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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

とうもろこしの島

2022年04月28日 01時27分27秒 | 洋画2014年

 ◎とうもろこしの島(Corn Island)

 おそらく現代なんだろうな~っておもいながら観てると、舟艇でエングリ川を下ってくるグルジア兵でようやく現代なんだと確信できる。

 どうやら、1992年のアブハジア紛争の最中の話らしい。で、このとき、映画が始まってからようやく『あの人たちグルジア兵?』っていう台詞が出てくる。さらに娘マリアム・ブトゥリシュヴィリの『この島はどこの国のものなの?』という問いかけに、爺イリアス・サルマンは『耕した者の島』と答えるんだ。

 そうなんだよね、だから、この中洲で土壌の良し悪しをたしかめようと掘ってみたら、前の所有者の物らしき煙草の吸い口パイプが見つかるし、映画の最後ではマリアム・ブトゥリシュヴィリの忘れていった人形が見つかるんだ。洪水で何度も小さくなりながらもまた春になると中洲として再生し始める。グルジアだってアブハジアの独立をめぐって土地は小さくなったりしてるけどまた復興するんだっていう寓意が籠められてるわけだね。

 しかし、それにしても、このやけに鼻のでかい爺さんと顔中そばかすの孫娘はどこからやってくるんだ?

 ほとんど台詞がない映画なのに音は豊饒だなあ。
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カムバック!

2022年04月17日 00時00分02秒 | 洋画2014年

 ◇カムバック!(Cuban Fury)

 サルサをタイトルに入れないと、なんにもわかんない。

 でもまあ予定調和の見本みたいな映画で、おもしろいだろこの映画?とずうっといわれてるような気になる。

 とはいえ「ソースが語源のダンスに本気かよ!」っていう台詞は笑ったけどね。ワンカット、車を運転して通りすぎるサイモン・ペッグを観た気がするけど、ニック・フロストと会社を作ってるし、カメオ出演しないとね。ただまあ、邦画ではこのおもしろさは出せないし、観る気にもならないだろうけど。

 

 

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ブラック・シー

2022年03月26日 17時09分31秒 | 洋画2014年

 ◇ブラック・シー(Black Sea)

 

 へ~。

 黒海には酸素がないから、Uボートが錆びずに残ってるわけね。

 ロシア人嫌いの潜水夫のしでかす仲間割れから潜水艦が故障して、その修理のためにUボートを探すという展開は上手い。けど、Uボートの艦内に塩素ガスが充満してて水がないという設定は、リアルかもしれないけど、よくわからない。専門的なんだもん。

 食料庫に鎖で繋がれた肢体のあるのを見て、食べてたんだと断定するのはどうかね。でも、直すための部品を探してるときに、山分けにしたくない男が金塊を見つける展開もいいな。

 息子と暮らせないジュード・ロウは、その代わりにUボートの情報を知らせた友達の死を伝えにきた十九歳の若造を連れてゆき、彼に子供ができているのを知るや、息子だと見立てて最後の脱出用スーツで魚雷発射口から出したあと、金塊をスーツに詰めて射出させていた落ちはわかるんだけど、なんか切ない話だったな。

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フォックスキャッチャー

2022年02月21日 23時51分46秒 | 洋画2014年

 ◇フォックスキャッチャー(Foxcatcher)

 

 地味に展開してくなあ。チャニング・ティタムが筋肉をつけた伊藤淳史に見える。

 どこまでがほんとうなのかわからないけど、真実だとしたら主人公は哀れだ。

 金持ちの名誉欲に翻弄された馬並みの日々としかいえなくなっちゃう。母親に対する近親憎悪が高じて統合失調症に罹ってしまったのはこの可愛がってる選手にコカインをすすめるデュポンの個人的なことで、それに巻き込まれてしまったのは不可抗力ではあるけれども、スポーツ選手に対しての当時のアメリカ合衆国の責任はないのかね?

