ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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J1第33節 FC東京対大宮アルディージャ(調布・味の素スタジアム)1-2

2007-11-25 08:32:43 | サッカー
今年のJリーグも残すところあと2試合。東京はホーム最終戦を迎えた。
数日前に原監督とコーチ陣の退任、土肥、福西の来期契約非継続が発表された。
来期へ向けた体制作りに早々と着手したというところだろうが、多くのファンがフロント自身の責任が明確にされないのを不満に思っているようだ。
それにしても、Jリーグにおいてはステークホルダーとしてのファンの発言力は非常に大きなものがあると思う。
ジャイアンツが優勝を逃したからと言ってファンが渡辺オーナーのクビを云々するということはまずない。
経営と執行がない交ぜになっているJリーグのクラブというのは、いまだ中小企業の域を出ていないのかな、という気もする。
チームの成績はクラブ経営のワン・オブ・ゼブだということをきちんと説明してもいいのではないか。
株主でもないファンに会社の経営者のクビを切る権利はない。
ただ、世論の高まりによって自ら辞めざるをを得なくなった経営者はいくらでもいるということだ。

話が思わぬ方向に行きそうなのでこれぐらいにして、それにしてもこの試合、今年の東京を象徴する試合になってしまった。
どうにもかつかみどころがない、試合の主導権を握っているようでそうでもない。結局先制しながら逆転負け。
終了間際の失点で逆転負けという、大宮にはどういうわけかこういう煮え湯を飲まされる。

試合前の大宮は自動降格圏内にいた。最終節が川崎戦だということを考えると、勝つために前に出てくるだろう、と思っていた。
だが、残留を争っている彼らは、残留争いのためのタクティクスを身に付けていた。
残留争いには残留争いのしたたかな闘い方があるのだ。
全体をコンパクトにして、最終ラインとボランチのところでブロックを形成している。
だから東京は相手陣内に侵入することはできても、狭いところでパスを廻さざるを得なくなる。非常に窮屈。
それを打開するためにサイドチェンジを有効に使ったが、外に持ち出しても中がいないのはいつものとおり。
ルーカスひとりに単調に合わせるだけでは、チャンスは生まれない。
馬場、石川、栗澤はサイドにボールが出たときにはルーカスの近くで起点を作らなければいけない。

一方大宮は決して攻め急がない。前半は凌いで後半にカウンターから一気に勝負をかけようということか。
ある程度のラインを保ちながら(ということは東京にボールを持たせて)、奪ったら吉原や森田を走らせる。
本当のところはどちらが試合をコントロールしているのか分からないままに前半はスコアレスで終了。

後半は早々に試合が動いた。右サイドの徳永を起点に梶山のトリッキーなヒールパスを中に切れ込んでいた石川が体制を崩しながらシュート。
これが鋭くゴール隅に突き刺さり先制。点を取れば一番盛り上がる男の渾身の一撃。
ここから一気にイケイケに・・・ならないところが今年の東京である。
そのわずか2分後、今期初先発の八田が自陣でクリアミス。これをかっさらわれ吉原がしぶとくエンドラインぎりぎりまで運びクロス。
これを詰めていた藤本がフリーで受けてゴール。これで大宮は活気付く。

東京は馬場に代えて平山を投入するが、これで組織的な展開が難しくなり、ボールは行ったり来たりを繰り返す。
平山を起点にしたいのならもっとシンプルに平山に当てていくことを考えればいいのだが
前半のサッカーを中途半端に引きずっている感じ。
大宮も決定的な場面をなかなか作ることができず、このままドロー決着かと思われた89分、
レアンドロが業を煮やしたかのように猛然と重戦車のごとくドリブルで持ち上がってくる。
東京のDF陣を蹴散らしてゴール。結局は個人の一撃で沈められてしまうという、ホーム最終節にしてはあまりにも冴えない幕切れだった。

大宮はこれで自動降格圏を脱出。レアンドロの一撃はまさに値千金だった。
甲府は負けて降格が決定。広島も負けて次節広島が勝って大宮が負けたとしても得失点差から広島の入れ替え戦は濃厚。
一方、優勝争いはガンバが神戸に終了間際に追いつかれ3位決定。
そして大一番の浦和と鹿島の直接対決は鹿島が退場者を2人も出しながら執念で1点を守りきり、首の皮一枚でつながった。
大詰めでドラマが生まれた一日だった。