OT園通園日記

車椅子生活の母を老人ホームへ訪ねる日々。でもそればかりではいられない!日常のあれこれを書いています。

ボーイフレンド

2006年01月24日 | 母のこと
母が元気であちこちと出かけていた頃(もう1年半以上前になる)、毎月数枚の無料ご招待券が送られてきた。
題名のない音楽会の公開録画入場券だったり、深夜の音楽会(読売?)だったり、新日鐵アワーの公開録音だったり。
音楽好きのお知り合い、Mさんが母に代わって応募葉書を出して下さり、全部はずれの時は気の毒がって他の方の余っているものを調達して送ってくださっていた。
だから母は月に数回音楽会を楽しむことが出来たわけで、私も時々はお相伴にあずかって、まだ今ほど有名ではなかった西本智美さんやチョン・ミョンファ氏、金聖響氏などがタクトを振る音楽会を楽しませて頂いた。

毎月、何枚もの葉書を書いたり(随分めんどうな仕事だと思うのだが)、当たったかどうかを電話で問い合わせて下さったり、そしてたまには音楽会のあとの軽いお食事やお茶を楽しんでいたようだ。
エジプトへのツアー旅行で知り合ったというが、まあボーイフレンドのようなものかな。

母が事故にあったあとも、Mさんから葉書を頂いたり、お電話を頂いたりしていたのだが、今年の年賀状のお返しで元気になったことをお知らせしたこともあり、是非伺いたいとお見舞いに来て下さった。

MさんのおみやげはシャネルのNO19オードトワレ。
母は嬉しそうに頂いた袋を覗いたが、食べ物でないと分かったとたん、ベッドの上に放り出し、私が持参した桜餅ににっこりしている。
久しぶりの再会に話が弾んではいるのだが、よく聞いていると少しずれている部分もあるような…。
Mさんのお話しは、音楽会、絵画の展覧会、そして能や謡いのお話しなどとても興味深い。
そしてこういう話に、母は的確な相づちを打ち、的確な質問を発する。
どうにも話がずれてしまうのは、事が自分の身に及んだ時だ。
「遠いところのコンサートにはもう行きませんのよ。夜は足元も悪いですしねぇ。」
「旅行にも行きたいんですけれど、娘が心配して前みたいに一人で出かけさせてくれませんから」etc.
母の口から出たのでなければとてもまともなのだが、やはり母は自分の体の現状を認識していられないことが分かってしまう。
まあ、「もう一生車椅子!」なんていう事実を心に重く抱えて生きることもないのかもしれないけれど。

一時間半ほど楽しくおしゃべりをして、Mさんは帰られた。
伺ったところによると、午前中は日本橋三越で個展を鑑賞していらしたとのこと。
その後、こちらにいらして、また、東京駅の大丸に「わたせせいぞう」の絵を見に行くとおっしゃる。
もう70歳はとっくに過ぎていらっしゃるようだが、お元気で活動的なことに驚かされた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