「九十九(つづら)藤」 西條奈加 集英社 2016.2.29
天涯孤独の身の上で、波乱の人生を歩んできたお藤。
縁あって任された口入屋を立て直すために商いを一新した。
人を生かすという常識はずれの勝負は、やがて江戸を揺るがす事態に……。
根っからの粗忽者などいないと信じて、お藤は言う。
「人を何より磨くのは、仕事です。働くことです」
「各々が日々の役目を通して、己を磨く。仕事とは、そういうものです」
本音を公言してしまったお藤は、今更のようにコトの大きさを考える。
ーー己の信念を通せば、必ずどこかにしわよせがいく。世間とはちょうど、森や林に似ている。自分はまっすぐに伸びれば良いと、ひたすら上を目指していけば、枝葉に日をさえぎられて育たぬ草木や、隙間を這うように曲がりくねった蔓や蔦が群がる。曲がらなければ、生きていくことすらできない。むしろそれがあたりまえで、だからこそ正しいことは往々にして通らない。互いが折れ、曲がることで、妥協し譲り合う。それができないのは、子供だけだ。
「先が見えないからこそ、生きるに値する。あたしは、そう思います」
「花だより」 髙田郁 角川春樹事務所 2018.9.8
書店に並んで間もなく、珍しく購入して読んだのだが、
サラッと一読したあと、娘に送ったのだった。
「みをつくし」特別巻。
そうか、こんな話が載っていたのだった……。
味噌汁とご飯の話が印象的。
日本人の食生活の基本の基、だよなぁ。