宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

第10回研究会

2007-06-24 | Weblog

第10回研究会

 本日、2007年6月23日午後1時より
太宰府天満宮文華殿天拝の間にて
第10回研究会がおこなわれました。

 5月19日におこなった共同作業
推定有智山城の下草刈の報告、
6月19日の山のトイレを考えるフォーラムの報告、
太宰府市教育委員会下高大輔氏による
「太宰府有智山城について」と題する発表などなど
盛りだくさんな内容でした。

 フォーラムの報告では各地のバイオトイレを置いた事例や
その運用状況、それに対する意見などが紹介されました。
 筑豊山の会が運用している福智山のバイオトイレ
北海道の状況などの報告があった中で
トイレに付設された攪拌モーター、加温ヒーターの電源の確保
メンテナンス、トイレそのものの排泄物以外のゴミ廃棄による
施設の故障など、さまざまな問題点もあるようです。
財源の確保も大きな課題でしょう。

 英彦山霊山会の方からは基本的には本格的な
トイレの設置は反対、とのご意見もあったようです。
宝満山も財源確保ができれば西鉄山友会の方では
山頂東側のキャンプセンター(旧座主坊跡)に
バイオトイレを設置されたいようです。
 半日くらいで下山できる山ですから、
登山口にしっかりしたトイレがあれば
わざわざ聖地である山の上にトイレを設置する必要は無い、
とのご意見もあるようです。
 トイレの故障、溶けないティッシュの使用など
いずれにしても登山者の山に対する
心構えの問題が大きいような気がしますが・・・

つづく。

 ※ちなみに
 宝満山キャンプセンターのHPはこちら
 http://www1.bbiq.jp/houman_k/4page/4page.html

竈門神社の水鏡

2007-06-22 | Weblog
明日は例会の日です。

日時 6月23日 土曜日 13:00から
場所 太宰府天満宮 崇敬者会館(本殿北側)
発表 
 1 有智山城跡の草刈について(経過報告)
 2 下高大輔(太宰府市教育委員会)
   「有智山城跡について」

 下高さんは関西で織豊期の城郭研究をしてこられた経緯があり、
全国的な視野から有智山城についてコメントいただけると思います。
宝満山頂の南東の愛岳山にある升形城、北東の頭巾山にある
頭巾山城についても踏査されており
戦国時代の宝満山についても興味ある話題です。

三郡縦走路から頭巾山への分岐

 また、先日おこなわれたトイレシンポ
(山中のトイレ設置を考える集会)の
参加報告もあるようです。


 また、同日に太宰府市国分にある文化ふれあい館で
太宰府市市民遺産展がオープンします。
 この展示で太宰府でかつておこなわれた
「雨乞い」に関する展示が予定されており
その中で竈門神社宝物の「水鏡」が展示される予定です。
渇水時には宝満でも祈祷がおこなわれ
どうしても降雨が無いときには奥の手の秘術として
その水鏡を座主が抱いて山中にある「獅子の滝」に
入ったとされています。

会期は7月一杯です。
参考;太宰府市HP
http://www.city.dazaifu.fukuoka.jp/bunka_h/tkurashi-f_5.jsp


天狗径は通行禁止

2007-06-15 | Weblog
天狗径は通行禁止

2007.5.9の記事で紹介した竈門神社が設置した
「天狗径は通行禁止」の看板が相変わらず
心無い登山者によって打ち捨てられていることが
昨日(6.14)の西日本新聞九州版に掲載されました。

梅雨の時期に入り足元の悪いテングミチは危険なルートです。
山の荒廃を防ぐためにもなんとかしておきたいとことです。
記事が抑止につながることを期待します。

宝満山の草木類(お茶の木編)

2007-06-12 | Weblog
宝満山の草木類

先日のコシアブラに続いて第二弾です。

写真は推定有智山城内に見られる「お茶」の木です。
大半は高さ30cm程度の低平なもので
あちこちにまばらに見られます。
この木も伐採作業のときに事前説明して
切り残したものの一つです。

推定有智山城内の「お茶の木」

山中では特定の場所でお茶の木が自生しています。
お茶は本来栽培品種で自然に生えているものではありません。
山裾では北谷の集落の路傍、山中では内山辛野遺跡周辺
ここの推定有智山城内、中宮周辺、筑紫野市側の東院谷などです。
宝満のお茶の木にはエピソードがあります。
宝満山の仏教・修験道から見た歴史書「竈門山旧記」には
戦国時代の戦乱で疲弊した宝満坊中に対して
黒田藩主長政の採った施策が記載されています。

