エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

新著『スマートグリッド「プランB」』への第1号コメント

2012-05-14 00:24:21 | Weblog
エネルギーのYOUTUBEが実現する?, 2012/5/11

By プランBでいこう "kisf4"

レビュー対象商品: スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ (単行本)

著者が、前著「節電社会のつくり方ースマートパワーが日本を救う!」で警告していた状況が、現実のものとなりつつある。
原発ゼロ、原油不足、エネルギー不足で息も絶え絶えになりそうな日本。そして不都合な真実がある限り、賛成反対と関係なく原発存続は難しいのが現実なのだ。経済も政治も先が見えない今の日本で、エネルギーシフトは美しい夢みたいなもの、再生可能エネルギーやスマートグリッドの全面的な実現までには、まだ先が長い、そう思っている人が多いのではないか。

そんばことはないとこの本は教えてくれる。なにも最高の技術を盛り込んだ巨額の設備投資や、ユニークな「ガラパゴス型インベンション」がベストの解決法ではない。それをプランAと呼ぶなら、もっと簡単な方法がプランBだ。プランBとは、たとえば今あるハード・ソフトを上手く組み合わせた、即実行可能な、いわば「iPhone型のイノベーション」。今ある設備や技術を生かして、日本の現状に即して、どうアダプトしていけばいいかの処方箋だ。というより、今の日本は、それを即刻実行に移さなければ、もはやヤバいかもしれない。

電気の話、エネルギーの話は難しい技術の問題と思いがちだけれど、ちょっと発想を変えて、ちょっと仕組みを変えて、ちょっと接続を変えれば、今の仕組みを生かしながらいろいろなことができる。そういう柔軟な発想に踏み出せるかどうかだ。
「金融」や「通信」といった大きなメカニズムが20世紀後半から21世紀にかけて大きく変わった中で、エネルギーについては戦後に電力やエネルギーの仕組みが確立してからは、メカニズムが何も変わっていなかったことに驚愕する。電気は大型の発電所で作られ、一方的に送られてくるものだと私たちは思い込んできた。

そうではない。究極的には、エネルギーはネットワーク化する。そうなれば、受け取るだけじゃなく、売ったり譲ったりすることもできる。自分の乏しいイメージでは、エネルギーの一部は、YOUTUBEのような仕組みになる感じを想像する。

難しい分野なので、自分に正しく理解できていないところがあるかもしれないが、スマートグリッド、固定価格買取制度、再生可能エネルギー、コジェネ、プラグ・イン・ハイブリッドなど、日常断片的に接しているエネルギー用語について、パズルのピースの意味が語りこまれている。著者は90年代のICT革命とも深くかかわり、エコポイントの提唱者でもある。技術だけでなく、社会や経済の全体状況や仕組み、その中にスマートグリッドをどう置くかを考え抜いている。また今後のエネルギー再編で見ていくべきポイントが整理されているので、この分野をよく知りたい人、積極的にかかわろうとしている人、情報を整理したい人には大変役立つと思う。