ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

北京オリンピックアジア最終予選 U-22日本対U-22サウジアラビア(東京・国立競技場)0-0

2007-11-22 22:47:22 | サッカー
代表の試合を見に行くのは久しぶりだ。
子どもの所属するサッカークラブに東京都サッカー協会から斡旋販売の案内がきた。
確か残り2試合を残してカタールがグループ首位に立っていた頃だったと思う。最終戦までもつれることは必至の展開。
そうなるとヒリヒリとした勝負の瞬間を見てみたい。迷わずチケットを申し込んだ。

最終戦はカタールの展開をにらみながらサウジと戦うことを想定していたがカタールがサウジに逆転負けを喫し予選敗退、
2位に浮上したサウジと雌雄を決することになった。
日本は勝てば文句なく、引き分けでも五輪出場が決まる、サウジは勝たなければならない、
という状況設定に当初は売れ行きの良くなかったスタジアムはほぼ満席となった。

今年一番の寒さが訪れた国立競技場。
期待と不安が薄くスタジアムの空気を支配するなか19:20にキックオフ。柏木、李が元気よくサウジ陣内に駆け込んでいく。
序盤はプレッシャーからか動きの硬い日本に対して、サウジが攻勢をかける。
8分、右サイドをドリブルで持ち上がろうとした水野が自陣でボールを奪われる。
そのままペナルティエリアに切れ込みシュート、GK西川が弾いたボールを詰めていたアルゴワイニムが再びシュート。
西川の逆に放たれたシュートに誰もが失点を覚悟したが、青山(敏)がゴールライン上で値千金のブロック。日本最大のピンチだった。
サウジは想像以上に組織的なサッカーを展開していた。全体をコンパクトに高い位置からプレスをかけ、奪ったボールはしっかりと繋いでくる。
出足の良さに前半は日本の防戦が続いたが、サウジも決定力に欠け前半をスコアレスで折り返す。

一転して後半は日本が主導権を握る。5分岡崎のシュート、続く10分には細貝が決定的な場面を作るがキーパーが好捕。
その後も決定的な場面を幾度となく作るが、相手DFの集中した守備を崩せない。
試合は次第に我慢比べの様相を呈してきた。30分を過ぎて勝つ以外に予選突破がないサウジはリスクを覚悟で前に出てきた。
手に掬った集中力という水を最後に切らしたほうが負けである。水はぽたりぽたりと滴り落ちる。
水を切らさずに最後まで持ち続けることができるか。
次第に観客は1点がどちらに転ぶかで試合は半ば決してしまうことをひしひしと感じ始める。
緊張感がスタジアム全体を覆い始める。この時間帯にサウジに先制されるようなことになると日本は厳しくなる。
もし日本が先制すればサウジは2点のビハインドを背負うことになり、日本は俄然優位に立つ。
最後まで水を持ちきれるか。集中力を切らしたほうが負けである。
果たしてサウジの波状攻撃を必死に凌ぎ最後まで水を切らすことなく、スコアレスのままゲームセットの笛が鳴った。日本は凌ぎきった。

それにしても、と思う。40分過ぎから日本は完全に引き分け狙いになった。コーナーキックのボールをキープして時間を稼ぐ。
無理もない。この試合には負けるわけにはいかない。引き分けでも予選突破が可能な以上この時間帯ではそれもやむなしだとは思う。
しかし、ファンはそれを観に来たのか。勝って予選突破をする姿を見に来たのではなかったのか。
戦前反町監督もそう言っていたはずだ。「勝つことだけを考える」と。
日本は最後まで圧倒的な力で予選を突破することができなかった。引き分けてもいい試合で本当に引き分けてしまった。しかもスコアレスで。
そこに日本が各年代で共通して持つ脆弱性がある。しっかりとした守備はできた。
しかしその守備が高い位置でも機能するかである。高い位置でボールを奪えてこそ初めて得点の確率も高くなるのだ。
本大会では高い位置で守らなければ攻撃も守備もほころんでしまう。世界レベルは自陣で引いて守るだけでは許してくれないだろう。

本番に向けて、困難なそしてやりがいのある宿題が残った。


最新の画像もっと見る