電子申請の現在と未来(2)、停止の背景にある低価格化の流れの続きです。
「電子申請の停止」の背景として、厳しい利用状況と低価格化を挙げましたが、もう一つ大切なのが「更新時期」です。
●情報システムの更新時期
情報システムを使うためにはメンテナンスが必要ですが、一定の期間が経つと、そのまま使い続けることが難しくなります。この一定の期間が経つ頃を「更新時期」とします。
携帯電話でも、3年ぐらい使うと、「このまま使い続ける」か「機種変更する」か「携帯会社を乗換える」かなどを考えることと思います。
情報システムでも、更新時期を迎えると
1 このまま使い続ける
2 機能追加や改良などをして使い続ける
3 他の(より安くて便利な)システムへ切り替える
4 システムの利用を停止する(=業務やサービスを一時中断する)
5 システムの利用を止める(=業務やサービスを廃止する、撤退する)
といった選択を迫られます。
更新時期は、情報システムの取り扱う業務や契約内容にもよりますが、一つの目安として「5年」があるでしょう。
電子申請のような新しいサービスを実現する未成熟なシステムの場合、3年ぐらいで見直しの検討を始めて、5年後に切り替え等を実施するのが良いと思います。
ちなみに、法律でも、将来の変化予測が難しい分野では、「施行後5年で再検討する」といった条文が見られます。
★電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年五月三十一日法律第百二号)
附則
(検討)第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする
●電子申請の更新ラッシュが始まる?
GPKIや公的個人認証サービスなどの認証基盤(本人確認等の仕組み)が整備されたのが、2003年から2004年にかけて。その後、インターネットを活用した電子申請が始まりました。
関連>>電子政府タイムテーブル
つまり、初期の(コスト高な)電子申請は、2004年から2005年ぐらいから始まったので、それから5年が経過した2009年から2011年ぐらい、つまり今年から来年や再来年に更新時期を迎えることになります。
5年の間に、価格破壊ともいえる電子申請の低価格化が進んだので、
1 このまま使い続ける
2 機能追加や改良などをして使い続ける
3 他の(より安くて便利な)システムへ切り替える
4 システムの利用を停止する(=業務やサービスを一時中断する)
5 システムの利用を止める(=業務やサービスを廃止する、撤退する)
利用低迷の電子申請であれば、1や2が選択される可能性は低く、3や4や5が選ばれることになるでしょう。
ある程度の利用がある電子申請なら、「機能追加や改良などをして使い続ける」ことになると思います。しかし、昔のようなバブリーな価格での運用費は通用しないので、コスト削減の検討や要求をするべきでしょう。もちろん、より低価格なシステムへの切り替えもあり得ます。
このように、現在、多くの電子申請が停止されることは、当然の結果であり、自然な流れだと作者は理解しています。
「電子申請の停止」も、「電子申請が更新時期を迎える」と考えれば、ベンダーにとっては大きなチャンスとなります。
特に、安価で使いやすいASP型の電子申請を提供するベンダーにとっては、「切り替え・乗り換え」が期待できるでしょう。
他方、行政にとっても、更新時期は良い機会となります。うまく活用して、コスト削減だけでなく、電子政府・電子自治体の戦略自体を見直すと良いでしょう。
次回は、「なぜ、使われない電子申請が作られたのか」を考えてみたいと思います。
電子申請の現在と未来(4)、国民不在のまま電子申請を作ることが目的化した
「電子申請の停止」の背景として、厳しい利用状況と低価格化を挙げましたが、もう一つ大切なのが「更新時期」です。
●情報システムの更新時期
情報システムを使うためにはメンテナンスが必要ですが、一定の期間が経つと、そのまま使い続けることが難しくなります。この一定の期間が経つ頃を「更新時期」とします。
携帯電話でも、3年ぐらい使うと、「このまま使い続ける」か「機種変更する」か「携帯会社を乗換える」かなどを考えることと思います。
情報システムでも、更新時期を迎えると
1 このまま使い続ける
2 機能追加や改良などをして使い続ける
3 他の(より安くて便利な)システムへ切り替える
4 システムの利用を停止する(=業務やサービスを一時中断する)
5 システムの利用を止める(=業務やサービスを廃止する、撤退する)
といった選択を迫られます。
更新時期は、情報システムの取り扱う業務や契約内容にもよりますが、一つの目安として「5年」があるでしょう。
電子申請のような新しいサービスを実現する未成熟なシステムの場合、3年ぐらいで見直しの検討を始めて、5年後に切り替え等を実施するのが良いと思います。
ちなみに、法律でも、将来の変化予測が難しい分野では、「施行後5年で再検討する」といった条文が見られます。
★電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年五月三十一日法律第百二号)
附則
(検討)第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする
●電子申請の更新ラッシュが始まる?
