東郷隆 角川書店
大好評上方ドタバタアクション第4弾。殺人許可証を持つ丁稚定吉七番の今回の相手は小豆を市場から抹消して、京都伝統和菓子を壊滅に追い込む悪者。名古屋の富豪で和菓子屋の鯱鉾屋金蔵は日本政府が某所に保管している国有羊羹の貯蔵所に攻撃をしかけて小豆相場を牛耳って和菓子界制服をたくらむ。それを阻止するため定吉は敵の本拠地名古屋に乗り込む。
このシリーズ、いうまでもなく007のパロディ。今回の本歌は「ゴールドフィンガー」だからできれば、「007ゴールドフィンガー」を観てからこれを読めばあちこちにやりとするだろう。
007ではウェットスーツの男が海から上がってくる。ジェームス・ボンドだ。ウェットスーツを脱ぐとタキシードの正装。
安治川からヘドロで汚れたウェットスーツの男が上がってくる。ガタロかいな。ウェットスーツを脱ぐと、唐桟の和服に草履の丁稚が現れた。定吉七番だ。
と、いう具合に、今回はあちこちのもじりパロディが散りばめられて007ファンはニヤリくすくす。もちろん特別誂えの車も出てくる。本家のボンドカーはアストン・マーチンだが、こっちの定吉カーはダイハツスパイダー。英国製ではなく大阪は池田製である。
ボンドは捕らわれて縛り付けられてレーザーで殺されそうになる。定吉も縛り付けられて殺されそうになる。こっちはレーザーではなく、納豆が一粒づつ落ちてくる。関西人の定吉に納豆が当たると・・・。ワシ(雫石)も関西人だから、このシーンは怖かった。あないな腐れ豆が肌に当たると死んでまうで。
悪の首魁鯱鉾屋金蔵が本家のゲルト・フレーベそっくりなのも笑わせる。
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