《M農場の大豆の刈り跡。畝の間に秋蒔き小麦が播種されている。2022.10.26 8:00》
霜の季節になり、JAの農作業支援も終盤になった。
いつもは週1~3日程度に調整して貰っているが、今週、初めて〝連続四日間〟をやってみた。
行った先のM農場ではビートの収穫準備と種子馬鈴薯の選別・荷造りという比較的軽い作業で何とかこなすことができた。
ビート(甜菜)は砂糖の原料。
自給率は4割弱で、そのうち8割は北海道のビートが担っている。
11月に専用のハーベスタで収穫した後、製糖会社の車が集めに来るまでは畑の隅に堆積して置く。
そのための場所を作らなければならない。
適当な面積のビートを鉤の付いた道具で引っこ抜き葉を落とす作業は初めてだった。
ビートは根の部分が製糖工場で裁断され、湯煎され、絞った液体を煮詰め、遠心分離、乾燥して真っ白な砂糖が出来上がる。
昔の職場にいた頃、工場で泥だらけの〝砂糖大根〟が大変身する姿に驚いた。
種子馬鈴薯は病害虫や病気に汚染されないよう栽培に手間がかかるので作る農家は決まっていて、法律に基づく国の検査に合格したものが出荷される。
シストセンチュウという病害虫に土壌が汚染されると一定地域での栽培が禁止され、農家にとって死活問題になる。
種子馬鈴薯の選別作業も初めてだった。
ベルトコンベアをじっと見つめて、60g未満と200gを超えるサイズの物とキズ・腐れのある物を除外する。
重さは目視と秤の併用なので慣れるまでは農家の指導を受けながら進める。
選別作業が終わった馬鈴薯の出荷の姿はいろいろだ。
地元向けには大きな金属コンテナに詰めて農協に出荷され、春に各農家に配布される。
農協以外の出荷先には20Kg詰め紙袋と10Kg詰めダンボール箱の二通りで出荷される。
これらが品種、サイズ毎に行われるが出荷量に応じて合格証が配布されているので製品個数の管理がなかなか大変である。
選別で除外された物はB品、デンプン原料として利用されるので、種子馬鈴薯は殆ど捨てるところがない。
《仕事終了、陽も暮れている。2022.10.26 17:00》
ウクライナ戦争、世界経済、気象変動で日本の食糧・食品の確保は一層重要な課題になるだろう。
自給率が38パーセントでも農業問題が取り上げられることは殆ど無い。
生産された農産物を無駄なく利用するための選別基準や流通形態の見直しがさし当たって必要ではないかと思うことが多い。
畑に残っているのはキャベツ、白菜、ビートくらいになった。