昼下がりのコーヒー豆のあくび アーリーアフタヌーンコーヒー日記

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コーヒー豆屋のちょっとだけゆっくり流れる時間

オシアンの夢

2022-08-29 08:23:42 | 日記
感情を重視するロマン主義と対立、享楽的なバロック、軽佻浮薄なロココに一瞥もくれず、ルネサンス期の荘厳で理を重んじた新古典主義の旗手をダヴィッドから受け継いだ1780,8,29生まれのアングル。ただのタイプ踏襲ではありませんでした。

グランドオダリスクと呼ばれるオスマンスルタンの愛妾を描いた作品は脊椎骨が3本多いと言われるほど胴長で、その造形美は女性の曲線美を最大限に描こうとするマニエリスムとも捉えられますが、そこに性的女性肉体美への彼の執着を感じるのは僕だけでしょうか。

彼の東方趣味はライバルロマン主義のドラクロアとも共通していますが、他にも北欧神話への憧れもあったようです。オダリスクの前年に描かれたのが「オシアンの夢」(図)。どちらもナポレオンの遠征の影響が大きいのかもしれません。

息子の裏切りにより一族の滅亡を招きショックで盲目となった王オシアンが、かつての一族の勲功を吟遊詩人となって語り歩いたという伝説の絵画。夢の中の人物群は克明で鮮やかな色調の眠れるオシアンを前面に配置する構成は格調高く新古典主義的ではあるものの、濃緑の中凍てつく月光でアラバスタの様に揺らぐ人物群と紅の生ある現実描写の対比は怪異を想定させ、ロマン主義的であるともいえるかと。

写真の登場を画家の生活が立ち行かなくなるとして批判したアングル。ちゃっかり絵をかくときには写真も使っていたという逸話も残ります。

ボクにはこのナンチャッテ原理主義が、大層魅力的であります。

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