宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

第18回の宝満山研究会例会報告

2008-10-11 | Weblog


 本日午後、第18回の宝満山研究会例会が
太宰府天満宮崇敬者会館2階の宝満の間で
おこなわれました。

 参加者は46名という大盛況ぶりで、
席が足らずに急遽椅子をだしたり、
レジュメをコンビニまでコピーに走ったりと
まったくうれしい悲鳴の会となりました。

今日の講師は九州歴史資料館主任技師の岡寺良さんで、
「宝満山二十五坊と宝満山城-山岳遺跡の平面構造調査-」
というテーマでパワーポイントを使われながらご発表いただきました。

 なにしろ宝満の近世の坊跡については
考察の基礎となる平面図が作られたことがなく
本研究会でも平板実測の話も上がっていたところです。
今回はじめて山城の縄張り実測の方法を用いて
岡寺氏が昨年単身で宝満山中の通称「東院谷」(筑紫野市側)
と「西院谷」(太宰府市側)双方の図を作成され、
その図から近世地誌『筑前国続風土記附録』(元禄期頃)や
絵画資料『宝満山絵図』(江戸初期、県指定)、井本家文書
『竈門山水帳』などを足がかりに坊の推定地を探る
基礎的な作業を披露されました。

 また、坊跡に批定される段造成の平坦面の相互の関係が、
座主である平石坊を除いて決定的な優劣を示していない様子から、
山内での坊どうしの並列的な関係を想定されるなど、
宝満二十五坊全体のあり方にも論究されました。


 宝満山城についてはその中枢の所在地を山頂を含む
山頂を含む東斜面側の東院谷に求められ、
山頂の北東三郡山側の頭巾山の頭巾山城跡、
南西側の愛嶽山の枡形城跡、内山の有智山山城跡が
16世紀後半には相互に有機的に機能して
宝満山頂への登山ルートと遮断する目的で存在
していたと論じられました。

 微視的になりがちな九州の山城研究に一石を投じる
貴重なご発表でした。今回のご発表の内容は
九州歴史資料館『研究論集』33号(頒布価格1,500円)
「宝満山近世僧坊の調査と検討-山岳寺院の平面構造調査-」
に詳細が掲載されておりますのでご参照ください。

会友末永さんの制作された会の活動記録の画像については
機械不良のため次々回の上映となりました。

ジオグラフィックTVの宝満山六所宝塔跡(動画)

2008-10-10 | Weblog
会友のkunio様よりご連絡をいただきましたので
会員各位にご紹介します。

ジャパン-ジオグラフィックTVに
「宝満山で六所宝塔跡を発掘」と言うタイトルで
ダイジェスト版(約7分)をアップしました。

場所は下記URLの先頭にあります。
動画は2種(中級画質と低画質)ありますが、
低画質の方がデータ量が少なく、早く見れます。

http://japan-geographic.tv/fukuoka/dazaifu-kamado-jinja.html

久山町の白山シンポジウム

2008-10-10 | Weblog
前回ごあんないしました18回例会に充てる
糟屋郡久山町のシンポジウムについて
詳細情報をいただきましたのでお知らせします。
当日は午後にシンポがありますので、
午前中に久山町さんのお計らいで
現地の白山(中世山岳寺院)の現地見学を企画しております。
宝満山の中世を考えるためには必見の残りの良い山岳遺跡です。
ふるってご参加ください。
詳細は17回例会の中でお伝えします。


首羅山(白山)遺跡シンポジウム開催要項

1.名称  シンポジウム
甦るまぼろしの山岳寺院
―首羅山(白山)遺跡―
     
2.目的  平成17年度から調査を行っている首羅山(白山)遺跡は、中世の状況がそのまま残っている貴重な山岳寺院跡であり、広く注目されている。首羅山遺跡は本町にとって貴重な地域資源であるだけではなく、アジアの窓口である福岡平野周辺の歴史を考えるうえでも重要な遺跡であるといえる。そのため、保存のための国の指定を目指し、発掘調査だけではなく、多方面からの調査を継続している。
 調査から4年を経過し、ベールに包まれていた首羅山遺跡もその姿をあらわしつつある。そこで、現在までの調査の成果を報告し、遺跡の周知を図る。また、本町の伝統・文化を活用した地域づくり(まちづくり)に取り組むために、文化財の保護・活用促進を目指し、今回のシンポジウムを開催するものである。

3.主催  久山町・久山町教育委員会
  後援  福岡県教育委員会

4.日時  平成20年12月6日(土)午後1時~5時(申込不要)
      現地見学会 12月7日(日)午前10時~午後1時(要申込)
          往復はがきに住所・氏名・年齢を明記し、教育委員会
          あてに申し込み。11月1日より受付。先着60名