GPKIや公的個人認証サービスなどの認証基盤(本人確認等の仕組み)が整備されたのが、2003年から2004年にかけて。その後、インターネットを活用した電子申請が始まりました。
関連>>電子政府タイムテーブル
つまり、初期の(コスト高な)電子申請は、2004年から2005年ぐらいから始まったので、それから5年が経過した2009年から2011年ぐらい、つまり今年から来年や再来年に更新時期を迎えることになります。
5年の間に、価格破壊ともいえる電子申請の低価格化が進んだので、
1 このまま使い続ける
2 機能追加や改良などをして使い続ける
3 他の(より安くて便利な)システムへ切り替える
4 システムの利用を停止する(=業務やサービスを一時中断する)
5 システムの利用を止める(=業務やサービスを廃止する、撤退する)
利用低迷の電子申請であれば、1や2が選択される可能性は低く、3や4や5が選ばれることになるでしょう。
ある程度の利用がある電子申請なら、「機能追加や改良などをして使い続ける」ことになると思います。しかし、昔のようなバブリーな価格での運用費は通用しないので、コスト削減の検討や要求をするべきでしょう。もちろん、より低価格なシステムへの切り替えもあり得ます。
このように、現在、多くの電子申請が停止されることは、当然の結果であり、自然な流れだと作者は理解しています。
「電子申請の停止」も、「電子申請が更新時期を迎える」と考えれば、ベンダーにとっては大きなチャンスとなります。
特に、安価で使いやすいASP型の電子申請を提供するベンダーにとっては、「切り替え・乗り換え」が期待できるでしょう。
他方、行政にとっても、更新時期は良い機会となります。うまく活用して、コスト削減だけでなく、電子政府・電子自治体の戦略自体を見直すと良いでしょう。
次回は、「なぜ、使われない電子申請が作られたのか」を考えてみたいと思います。
電子申請の現在と未来(4)、国民不在のまま電子申請を作ることが目的化した
とは、むたさんですが、同感です。司法書士や司法書士会が新オンライン登記申請ステムに、「協力しない」と一言主張すれば、新システムは一気に崩壊します。
「登記・供託オンライン申請システム」に関する意見募集
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji189.html
私もチェックしてました。
個人的には、まさに蟻地獄の典型と思います。
「使えないシステムを、税金をかけて、無理やり使わせる」という電子政府お得意のパターンですね。
登記については、情報検索・閲覧・二次利用といった分野に投資するべきであり、
不動産登記の申請は、オンラインから速やかに撤退した方が良いでしょう。
今後は、現行の不動産登記制度で起きている諸問題の解決を検討する中で、問題解決に役立つICT活用を考えることが有益と思います。
司法書士さんには、政府が行う無駄なオンライン登記申請システムの開発などに時間と労力を浪費しないで、その知識や経験を、登記制度自体の改善に生かしていただきたいですね。
「登記・供託オンライン申請システム」に関する意見募集(平成21年11月)の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=300080061&OBJCD=&GROUP
登記システムも丁度今が「更新時期」なのでしょう。この更新時期での運営を失敗すると、取り返しが付かないことになるように思える。パブコメでの意見や回答を読むに、蟻地獄に落ちてもがいている風にもみえる。もう、這い上がることは駄目かもしれない。