押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

燃料電池 槌屋治紀著 ちくま新書 ¥756-

2005-11-15 23:13:02 | 気になる本
これも知人に薦められた本である。前のエネルギーの本よりこちらの方が迫力がある。一つはジュニア向けと言う制限がないからであろう。更に想像だが、分野がより狭く著者の研究テーマにより近いのではないかと思われる。
燃料電池は良く知られているように電気分解の逆過程である。水素と酸素とをゆっくり反応させて電気を取り出す装置である。
どうしてそれが可能になりつつあるか、どのようなブレイクスルーがあったのか、などなどが迫力充分に記述されている。水素をどこからどう取り出すか、どのような方法があるか、水素スタンドをどうするか、などなども充分記述されている。そして、それらがそう簡単でないことも説明されていて、その間自動車で言えばハイブリッドカーが充分有効であることも説得力を持って書かれている。こうした中で日本の自動車会社が優れた独創力を発揮して活躍していることも適切に評価されている。
読んで楽しい本である。

エネルギーのいま・未来 槌屋治紀 岩波ジュニア新書 ¥819-

2005-11-15 22:50:42 | 気になる本
ある人に薦められてこの本を読んだ。表題、テーマは極めて今日的である。ローマクラブの『成長の限界』その後のダナ・メドウス等の『限界を越えて』の紹介、再生可能なエネルギー(バイオマス、太陽光発電、太陽熱、風力発電、波力発電)の紹介と説明、自動車のエネルギー源について(ハイブリッド車。燃料電池車)の説明等々万遍なく解説されている。ダナ・メドウスの紹介は迫力あるが、それ以外はどうも引き付ける記述ではない。何故だろうか、と考えた。
ジュニア新書だから、中学生・高校生にこのテーマで勉強しよう、このテーマを一生掛けてやってみよう、などと思わせ、引き込む調子の迫力に欠けているように感ぜられる。そこが残念である。テーマとしては充分である。
例えば、世界のエネルギー消費の平均値は書かれているが、日本はどうか、国内でエネルギー消費がどの産業分野で卓越しているのか、一般生活はどうなっているか、などは記述されていない。そうした学習をしてみよう、という提案があっても良いと思うのだが。
最近はテーマ別の「甲子園」と言うのがあって、高校生にあるテーマを与えて、競わせる、というのがあるそうだ。エネルギー・サステーナブルな生活様式を競わせる、というような「甲子園」が巻末に提案されるような風に全編を書き直したら、面白いし、売れるだろうと思う。