5.会場  久山町文化交流センター(レスポアール久山)欅ホール
      (住所)福岡県糟屋郡久山町大字久原2603-1
      (交通アクセス) 西鉄バス・JRバス久山バス停下車すぐ
               駐車場あり
(問い合わせ先・申し込み先)
〒811-2592福岡県糟屋郡久山町大字久原3632
    久山町教育委員会 文化財保護係
092-976-1111(内線284)
           文化財係 江上・八丁

6.内容  現在の調査状況の説明、久山町白山遺跡調査指導委員会から調査報告の後、パネルディスカッションを行い、首羅山遺跡調査の成果と今後の展望について確認するとともに、遺跡の保存とまちづくりへの活用方法について討論を行う。また、現在九州歴史資料館が所蔵となっている「白山神社経塚出土遺物」の借用を行い、町民に公開する。
     

7.開催次第
   13:00  開会行事
        ご挨拶 
久山町長 
   13:05  首羅山遺跡発掘調査の概要
         久山町教育委員会  主査 江上智恵
   13:20  調査報告
        挨拶 
久山町白山遺跡調査指導委員会
         委員長 西谷 正 
報告
久山町白山遺跡調査指導委員会委員
○「首羅山(白山)」をとりまく岩石     
久山町文化財保護審議会会長   安河内 孝 
○首羅山(白山)の歴史と東アジア  
九州大学大学院比較社会文化研究院社会情報部門教授  服部 英雄
○経塚と瓦からみた首羅山(白山)の歴史
福岡大学人文学部歴史学科准教授    桃崎 祐輔
○首羅山遺跡の宋風獅子と薩摩塔  
九州歴史資料館学芸員     井形 進
○首羅山(白山)の建築           
河上信行建築事務所      河上 信行
○宝満修験道の峰入聖域としての白山(首羅山)
日本山岳修験学会顧問     長野 覺
○宇和家文書にみる白山神社         
九州大学大学院比較社会文化研究院社会情報部門教授  中野 等

     15:15  休憩(15分)ロビーにてパネル・白山神社経塚出土遺物展示
     15:30  パネルディスカッション
          「首羅山(白山)遺跡の保存と活用
―まちづくりにどう活かすか」
          コーディネーター
           久山町白山遺跡調査指導委員会委員長
           九州歴史資料館館長
           西谷 正
          パネリスト
久山町白山遺跡調査指導委員会委員 
 服部 英雄
 長野 覺
 中野 等
 河上 信行
 桃崎 祐輔
 井形 進
 安河内 孝
久山町教育委員会教育長 阿部信之
     16:45  質疑応答・閉会行事
     17:00  閉会

8.定員      400名(入場無料)

9.広報活動    ポスター・チラシ(町内全域・全国主要博物館・大学
          県内市町村配布)新聞・広報誌・町ホームページ
          福岡県「歴史彩発見」事業
糟屋地区共同事業「発見!かすや」
10.その他   町刊行書籍販売
『首羅山遺跡』未定       500部限定
        『久山の仏像』1000円      200部限定
        『久山町史』 上下巻セット3000円
        他関連書籍販売
※今回のシンポジウムより遺跡名称を「白山遺跡」から「首羅山遺跡」としています。

第18回の定例例会

2008-10-08 | Weblog
次期第18回の定例の例会を今週末に下記の内容でおこないます。

日時;平成20年10月11日土曜日
 午後1時~4時頃まで
場所;太宰府天満宮 文華殿2階 宝満の間
 (いつもの天拝の間の向かいの部屋です。
  西鉄太宰府駅下車。周辺駐車は500円前後。
  会場は本殿裏の建物の崇敬者開館です)
資料代;200円
内容;

講和「宝満山二十五坊と宝満山城-山岳遺跡の平面構造調査-」
講師 岡寺 良 さん (九州歴史資料館 調査課)

2 本谷遺跡の保存について

3 報道映像による最近の宝満山

 宝満二十五坊については、以前に森弘子さんと事務局が文献から見た
江戸期の宝満山中の様相の復元的な考察をした経緯がありますが、
岡寺さんは新たに山中を歩かれて詳細な遺跡の作図を試みられています。
 新進の山城研究者による山中の坊の復元とそこから見える宝満山城の
実態に迫るご発表です。ふるってご参加ください。
 また、本谷礎石群については少し動きがあるようです。
 最近はテレビ報道で宝満山が取り上げられる機会が増えており、本会の活動も広く知られるようになってきています。近年の報道された映像を見ながら振り返ってみたいと思います。

※会場がいつもの向かいの部屋ですので、お間違いなく!
※次次期12月の18回例会は12月6日に久山町でおこなわれる「白山シンポジウム」
 に参加する予定です。中世山寺である白山の現地見学会とシンポへの参加の
 企画のあらましの説明をいたします。

おわび・・・しばらくPCがダウンしており更新ができておらず、
     会員各位にはご不自由をおかけしております。
     まもなく本格再開したいと存じておりますので、
     よろしくお願いいたします。