「豊州求菩提山茶園を以為扶持。是山猶如此すへしとて
永々課役有間敷旨被仰出也。此比四五ヶ寺山下住茶園
くわたつといへとも于終不可有利。山上す茶の実数十石
拝領被下。其地谷山、九重原上辺也。」

推定有智山城の辺りがまさに「谷山、九重原」であり、
城内に見られるお茶の木はその末裔と見られます。


今回の伐採で発見された推定「茶園の石垣」

その証拠に今回の伐採で確認されたのですが
城内ではおよそ山城に必要と考えられない
高さ20cmほどの石を並べた段々の
畑の跡と考えられる施設が連続して営まれています。
この石の段々が茶園に係わる開墾の痕跡と考えられます。

「旧記」では利潤が上がらず事業は
終わったように記載されていますが、
明治前半に編纂された「福岡県地理全誌」には
北谷の項の物産に「茶」の記載があります。
山内でのお茶の栽培は山伏から里人に
引き継がれたのではないでしょうか?

遡って戦国時代に山中が豊後大友宗麟によって支配された際に、
「旧記」では、寺院の前栽、茶園まで検地されたとされており
長政下賜の茶の実以前にも坊中には
小規模なお茶の栽培があったようです。

山中の雑木に歴史有り!

山のトイレを考えるフォーラム

2007-06-07 | Weblog
「山のトイレを考えるフォーラムin福岡2007」
というタイトルで同名の実行委員会による会合が
あるもようです。(下記参照)
山の環境に浸りに来る登山者の増加、
山内に散在する溶けない素材のティッシュ。
考えさせられるテーマです。

筑豊山の会、英彦山山の会、西鉄山友会、
福岡県勤労者山岳連盟などの方々が
係わっておられるようです。

日時;2007.6.17 sun 13:30~16:30
場所;太宰府館(西鉄太宰府駅徒歩3分)3階まほろばホール
参加費;500円
事務局;九州登山情報センター(太宰府市大字内山)

下草刈で切った木切らなかった木

2007-06-02 | Weblog

草刈前のレクチャー

 5.19の草刈では、作業前に太宰府市文化財専門委員の冷川昌彦先生から
有智山城周辺の植生についてレクチャーをしていただき
事前に切り残す木をテーピングしていただいて作業にかかりました。
ネズミモチ・ヤブニッケイ・サカキ・アオキひこばえのスギ・ヒノキなど
ここ数年で太った雑木然とした木は次々と切り倒しました。

 作業中のメンバーの会話。

 S「しぇんしぇー(先生)、コシアブラっちゅうとはあるとですかいな?」
 T「ああたの(アナタの)目の前にあるとがそれです。」
 S「ああっ、これならよー見よりました!」
 T「5枚一つでテーブルのごと平らにひらいとるとが特徴です」
 S「この葉は食べられるとでっしょう?」
 T「そうそう。新芽は天ぷらにしたらおいしかですもんねー」
 S「新芽ばですか?」
 T「そうそう。豊臣秀吉が足軽やったとき、奥さんのネネさんが
 屋敷の周りにこれば植えて、新芽ば売りに行ってしのいどった
 てゆう、いわくの木ですタイ」
 一同「ホー!」


コシアブラ(新芽の時期は通り過ぎ・・・)

つづく

第10回研究会のご案内

2007-06-01 | Weblog

(写真 有智山城の壕と石垣)

次回の例会は下記のとおりです。

日時 6月23日 土曜日 13:00から
場所 太宰府天満宮 崇敬者会館(本殿北側)
発表 
 1 有智山城跡の草刈について(経過報告)
 2 下高大輔(太宰府市教育委員会)
   「有智山城跡について」

 先におこなった有智山城での共同作業は参加者や地元から
さまざまなご意見が聞かれております。
 また、今後会として共同作業をどのように展開していくか、
など、意見交換をできればと思っております。
 下高氏は戦国城館の若手研究者で、ご専門の立場から城の
構造や時代的な考察などのお話が聞けそうです。

 ふるってご参加ください。