 しかしスティーブ・カレルのかぎ鼻メイクは見事だな。渋く出来てるけど、見るには根性が要ったわ。

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ポンペイ

2022年02月10日 16時06分15秒 | 洋画2014年

 ◇ポンペイ(Pompeii)

 

 わからないのは、紀元79年のロンドニウムの闘技場に紙の傘をさした観客がいたことで、こんな古代ローマには不似合いな傘は作れないんじゃないかっておもうんだけど、それはぼくの歴史認識が乏しいってことなんだろう、たぶん。

 ま、それはそれとして、物語はほぼ常道だ。定番といってもいいんだけど『グラデュエータ―』と『スパルタカス』を足して割ったような筋立てで、ケルトの騎馬民族が叛乱をおこして鎮圧されたときにたったひとりだけ生き残った子供が17年後に奴隷あがりの戦士になるっていうのは、つまり、英語を話してもおかしくない設定ってことからなんだろうか。

 監督のポール・W・S・アンダーソンは『バイオハザード』から一連のCG活劇を撮ってきたから、なるほど、古代ローマの物語もびんびんCGが入るんだね。ただ、ありきたりで、どことなく思慮深さが足りないように感じるのは、なんでなんだろう?

 総じて役者は若いね。ローマの元老院議員を演じたキーファー・サザーランドがぎりぎり壮年で、キット・ハリントンもエミリー・ブラウニングも若さばかりが先行して古代劇にはちょっと似合わない。

 この題材はどうしてもベスビオス火山が噴火してポンペイが埋もれていくところが佳境になるわけで、観客もそれだけを観に行くようなもので、となれば、この噴火を臍にして物語を作ればいいのに、なんか剣闘士の恋物語になっちゃってるのはどうもね。拍子抜けしちゃうのかもしれないね。

 あ、それと、津波が起こるんだけど、ベスビオス火山のせいで津波って起きたんだろうか。考古学的な裏づけがあるならいいんだけど、でも津波が起こったらポンペイの中のものは根こそぎ持っていかれちゃわないんだろうかって気もするんだけどなあ。

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グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

2022年01月30日 22時03分39秒 | 洋画2014年

 ◎グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

 

 おとぎ話のような人生こそおとぎ話だわ、とかってグレース・ケリーはいったらしい。

 わかるようなわからないような台詞だけど、そんな彼女をニコール・キッドマンはよく演じてるっておもったわ。ほんとうにモナコの危機に際して、グレース・ケリーが晩餐会をひらいて演説までぶち、救ったのかどうかはわからない。でも、まあ、若いした夫とモナコを守るためにド・ゴールと正面きって対峙するっていう「おとぎ話」はあっていいし、史実はちがうんだよね~とか家族や王室の関係者はいいたがるんだろうけど、そこはそれ、映画だから。

 それはともかく、青の発色が好いね。

 前に観たときには気がつかなかったけど、キッドマンの瞳の青さが際立って美しく見えるように計測されてるのかな?

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アリスのままで

2022年01月20日 11時52分57秒 | 洋画2014年

 ☆アリスのままで(Still Alice)

 

 誰もが身近に、あるいは知り合いの関係者に、アルツハイマーに苦しむ人を知っているかもしれないんだけど、その中でも若年性のものが、この映画で語られる病だ。悲惨な展開になっていくのはこの映画が幕を閉じた後だってことは、わかる人にはわかる。

 でも、ジュリアン・ムーアが主人公である以上、自分の意識が自分を認識できる範囲までの物語にするしかないわけで、筋立てとしてはこれでいい。コロンビア大学言語学科教授が言葉を忘れていくっていうのはたしかに皮肉な話ではあるんだけれど、かといって仕事の主要な道具が言葉である人は少なくなく、たとえば、電話案内を仕事にする人たちもおなじことだ。

 まあ、知的な仕事と満足のゆく財産がありながらも自我が崩壊していくことで、世界中に見られるこの病気はいかなる人間も患い、悩み苦しむんだってことなんだろうけどね。

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ザ・ゲスト

2022年01月15日 00時52分17秒 | 洋画2014年

 ◇ザ・ゲスト(The Guest)

 

