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2021年10月18日 | 映画みたで

監督 馬場康夫
出演 飯島直子、草彅剛、京野ことみ、加山雄三

 バブル時代を代表するクリエイター、ホイチョプロの4作目の映画である。ホイチョイ映画はたしか5作あるが、小生はこの映画が一番好き。
 主演は草彅ではなく飯島だろう。バブルの申し子みたいな、けばいねえちゃんだが、中身はしっかりナニワ節である。
 海外アパレルのブティックを任されていた清水尚美は、高級マンションに住み、赤いアルファロメオに乗り、1本5万円のシャンパン、クリュグを飲んで、クレジットカード使い放題。バブル生活満喫。ところが海外アパレル倒産。出資さきの商事会社にカード類没収、マンション差し押さえ、なんとかアルファロメオだけは乗って逃げた。途中、自転車便の男と事故る。男骨折全治二か月。尚美金ない。示談の条件。骨折男の替りに自転車便をやることになった。
 自転車便トウキョウエクスプレス。代表の鈴木は自転車便はバイク便より速いとの信念を持っている。
 と、いうわけで、バブルの申し子尚美は肉体労働の自転車便を始める。相棒の鈴木とはケンカしながら。とうぜんバイク便業者とは競合する。
 この映画、エンタメ映画の王道を行く要素がいっぱい。最初、反発しケンカしていた男女がしだいに魅かれあっていく。非力で少数の人数で強大で多数の敵と戦う。小人数のチームがチームワークと知恵で勝つ。抜けたメンバーが元仲間の危機を聞き、自分の利益を放り投げて助けに駆けつける。
 バイク500台を相手に自転車4台で競争する。これなど「リオ・ブラボー」だ。少人数のチームで戦う。「七人の侍」だ。ではあるが、この映画「七人の侍」よりも「荒野の七人」へのオマージュを強く感じる。「荒野の七人」ではスティーブ・マックィーンのヴィンが、仲間が増えるたびに指を立てていったが、この映画では草彅はユル・ブリンナーのクリスとするならマックィーンのヴィンに当たるのが飯島の清水尚美。その尚美が同じように仲間が増えるたびに指を立てていってた。
「荒野の七人」のブラッド・デクスターのハリーは仲間を抜けるが、戦いの最中に復帰する。尚美も自転車便屋を抜けて、元の華やかな世界に戻ろうとしていた。その時、鈴木たちはバイク便相手に苦戦。尚美がまんできずにタクシーを降りて自転車に乗る。このシーンは胸がすくのである。
 見終わって実に爽やかな気分になれる、実に良く出来たエンタメ映画であった。楽勝!