知床に3度自転車旅をしてきた。
ウトロから羅臼の「クマの湯」の近くの野営場にキャンプして、再びウトロに戻った往復旅が2回、ウトロから羅臼、根室、釧路と抜けた旅が1回。
なので知床峠は2往復半している。
ウトロの野営場を後に、靄で包まれた早朝の峠は熊の気配がする。自転車は音を立てないので突然眼前で鉢合わせしたらどうしようかと、ベルを鳴らしながら坂を登った。
晴れている時間に峠の頂上からウトロの街近くまで下ってくると観光船が港を出入りしている姿が良く見えた。
あれなら熊に絶対襲われることはないなぁと思いながら白浪を立てて進む船体を眺めていた。知床観光船の遭難事故のニュース画像を見ていて想い出が重なった。
亡くなられた方々のご冥福と御家族の皆様にお悔やみを申し上げる。
出港の判断、日々の運行管理が厳しく問われている。
理不尽であまりに悲惨だ。会社社長の責任は重大だ。
気になることがある。
「安全管理基準」とその運用の実態だ。
国土交通大臣は「あり得ない」と否定しているが、天気が下り坂にあっても出港時に風も弱く波が低ければ出港し、途中で悪天候になったら引き返すという〝条件付運行〟がこれまで全く無かったのであろうか。
記者会見で観光会社の社長は「安全管理基準に数値は無い。」と凡そ信じられない答弁をしていたが、国交省に提出されている原本はどうなっているのだろうか。
地元の観光船関係者が声を荒げて国交省の係官に日頃の監査が不十分であるかのような批判をしている映像もあった。
ひとり、観光船会社の社長の責任に帰すのでは無く、監督機関にも徹底されていなかったことは無かったのか、第三者機関で徹底的に調査するのが再発防止のために必要と感じる。
2017.8.8 15:57