-棺を蓋いて事定まる-
人間の真価は、死んでから決まると言うけれど、何だかストンと来ない。
政府は故・安倍元首相に国の最高の勲章を贈ることを殺害されて葬儀までの一瞬に持ち回り閣議で決定した。
「蓋棺事定」は後世の歴史(家)に委ねる意味合いと考えればいかにも性急である。
安倍氏の功績は評価が分かれるのは衆目の一致するところ。
政権を私物化したのではないかという疑惑もどんよりと垂れたままである。
国権の最高機関の国会で100回以上も嘘をついたことも明らかになっていて、英国ジョンソン首相が国民、議会から「嘘」を厳しく追及されて辞任に追い込まれたことと対照的である。
中でも森友学園の国有地払い下げを巡る公文書の改竄を苦にして自殺した近畿財務局の赤木俊夫さんの奥さんが「何故、夫が命を絶ったのか、真実を知りたい」という一念で国などに損害賠償を求めた裁判では、最終的に国は争わずに賠償金を払って真実に永遠の蓋をしてしまったことは納得がいかない。
正義感の強い人が「おかしい」とも言えず、日々膨大な文書から「安倍昭恵」の文字が含まれる箇所を削除し、辻褄を合わせる将に砂を噛むような仕事に従事させられた苦痛は想像に余りある。
単に日本最長の政権運営に対する「儀礼」と言えばそれまでだが、犯人の動機に「統一教会」という固有名詞があることが浮き上がって来ている。
何とも落ち着きの無い国家最高の栄誉の授与であるが、メディアは敢えてか否か、ベタ記事で伝えているだけである。