エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカのGreen Bank=減CO2バンク構想

2010-02-24 05:34:29 | Weblog
米下院を通過したWaxman-Markey法案には、Green Bank設立構想が盛り込まれています(こちらをご覧ください)。財務省が100億ドルを拠出してCoalition for the Green Bankに基金を設立して、その基金が銀行に対して、20年の償還期間の下に1,000億ドルの債務保証をし、その銀行が出資を受けた資金と共に総額2,000億ドルを再生可能エネルギー事業者に対しての投融資しようというものです。
 これにより、化石燃料の20%以上を再生可能エネルギーで代替し、100GWの電気を供給することを目標としています。私が提唱する「減CO2(ゲンコツ)バンク」に近い考え方といえます。
  ワシントンDCで開催されたGridwise Weekでは、以下の領域がスマートグリッド関連の新規産業分野として、以下が提示されました。
・A need to manage multiple networks
・Integrated security services management
・Integration of multiple eco-system partners
・Efficient use of power from various renewable sources
・Operation of home energy managemant from mobile devices
・Inplemantation of neighborhood energy solutions
・New network requirements for energy management
・New appliance offerings
・SG driven,flexible,economic and financial models for SP
・New entrepreneurial vntures and creations yet to be realized

GE、マスダール・シティでスマート家電の実験へ

2010-02-23 22:04:07 | Weblog
GEは、ケンタッキー州ルイビルでスマートグリッド対応洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、電子レンジの実験を行っていますが、2010年前半には、これらの家電製品のプロトタイプと家庭用のエネルギー管理システムをアラブ首長国連邦に持ち込み、アブダビに220億ドルをかけて建設される「マスダール・シティ」(Masdar City)で実験を行うことを明らかにしました。
 GEは、2010年前半に最初の家電製品群をマスダール科学技術大学(Masdar Institute of Science and Technology)の建物内に設置することを計画しています。
 実験を行う建物には、コンピュータ制御の「ホーム・エナジー・マネージャー(HEM)」を設置します。HEMは住宅設備に対する中枢システムとして機能し、一般消費者はエネルギーの発電状況や利用状況を確認することが可能になります。さらに各住居には220V、50Hz対応の冷蔵庫と電子レンジ、乾燥機能付き洗濯機の3種類のスマート家電を設置します。これらのスマート家電は双方向通信機能と高度な動作制御機能を備えており、通信機能によって収集した電力に関する各種の情報を考慮して、スマート家電の動作を自動で制御します。電力需要がピークになる時間帯では各住居の電力消費量を抑えたり、電力料金が一定レベルを超えて増えている住居があれば使用電力を抑えたりする使い手の需要に対応した制御が可能になります。
 「マスダール・シティ」のパイロットプロジェクトは、マスダールの完全子会社であるムブダラ開発(Mubudala Development Company)とGEとの間で結ばれたより広範な関係の一環として行われます。
 両者のこの関係は、航空、商業ファイナンス、産業ならびに企業の学習まで幅広い分野の取り組みを含んでいる」とGEはプレスリリースのなかで述べています。

シャープとイタリア・エネル社との提携事業開始へ

2010-02-23 04:54:23 | Weblog
 シャープはエネルとの間で、合弁による薄膜太陽電池の現地生産と太陽光発電事業に関する契約を締結したと発表しました。薄膜太陽電池は、2011年初めの生産開始を目指しています。
 同プロジェクトについては、08年5月に両社間で基本合意に達していましたが、その後発生した世界的な金融危機により、予定より1年ほど遅れての契約締結となりました。この影響で、事業計画にも変更が加えられました。
 薄膜太陽電池会社は、エネルのグループ会社で再生可能エネルギー発電専門のエネル・グリーン・パワー、半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスとシャープの3社合弁(各社33.3%出資)で、生産開始時期を11年初めに設定しました。稼働当初の年間生産能力は、前回発表時の480メガワット(MW)から3分の1の160MWに縮小しました(段階的に480MWまで拡張する予定です)。エネルのプレスリリースによると、太陽電池生産への当初の投資額は合計3億2,000万ユーロ(1ユーロ=約132円)となる予定です。
 また、エネル・グリーン・パワーとの合弁(10年3月末設立予定)で参入する太陽光発電事業(複数の発電所を設置)については、発電設備の規模を「12年までに合計189MW」から「16年までに計500MW以上」に変更しました。
 薄膜太陽電池の生産は当初の予定どおり、南部シチリア州のカターニア県にあるSTマイクロの既存の半導体工場を活用しする。同工場は、現在は操業が停止されている状態です。なお、当初予定されていた組立工場の設置については、今回は発表されていません。
 薄膜太陽電池のパネルは、高温環境で中規模以上の設備での発電に適していることから、今後需要増加が見込まれる地中海周辺国を中心に供給していくほか、スペイン(最大手の電力会社エンデサに92%出資)、フランスやギリシャで展開予定の発電事業にも利用する計画です。
 また、同工場は国内最大の太陽電池工場となるため、雇用面でも期待が寄せられており、少なくとも600人以上の雇用創出効果を見込んでいます。

