ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

我らの生涯の最良の年

2021年10月26日 | 映画みたで
監督 ウィリアム・ワイラー
出演 フレドリック・マーチ、ダナ・アンドリュース、ハロルド・ラッセル、マーナ・レイ、テレサ・ライト、キャシー・オドネル

 戦争が終わった。ヨーロッパから、沖縄から、太平洋から3人の復員兵が故郷に帰ってきた。冒頭のシーンでびっくり。終戦まぎわのアメリカ。大きなドラッグストアに豊富にモノがある。街にはきれいな建物が林立し、人々は平安な生活を送っているようだ。同時期、日本は焼け野原。食べ物にも困り、国中が荒野であった。戦勝国と敗戦国の違いとはいえ、こりゃ、戦争に負けるわけだ。
 フレッドは帰郷する旅客機に乗り損ね、軍が飛ばすB17に乗せてもらう。アルとホーマーも同乗。二人とフレッドは目的地が同じ。フレッドは大尉で航空軍の爆撃手。アルは軍曹で陸軍。ホーマーは海軍の水兵で空母の乗組員。ホーマーは戦傷を受け両手がない。義手を装着している。
 年齢も所属する軍も階級も違う3人は機中で意気投合。仲良くなる。3人はそれぞれに家に帰る。3人の家庭も違う。フレッドは貧困な実家で、出征直前に結婚した派手で金遣いのあらい妻がいる。軍では英雄だったが、再就職に苦労する。やっとドラッグストアの店員になれる。
 アルは銀行員だった。豪華なマンションに住み、美しい妻と、良い子の娘と息子がいる。復員後、すぐ銀行の頭取から銀行に復職してくれと頼まれる。復員兵向け小口融資担当の副頭取として銀行に復職。昇格である。
 ホーマーは母、父、妹といった家族から復員を喜ばれるが母はホーマーの手を見て泣く。父も意識しているみたい。隣家の娘ウィルマはいいなずけ。ウィルマはホーマーとの結婚の意志は強いがホーマーは、自分の手のため結婚にふみきれない。
 と、いうぐあいに3人の復員後の生活を描いていく。アルが一番しあわせそうだが、アルはアルなりの悩みもある。家族や恋人と離れ長い間の戦場くらし。3人の生活の底流を戦争の影が流れる。静かな、そして力強い反戦映画といえる。必見の名作だ。