 マイカ・モンローの美脚くらいしか観る価値はないんじゃないかっておもえるくらいな陳腐さなんだけど、まあこれでいいのかもしれないね。

 陸軍の実験の被験者が脱走して、死んだ仲間の実家に逃げ込み、家族を守ろうとしたのに守りきれなくて皆殺しにしちゃうしないじゃんて展開になるんだけど、なんだやっぱり、異常者だってことじゃんって映画になってた。なんだかね。

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ビッグ・アイズ

2022年01月12日 00時30分04秒 | 洋画2014年

 ◇ビッグ・アイズ(Big Eyes)

 

 裁判が始まったとき茶番劇が耐えられなくなった。さっさと絵を描かせれば済むことでそれまでの時間が実に無駄だったわ。裁判長のいうとおり、吐き気がこみ上げてきた。

 どうも、ティム・バートンの作品は相容れないことが多いな。エイミー・アダムスとか嫌いじゃないんだけどな~。

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ゴーン・ガール

2022年01月10日 14時06分32秒 | 洋画2014年

 ◎ゴーン・ガール

 

 デヴィッド・フィンチャー凄いわ、とおもうのと同時に、なんだか後味が良くないなあっていう感想も浮かんでくる。

 ロザムンド・パイクには理想とする夫婦像があり、そこに介在しているのは恐ろしいほどの自負と高慢さなんだけど、それがベン・アフレックの浮気によって粉々にされ、自分を殺したという疑惑で死刑にまで追い込んでやろうっていう復讐劇を企むとか、もはや異常の極致だわね。

 でも、これに対してベン・アフレックと双子の妹キャリー・クーンとが抵抗して逆襲に転じようとするところからおもしろくなってくるんだけど、でも、過去のロザムンド・パイクのプライドを守るためのとんでもないひとりよがりの悪事が露見してくるだけで、逆襲たりえないあたりからちょっと不満をおぼえるようになってきた。

 後味の悪さってのは、冷凍精子の人工授精で妊娠するという荒業まで繰り出され、屈服するしかないってところまで追い込まれちゃうことで、どうもなあ。

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イコライザー

2021年11月14日 02時53分48秒 | 洋画2014年

 ◇イコライザー

 

 デンゼル・ワシントンはどうしてもインテリから抜けられないから、ヘミングウェイを読みながら10数秒で数人をぶち殺す元CIAだの元DIAだの元海兵の特殊工作員だのていう設定になっちゃうのは無理もない。

 ま、そんなやつがホームセンターで働いてたら、そりゃここで店員仲間を巻き込んで活劇に突入するのは自明なんだけど、それはそれでいいし、よく似合う。
 
 しかしこれだけストイックになると感情あふれるロボットにならざるを得なくなっちゃうだろうに。苦労するよね。
 
 苦労するといえば、クロエ・グレース・モレッツもそうでやけに肉厚になって色気が出てきちゃったもんだからちんちくりんの娼婦が似合ってきちゃってる。あらまあって感じだった。
 
 それはともかく、アントワン・フークアの演出はやけにスタイリッシュで、なんだかトニー・スコットをおもいだしちゃったけど、メリッサ・レオとビル・プルマンが事情をよく知る昔の同僚って設定になって登場してる以上、続編がないっていうはずはないわね。
 
 ていうか、これ、もともとテレビの『シークレット・ハンター』とかっていう人気シリーズだったのね。知らなかったわ~。
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イエスタデイ

2020年05月11日 13時24分00秒 | 洋画2014年

 ◇イエスタデイ(2014年 ノルウェー 114分)

 原題/Beatles

 監督/ペーテル・フリント 音楽/マグネ・フルホルメン

 出演/スサン・ブーシェ ルイス・ウィリアムズ エッマ・ウェーゲ

 

 ◇ラーシュ・ソービエ・クリステンセン『ビートルズ』

 1967年、ノルウェーの首都オスロ。ビートルズ好きな四人の高校生のひと夏の空想と現実の交錯する話なんだけど、ポールに憧れるルイス・ウィリアムズがいきなりエッマ・ウェーゲに頬キスをされたことでよこしまな空想が広がりまるで自慰でもするかのように宛先のない手紙を書き綴ってゆく気持ちはわからないでもないし、スサン・ブーシェに出会うことで現実の恋を経験していくっていうなんとも理想的な青春の展開は誰もが憧れるところで、いやこの時期だったこんな感じだったろう。

