCDショップに置いてあった。
この手のものはすぐに市場からなくなってしまうので見つけたときに即ゲットしておく。

1982年の作品。Frankie Bleuという人はこの一枚きりしかアルバムがない、いわゆるワンヒット・ワンダー。
AORというジャンルが最も花開いていた時代の一枚で、そうした音楽シーンの状況がなければ、
世に作品を問うこともなく終わっていたかもしれない。
作風は大仰なロックテイストのナンバーにメロウなミディアム・スローの曲がちりばめられている。
ナイーブなヴォーカルがジャケットの雰囲気に良く合っている。

詳細は金澤寿和氏のライナーにあるのだが、シアトル出身でJoe Chemayと友人関係であったところからこのアルバムの制作に至ったのだとか。
いろいろと調べてみると、かのThom Bellがプロデュースした「The Fish That Saved Pittsburgh」のサントラで同じ名前の人が歌っている。
このアルバムは持っているので、聞き返して同一人物かどうかを確認しようと思ったのだが、レコード棚のどこを探しても出てこない。
どこにしまいこんでしまったのだろう?
そんなわけで、彼とフィラデルフィアとの関係もよく分からずじまいだった。

アルバムには山下達郎の『Circus Town』にも参加していた、キーボードのJohn HobbsとギターのBilly Walkerの名前もある。
プロダクションそのものはLAのコネクションによるものと思われる。

全曲を退屈しないで聴けるという感じではないが、「Just For You」などにはBill LaBountyあたりに通じるテイストがあるし、
「Where Would I Be Now?」や「Take Your Time」あたりのバラードはなかなか秀逸でメロディセンスがすばらしい。

MY CREW/村田和人

2007-11-08 05:54:55 | 音楽
村田和人自身のプロデュースによる3作目がこの作品。
前2作のプロデュースを山下達郎のプロデュースに委ねていたが、
そのときに学んだプロデュースやアレンジの手法を実際に発揮して制作したとライナーにはある。
アルバムが発表されたのは1984年。当時村田は山下達郎のツアーメンバーとして参加しており、
僕もコンサート会場で目にしている。とても多忙な時期だったようである。

村田は自らのライブ用バンドを持っており、このアルバムはそのバンドを核にして作られている。
PIPERの山本圭右らがいたバンドにはかの小室哲哉も参加していたというのがちょっと意外だ。(アルバムには参加していない)

1曲目の「We Love You」がもう骨太なアメリカンロック。
ウエストコーストという括りの音楽から連想されるさまざまな引き出しが試されていおり、
「あの波をつかまえて」のようなハモンドオルガンをフィーチャーしたロッカバラードも楽しい。
そして、竹内まりやとのデュエットで知られている、隠れた名曲「Summer Vacation」も収録されている。
山下達郎が自分の番組で自らのヴォーカルに差し替えたものを披露したりしていたが、
ウェットな達郎よりも村田和人の声のほうが竹内まりやのヴォーカルにはよく合うような気がする。

とにかくディストーションの効いたサウンドからは煌く陽光がさんさんと降り注いでくる。
乾いた誇りっぽい蜃気楼のハイウェイ。その向こうからやってくるのが村田和人の歌声だ。

DOWN TOWN/エポ

2007-11-07 05:43:15 | 音楽
エポの旧作も紙ジャケで一新されている。
デビュー作。Sugar Babeの「Down Town」をカヴァーしている。
なんだか初々しい。エポはデビュー当時は体育大学の学生だったということからしても、とても素直な溌剌としたイメージがあった。
特に初期の作品群からはそうした健康的な雰囲気が感じられる。
その後はいろいろと紆余曲折があり、彼女自身ポップで健康的なイメージを払拭したような作品を出していた時期もある。
そのことで彼女自身が苦しんでいたふしもある。
例えば、ユーミンや矢野顕子みたいに若いときから変質しない一貫したものを持っているアーティストは、時代に対してのしなやかさがある。
ところが、初期のエポのような若さだけが持つフィジカルな側面がキャラクター・イメージになるとつらい。
素直なだけにどうにもならなくなる。
だから、近年のエポがフィジカルとは声そのもの、歌そのもののと捉えて向き合っていることは、
ある意味で必然的というかそれこそがエポだという気がする。
そしてファンとしてはそういうところに行き着いたことになんだかほっとさせられるのだ。

ほとんどを自作曲で占めているが、「約束は雨の中」や「珈琲タイム」のような曲は
やはり19才の女の子が背伸びして書いているといった感がしなくもない。
今本人が聴くとどう思うのだろう。やっぱり気恥ずかしいものなのだろうか。
一方で、「日曜はベルが鳴る前に」や「水平線追いかけて」ミディアムな曲には才能を予感させてくれる。

若い可能性を導いているのは、山下達郎、竹内まりや、林哲司、林立夫といった職人たち。
高校の後輩でもある若い佐橋佳幸も参加している。

怪我の具合

2007-11-06 22:17:16 | ジョギング
左膝の半月板損傷からそろそろ1ヶ月が経とうとしている。
ここ数日一段と回復していることを実感している。
もちろんまだ痛みはあるが、今日ようやくストレッチの許可が出た。
太腿の前と後ろと股関節を膝に注意しながら軽くストレッチ。
しばらく使っていなかったところを伸ばすので気持ちがいい。
しかし、早く走りたい。うずうずする。