(注)エネル・グリーン・パワー(EGP)は、イタリアを含む14ヵ国で再生可能エネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど)による発電事業を展開し、合計4,700MWの発電設備を保有。

「進捗報告:クリーンエネルギー社会への移行」にみるアメリカのグリーンイノベーション

2010-02-22 06:35:17 | Weblog
 バイデン副大統領は、オバマ政権が発足から約1年間に講じたクリーンエネルギー関係の施策とその成果をまとめた「進捗報告:クリーンエネルギー社会への移行」を大統領宛てに提出しました。「2009年米国再生・再投資法」や、既存のプログラムによる再生可能エネルギー利用促進策・エネルギー効率向上策のほか、国有地利用の改善などの措置を含む網羅的な内容となっています(こちらをご覧ください)。
 報告書によると、09年2月に成立した2009年法のクリーンエネルギー関連予算として、約800億ドルが充てられました。これと民間などからの投資を合わせて1,500億ドルのクリーンエネルギー事業が創設され、また、既存のプログラムによってさらに約900億ドルの事業が創設されたということです。これらの予算には、グラントなどの助成プログラムのほか、政府による貸し付けプログラムや税制の優遇措置なども含まれています。
 分野別報告の概要は次のとおりです。

1 再生可能エネルギー:発電促進に向け国有地利用を改善
 再生可能エネルギーについては、今後3年間で発電量を倍増するための施策を講じています。2009年法の234億ドルによって、25万3,000人の雇用創出が見込まれます。また、これに合わせて行われる民間などからの投資430億ドルによって、さらに46万9,000人の雇用が創出される見込みです。
 また、国有地での再生可能エネルギー利用発電にかかる手続きを合理化するため、9つの連邦機関が覚書を締結しました〔09年10月23日に農務省、商務省、国防省、エネルギー省(DOE)、環境保護庁、環境評議会議、歴史遺産保存諮問委員会、内務省、連邦エネルギー規制委員会が締結した覚書〕。これにより、国有地利用許可にかかる時間が3分の1程度に短縮される見込みです。既に30件の国有地での再生可能エネルギー利用発電プロジェクトが、合理化された手続きの下で申請されています。
 内務省は、再生可能エネルギー調整室と西部のプロジェクトを支援するためのチームを創設しました。さらに同省は太陽光発電施設のために国有地の利用を1,000平方マイル(2,590平方キロメートル)に拡大する措置や、連邦エネルギー規制委員会と協力して、沖合風力発電促進の助成措置を創設しました。
 これらの施策によって、再生可能エネルギー利用発電量を09年当初の27.8ギガワット(GW)から12年には55.6GWに、国内の再生可能エネルギー利用装置の製造能力を09年当初の6GWから12GWに、ともに倍増を目指しています。

2 電気自動車:製造工場の新設に貢献
 クリーン自動車については、プラグインハイブリッド車、電気自動車、充電施設などインフラ整備、新たなクリーン燃料などへの投資として160億ドルのプログラムを発表しました〔09年8月5日に発表された2009年法による先進的自動車用バッテリー製造施設に対する助成措置のほか、既存のDOEの先進技術自動車製造(ATVM)貸し付けプログラムによる支援(フォード、日産、テスラ、フィスカーなどの電気自動車やバッテリー製造施設に対する貸し付けを発表)などを含む〕。
 これにより、今後6年間で3つの新たな電気自動車製造工場が立ち上がり、バッテリーなど30の自動車部品製造工場が生産を開始します。なお、2009年法施行前は、国内には年間1,000台以上の電気自動車を生産する工場は存在せず、自動車用バッテリー工場もインディアナ州とカリフォルニア州に1件ずつあるだけでした。
 また、クリーン自動車関係のインフラ整備として、10数都市に1万ヵ所以上の充電施設を整備する予定です。
 バイオ燃料は、現在90億ガロンの国内生産を22年までに4倍の360億ガロンにし、そのうちセルロース系などの次世代バイオ燃料の生産を210億ガロンにすることを目標としています。景気対策法は、当該分野の支援のためのグラントや貸し付けプログラムとして約6億ドルを用意しており、政府による貸し付けプログラムなどと合わせ、19のバイオ燃料精製のパイロット、実証・商用規模のプロジェクトを支援する予定です。なお、約6億ドルのうち約5億6,000万ドルはDOEのグラント、約5,000万ドルは農務省の貸し付けプログラムで、両措置とも09年12月4日に対象事業が発表されました。

