宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

宝満山中で越州窯系青磁椀出土

2007-08-29 | Weblog
2007年8月28日の西日本日本新聞朝刊に
宝満山山頂付近の祭祀遺跡から
9世紀の越州窯系青磁椀が出土した、
と報じられました。

出土したものは椀の底に近い破片で
ややオリーブ色がかった緑色の釉薬が掛けられ
内面の底に近い部分には
三つの白い目跡(重ね焼きの白土の塊)があります。

採取したのは当研究会のメンバーで
遺物について福岡大学名誉教授の小田富士雄先生は
「今回の発見は宝満山の山岳信仰と大陸との
つながりを考察する手がかりとなる。」とコメントしておられます。

この時期の越州窯系青磁椀の出土は
過去に出土した遺物との組み合わせから
山頂周辺でおこなわれた祭祀に
当時の役所的な背景が強く読み取られ、
過去に指摘されている、ここでの祭祀が
遣唐使の入唐や帰朝などの国家的外交交渉の
行事に係わった可能性のある重要行事であったことが
補強されるような意味のあることといえます。

ちょうどこの時期以降は
宗像の沖ノ島でおこなわれていた
祭祀が国家的なあり方から
在地的な祭祀に移行する様相で、
国家規模の国境祭祀が宗像から
大宰府宝満山に移行していった可能性を
指摘することができます。

とりもなおさず今回の発見は
宝満山の歴史的な価値を更に高めたことは
間違いないといえるでしょう。

次回例会での報告が楽しみです。