◇ロスト・イン・トランスレーション(2003年 アメリカ 102分)
原題 Lost in Translation
監督・脚本 ソフィア・コッポラ
出演 ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、竹下明子、明日香七穂
◇おしゃれ階級の孤独
日本以外の国で上映されるとき日本語の台詞に字幕はつけられていないらしい。となると、ぼくたち日本人あるいは日本語を理解している外国人だけが日本人とビル・マーレイとの間に起こっている意思疎通について理解できるというわけなんだけど、それにしても、ここに出てくる日本人はなんでひとり残らず鼻持ちならないんだろう?
で、旅をしていると、人間、どうにも孤独に苛まれるものだ。ぼくもひとりで旅に出ているとビル・マーレイと似たような気分になる。旦那について旅行に行って旦那だけが仕事で出歩いて自分はホテルやその近辺に滞在しているっていうスカーレット・ヨハンソンの設定もわからないではないけれど、これは日本人の夫婦の場合あまり考えられないな。だからこちらについてはさておき、ビル・マーレイのような出会いはもちろん滅多にない。ある方が稀だし、だからこそ映画になるんだろうけど、どうにもラストが見えてしまっているものだから、やけに緩慢さが目立ってきて、途中からもういいんじゃないか遠回りしてなくてもと声をかけたくなっちゃうんだよね。だって、これが東京や京都じゃなかったらよかったかもしれないんだけど、ぼくにはこの映画に異国情緒は感じられないんだもん。
だから、そうだな、15分は刈り込んでほしいな。ぼくはそうおもうんだけど、どうやら欧米の批評家たちはそうおもわないらしくて、そこらじゅうでこの映画があれこれ受賞しているらしい。そんなものなんかな~。