楕円と円 By I.SATO

人生も自転車も下りが最高!
気の向くままに日常と趣味の自転車旅を綴ります。

映画『あん』

2022年01月16日 | 日記

河瀬直美監督。

どこかで聞いた名前だ。そうだ、映画『あん』(ドリアン助川の同名小説)だ。

2016年6月に札幌市清田区民センターで時間を忘れて観ていたことがあった。

 

 

樹木希林が社会から隔絶された施設で暮らす元ハンセン病の老女を演じていて、生きることの意味を追い続ける姿に心が揺さぶられた。

制作委員会の上映だったか、、、会場にパンフレットの類は無く、舞台袖の壁に貼られた1枚のポスターが映画と同じように存在感があったことをよく覚えている。

 

河瀬監督の映画は他に観たことはない。

国内外で高く評価されていて、昨年の東京オリンピックの記録映画の監督を努めている。

 

その記録映画作りを追ったNHKBSのドキュメンタリー番組『河瀬直美が見つめた東京五輪』で騒動が持ち上がっている。

何故かNHKも大手新聞も殆ど触れない。

 

ラジオ報道を聞いた限りではドキュメンタリー番組の中でインタビューを受ける男性のシーンで「実はお金を貰って(オリンピック反対デモに)動員されている」というテロップが流れるが、事実確認はされないままの放映だった。

 

NHKはこのことを認めて「現場の思い込み」と釈明はしたが経緯などについては「お答えを差し控える」の一点張りである。

「誤報」「ねつ造」ではないのか。

 

河瀬監督は暫く沈黙していたが、今月の10日になって、「私達はドキュメンタリー番組の非取材者で事実を把握するのは不可能だった」と声明を発表している。

「関係ありません」の逃げ足のように感じる。

 

これだけのタイトルの付いた番組の放映に当たって、試写、事前チェックは無いのだろうか。知っていてのコメントであれば「嘘」になる。

 

スポーツに名を借りた嘘と疑惑に塗り固められた金儲け主義のオリンピックはもう止めるべきだと考えているが、開催前は反対が7割あったものが終わってみれば「やって良かった」に大勢が変わった。

 

河瀬監督の釈然としない態度に、映画『あん』の感動が色褪せる思いだ。

政府広報機関のNHKに期待は出来ないが、事実を報道するというジャーナリズムの根幹に関わることである。

関係者はきちんと検証し、謝罪すべきは謝罪すべきと思う。