3 スマートグリッド:メーターなどのインフラ整備に投資
 スマートグリッドについては、2009年法による約40億ドルの助成により、4万3,000人の新たな雇用が創出されました。また民間などからの約57億ドルの投資により、さらに6万1,000人の雇用創出が見込まれます。
 2009年法によって、現在の倍以上に当たる1,800万台のスマートメーターの普及が見込まれます。さらに、15年までに公的資金と民間投資によって設置台数は4,000万台に達する見込みです。同法によって、送配電網の信頼性向上とセキュリティー確保のためのセンサーを、現在の5.5倍に当たる877台設置する予定です〔10月27日に対象事業が発表されたDOEの「スマートグリッド投資グラント」(34億ドル)を指します〕。

4  省エネ:家電省エネ基準の策定作業を加速
 エネルギー効率の向上では、10年末までに50万世帯の低所得者住宅について断熱材や二重窓の設置といった耐候性の向上を行います。また、2009年法は住宅のエネルギー効率向上資金について、30%(限度額は1件当たり1,500ドル)の税制優遇措置を用意しています〔建物外面のエネルギー効率向上(断熱材の導入、ドアや窓の改善、熱を防ぐための屋根の改善など)を図った場合の購入費用、エネルギー効率のよい暖房機、冷房機や温水器の購入費用や設置のための人件費の30%の税額控除を認める制度。「08年エネルギー向上および拡張法」に基づく措置だが、2009年法によって適用期間の延長や限度額の拡大が図られました〕。
 さらに、DOEが新設した「改善強化(Retrofit Rump Up)プログラム」〔09年9月に発表された地域単位の省エネ促進事業に対する新たな助成プログラムです。2009年対策法により4億5,000万ドルが手当てされています〕は、地域や町単位の省エネのための修繕経費の負担軽減に貢献すると見込まれています。
 家電などの省エネ基準策定について、前政権は年間平均1機種のペースで基準設定を行っていましたが、オバマ政権は、12年にかけて年間平均6機種の基準設定を行うことにしました〔「1975年エネルギー政策・省エネ法」などに基づき、DOEは家電などの省エネ基準を策定することになっていますが、前政権では策定作業が進んでいませんでした。09年2月にオバマ大統領がDOEに対して、法令などが要請する20種あまりの機器の基準策定を急ぐよう指示し、8月から9月にかけて、a.食器洗い機と白熱灯、b.電子レンジと電気・ガスキッチンレンジ、c.蛍光灯と白熱反射灯、d.商用ボイラーと空調装置、e.冷蔵飲料自動販売機、の5種の機器の省エネ基準が発表されました〕。

5  CCS、原子力など:新設原子炉に対する債務保証プロジェクトを用意
 炭素回収・貯留(CCS)に対しては、2009年法による助成と既存の貸付保証制度によって約100億ドル〔2009年法によりクリーンコール予算としてDOE化石エネルギー部に対し約34億ドルが用意されたほか、9月には同法に基づき、CCS技術開発に60億ドル、先進的石炭ガス化発電プロジェクトに20億ドルの債務保証が発表されています〕、民間からの40億ドルの投資がクリーンコール技術に向けられています。これにより、現在は商用の大規模なCCS施設はありませんが、15年までには5施設で年間1,200万トン以上のCCSが実施される見込みです。
 原子力発電については、11年までに2つの発電事業者による3~4基の原子炉建設に対して債務保証を行う予定です〔現在、原子力規制委員会に18ヵ所の原子力発電所の原子炉増設、または新設の許可申請が提出されています。一方でDOEは原子炉建設のため185億ドルの債務保証プログラムを発表しており、その対象プロジェクトの選定作業を行ってますが、サザン・コーポレーションの子会社であるジョージア・パワーのボグトル発電所の3、4号機(いずれも改良型加圧水式原子炉)の増設などが対象となる可能性が高いとみられています〕。
 科学と技術革新分野では、10年度に126億ドルを主要な国立研究所や大学などでの先進的研究開発に充てます。
 また、2009年法の4億ドルの資金によって、再生可能エネルギー利用発電、エネルギー貯蔵やバイオ燃料などの先進的エネルギー技術の研究開発ペースを加速するプロジェクトを助成する「先進的研究プロジェクト庁-エネルギー(ARPA-E)」を創設しました〔09年4月にDOEの新しい機関として創設されたARPA-Eは、10月に企業や大学の37の研究プロジェクトに対する助成を発表し(助成総額1億5,000万ドル)、12月には2回目の助成プロジェクトの募集(助成総額1億ドル)を発表しました〕。