 ま、ほんとにスサン・ブーシェみたいな可愛い子が現れたら、誰でもそうなる。けど、みんなふれらるんだよね、実際は。

 そんなことはどうでもよくって、問題は邦題だ。

 いくらなんでもそれはないだろうっていうくらいに知恵がなさすぎる。

 ダニー・ボイルの作品を知らないわけでじゃないだろうし、原題の『ビートルズ』っていうのもなんだから、ほかのものにしたいっていうのはわかるから、せめて、かれらが衝撃を受けた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』から採るとかいうことはできなかったんだろうか?

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海賊じいちゃんの贈りもの

2020年05月05日 20時25分55秒 | 洋画2014年

 ☆海賊じいちゃんの贈りもの(2014年 イギリス 95分)

 原題/What We Did on Our Holiday

 監督・脚本/アンディ・ハミルトン ガイ・ジェンキン 音楽/アレックス・ヘッフェス

 出演/ロザムンド・パイク デヴィッド・テナント ビリー・コノリー ベン・ミラー

 

 ☆野辺の送りはスコットランドの海

 おじいちゃんが浜辺で死に、孫たちが筏を作ってそれに載せて火葬しながら水葬するという凄い物語をコメディに仕立てる巧さは充分ある。

 なのに、スコットランドへ向かう際の渋滞で、別居中のロザムンド・パイクとデヴィッド・テナントが、車外の雨の中でずぶ濡れでけんかするとき背景は晴れなのに車の窓には雨が叩きつけてるのはちょっとね。

 しみったれの長男に、更年期障害で万引きとカボチャ投げがYouTubeにあげられてしまう嫁、バイオリンの才能のない惚けた息子、バカな次男、大げさで弁護士と浮気中の嫁、なんでもノートにメモする眼鏡の孫娘、バイキング好きな弟、おしゃまでちぐはぐな妹などなどと、実に登場人物の設定は細かい。

 イギリスのコメディはそういう大仰さがなんだか自然におもえちゃうところが上手い。

 なんといっても好いのがメガネっ子のエミリア・ジョーンズだな。

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シェフ 三つ星フードトラック始めました

2020年05月01日 20時55分05秒 | 洋画2014年

 ☆シェフ 三つ星フードトラック始めました(2014年 アメリカ 115分)

 原題/Chef

 監督・脚本・主演/ジョン・ファヴロー 音楽/マシュー・スクレイヤー

 出演/ソフィア・ベルガラ スカーレット・ヨハンソン ダスティン・ホフマン ロバート・ダウニー・Jr

 

 ☆キューバサンドイッチ

 2番手とみずからいう弟子ジョン・レグイザモのとっぽいキューバ人が、好い味を出してる。

 家族の再生は裏のテーマだけど、これもまた上手に作ってる。友情出演の3人がまたいい。オリバー・プラット演じる敵役とかはいるけど、まったくの悪人を登場させずに物語を展開させてゆけるのもまたいい。腕だろうな。そうそう、腕っていえば、ジョン・ファヴローの料理の腕前が上手に見える。これはたいしたもんだわ。
 

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バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡

2020年04月01日 00時29分42秒 | 洋画2014年

 ☆バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡(2014年 アメリカ 114分)

 原題/Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)

 監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 音楽/アントニオ・サンチェズ

 出演/マイケル・キートン エドワード・ノートン エマ・ストーン ナオミ・ワッツ

 

 ☆どん底からの復活という奇蹟

 鏡にカメラが写らないくらい屁でもない特撮というかデジタル処理というか、演劇という特撮とは相容れないような舞台設定の中で、よくもまあ、リアルな脳内を描いたもんだ。

 おもしろかった。役者がどん底に陥ることをよく知っている役者がそのままのような物語を演じるというのは、いや、痛いくらいによくわかる分、おもしろさが身に沁みる。

 音楽、ドラムが効いてるね。

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