苫前漁港 2024.8.5
羽幌漁港 2024.8.6
「ナマコ」という海生動物を初めて見たのは幼稚園の頃に隣の家から貰って、家族皆がタライの中に鎮座する不思議な生き物を覗き込んでいた時だった。
色は茶色くところどころ黒い斑点があり、体表にはあのゴジラの棘のような柔らかい突起物がある。触るとヌルヌルしていて身体を固くした。
母親がどう始末したのか。食卓に出た記憶は無く、海から遠いあの山奥の我が家にどのような経路で辿り着いたのかいまだに不思議な想い出だ。
8月上旬の焼尻島への自転車旅で、フェリーが出るまでの間、羽幌漁港を見て回っていると若い漁師がすだれ状の太いチェーンの先に籠の付いた漁具の掃除をしていた。前日の苫前漁港でも見ていて何に使うのだろうかと不思議だった。
ナマコ漁の道具だった。
聞くとこの日は1ヵ月ほどの漁期の最終日。
漁をする海域が決まっていて、羽幌漁協の今年の枠はたったの50t程度という。漁師と言えども家に持って帰れない厳しい資源管理が行われていた。
若者たちの顔には年々漁獲量は落ちてきているが何とか今年の枠を確保出来たという安堵感があった。
図鑑より
「海鼠」ナマコ。
もう少し良い名前にしてはと思う筆頭格だが、干したものが中国などに高級食材で輸出され、内臓の塩辛は珍味「このわた」である。
古事記に既に記載があり、初めて食べた人の勇気と薬として加工法を編み出した先人の知恵に感服する。
就職で道南の港街に住むようになり、酒飲みになってから輪切りにしたものをポン酢で食べるのが好きになった。もうスーパーで見かけることは無くなり、居酒屋のメニューにも無いだろう。高値の花である。
読んではいないが椎名誠のエッセイ集に『ナマコもいつか月を見る』がある。
対馬を自転車旅をしていた時に泊った旅館の廊下に「ホシクイ」のことを詠った色紙があった。
~ 凍てつく朝鮮海峡の海面から体いっぱい大きく口を開いて
降り注ぐ大空の星屑の一つ一つを刈り取るように
熱情を傾けているのだろうか。
この島ではカサゴのことをホシクイとよぶ。 ~
普段は海の底深くにいる決して見栄えの良くないカサゴの仲間。輝く星と結びつけた対馬の人の感性と漁師の愛情を感じた。
ナマコは運動能力があまり無く、海の底でじっと沈んできた汚泥の掃除をしている棘皮動物だ。
椎名誠がナマコに注目した独特のセンスにも感服。〝ホシクイ〟のようないい名前は無いものか。
獲れなくなったイカを待つ船。
かつては道外から何隻も来ていたという。(苫前港 2024.8.5)
私も一枚目の画像を見た瞬間、『こんな太いチェーンを使って何を獲るのだろう?・・』と思いました。
I.SATOさんの説明でナマコ(海鼠)と知り『えっ?こんな仰々しい道具で?』と二度びっくり・・・そして検索の結果ウニやヒトデの仲間の棘皮動物だと知ってまたまた『えっ、ええ~っ』と。
「ナマコ」にくらべると「ホシクイ」はいい名前ですね。
『ナマコもいつか月を見る』は私も読んだことはありませんがタイトルには“夢“を感じますね。
「古事記」が書かれた時代から食べられているのならI.SATOさんが仰るとおりもう少し良い名前にしては?・・と思いますよね。
同じ様に花の仲間でももう少しいい名前に・・と思うものがありますね。
例えば
「オオイヌノフグリ」・・あの可愛いネモフィラに似た花の名前とは思えませんね。
畦道や路傍に咲く雑草でもあの薄紫や薄い水色の可憐な花には似合わないと思います。
別名に「星の瞳」「瑠璃唐草」「天人唐草」などがあるのですから「星の瞳」などでは如何でしょう。
同じ雑草の「ヘクソカズラ」も由来はともかく、別名の「サオトメバナ(早乙女花)」などで呼ばれるのが相応しいのではないかと思いました。
棘皮動物は発生・進化の初期の生き物で構造がシンプルです。