おひさまファンドの試みは広がるか

2010-02-21 19:39:28 | Weblog
 おひさまファンド2009は、長野県、岡山県、北海道という全国3拠点での自然エネルギー事業及び省エネルギーの事業への出資を募集するファンド(匿名組合方式)です。出資された資金は、太陽光発電所の設置を中心とした自然エネルギー事業に直接投資されます。
おひさまファンドへの出資は、A号契約が一口10万円から、B号契約が一口50万円から。例えば太陽光発電システムは、自分で自宅に設置すれば数百万円の出費が必要となりますが、おひさまファンドへの出資であれば、より手軽にクリーンなエネルギーの普及に貢献できます。目標年間利回りとして1.1%~2.5%のリターンが計画されています。
投資先の事業は環境省など国のモデル事業として選定され、補助金も受けて実施する事業で、次の2種類があります。
①南信州ソーラー共同利用プロジェクト(投資予定額:6250万円)
保育園、老人ホームなどの公的施設や民間施設など合計160ヶ所の屋根に、太陽光発電を設置します。発電された電力はこれらの施設内で消費されます。
自家消費された電力が持つ環境価値は「グリーン電力証書」として地域内外の企業などに販売し、自家消費しきれずに余った電力は電力会社に販売します。
②オンサイトグリーン熱供給によるグリーン熱証書発行基盤整備事業(投資予定額:1000万円)
グリーン熱の環境価値証書化のために必要となる、自然エネルギー設備から生産される熱量の計測を行う機器の設置、及び計測したデータの集計・管理を行うシステムの構築を行います。営業者は、構築したグリーン熱集計・管理システムを、グリーン熱証書の発行事業者にリース(5年契約の機器リース)を行うことにより、リース料金により初期投資を回収します。
個人では、どうやって関わっていいのかなかなかわからない地球環境問題。定期的に送られてくる事業報告や通信、日々の環境に関するニュースが身近になるなどが一般市民が考え、行動するきっかけになります。今後の事業拡大が注目されます。

省エネ家電エコポイントの制度改善

2010-02-21 06:41:54 | Weblog
4月1日より、省エネ家電製品の販売促進を目的にしたエコポイント制度の申請手続きをサポートするため、購入者に代わって申請書を作成する販売店を新たに募集し、「ゴールドサポート販売店」として認定する制度を導入するほか、インターネットで審査状況が確認できる仕組みも導入します。
 また、申請手続きが4月1日から簡素化されます。今後は申込用紙で申請する場合には、購入した家電の型番や製造番号などの記入が不要になります。
 さらに、省エネ性能が高い発光ダイオード(LED)照明の普及を後押しするため、本来必要なポイントの半分で該当商品と交換できる優遇措置を開始します。
 対象は今年末までに購入した家電が対象で、申請期限は2011年2月末まで延長となります
こちらをご覧ください)。


ワイヤレス「給電」システム

2010-02-20 17:07:58 | Weblog
近年、電子機器がネットワーク化されるなか、データ伝送においてはワイヤレス化が進んでいますが、電力供給に関してもワイヤレス化のニーズは年々高まっています。
 こうした中、ソニーが電源コードを接続することなく、テレビなどの電子機器へ、離れた場所から高効率で電力を供給できる「ワイヤレス給電システム」を開発したと報道されています(こちらをご覧ください)。
 同システムには、送電デバイスから供給された電力エネルギーが空間を介し同じ周波数で共鳴している受電デバイスのみに伝播する、「磁界共鳴型」の非接触給電技術を採用しています。
 この方式には、デバイス相互の位置関係がずれていても高効率の給電が可能となるほか、送電・受電デバイス間に金属があっても、その金属が熱くならないという特徴があります。
 ソニーは、ワイヤレス給電技術の電子機器全般への応用について研究開発を進めるとともに、早期実用化をしていきたいとしています。

Pike ResearchによるPHEVへの充電収入予測

2010-02-20 06:51:11 | Weblog
 Pike Researchは電力会社によるエネルギー貯蔵装置市場に関する包括的な調査結果を公表しました(こちらをご覧ください)。
 それによると、米国におけるPHEVへの充電から得られる電力会社の収入は、2010年350万ドル、11年1940万ドル、12年5330万ドル、13年1億420万ドル、14年1億6040万ドル、15年2億690万ドルと急増していく見通しです。

Pike Researchによるリチウムイオン電池市場予測

2010-02-19 20:36:37 | Weblog
Pike Researchは電力会社によるエネルギー貯蔵装置市場に関する包括的な調査結果を公表しました(こちらをご覧ください)。
 それによると、2018年までに、米国における同市場は41億ドルの市場規模に達し、リチウムイオン電池市場に関しては、そのうちの26%に当たる11億ドルにまで成長すると予測しています。