ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

パーキングエリア

2021年10月13日 | 本を読んだで
 テイラー・アダムス   東野さやか訳          早川書房

 登場人物は6人。舞台は雪に閉ざされた山中のパーキングエリア。こういう設定で434ページの長編を読ませてしまう。100枚前後の短編にしかならないと思うのだが。読みはじめから読了までだれることなく一気に読ませてしまう。この作者たいへんな腕力だ。
 重いガンの手術を受ける母を見舞うため、女子大生ダービー・ソーンは雪道をホンダ・シビックで走っていた。雪はますますひどくなり、ワイパーも破損した。とりあえず山の中のパーキングエリアに避難する。休憩所には4人の先客がいた。ダービーは駐車場に止められたバンの中に少女が閉じ込められているのを目撃する。4人の中に誘拐犯がいるのだ。あの子を助けなきゃ。ダービーは決心する。夜のことである。
 外は猛吹雪。除雪車が救援にくるのは明日の朝。警察に連絡したいが携帯の電波がエリア外。バッテリー残量も少ない。ダービーは墓石の拓本集めが趣味のただの美術専攻の女子大生。格闘技も身につけていない。武器もない。持っているのは小さなアーミーナイフだけ。犯人は銃を持っているだろう。女の子は難病で定期的にステロイド剤を注射しなくては命にかかわる。4人のうちだれが犯人か、だれが味方か判らない。
 さあ、どうする。ダービーは女の子を助けることができるのか。