押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

六カ国協議と勝者の論理

2005-07-31 22:12:46 | きのうきょうの話題
日経の記事によると見出しは「放棄「核兵器」に限定、拉致触れず・6カ国協議共同文書案」となっている。最終的は表現が今後の協議の継続を期待できるものとなるかどうか、が焦点のようである。
一連の交渉を見ていると第二次大戦の戦勝国の論理が貫徹していると思われる。北朝鮮の核政策は明らかに核保有常任理事国の考え方をなぞったものである。韓国も戦勝国の勝者の論理に同調するようにも見える。日本は一人敗者の論理に浸っている。この立場は1945年以来基本的に変わらない。
国連憲章第107条に敵国条項があり、これは消えてゆく過程にあるとも言われているが、昨今の常任理事国拡大の問題の成り行きを見ても、そう単純ではない。国連憲章は1945年6月に調印され、10月に発効した。その後わずかの年月で冷戦時代に入り、1950年には朝鮮戦争が始まった。1991年にソ連が崩壊するまで冷戦の論理が世界を支配していた。
しかし、ここ十年足らずの世界では第二次世界大戦の勝者の論理が支配し始めているのはないかと私は感じている。イスラム原理主義はこれより遥かに長期に渡るキリスト教世界との軋轢が根本原因だと思うのでこれは別の平面での競合関係である。中国。韓国、北朝鮮、アジア諸国と日本との軋轢は冷戦構造が消滅して、第二次世界大戦の勝者・敗者の論理が根底で解消しきれていない為ではないか、が私の視点である。勝者・敗者の論理を乗り越え得る論理を我々は構築しなければならない。「乗り越え得る」は哲学用語で言えば弁証法の止揚、aufheben、である。
この視点は私もキチンと整理できていないのでここでこれ以上の議論の展開は出来ない。未消化・未熟である。今後とも学習して行きたい。

震度5の地震(2005/7/23東京)

2005-07-25 09:13:09 | きのうきょうの話題
今回の地震で直接の被害は殆んどなかったが、交通機関、エレベーターなどに多大の被害が出た。また地震データーの伝達システムに重大な欠陥があることが分った。

1.前者は朝日ドットコムによれば、エレベーターは最寄りの階まで移動してから停止するオプションの付加されていないその場で停まる安全システムだったからだそうだ。ビルを誰が建てるのか知らないが、建て主は安くしたいからオプションはやめるだろう。その後ビルに入った居住者、従業員などはそんな事には気がつかない。これが多分実情なのだろう。

そこで取り敢えずは例えば新聞記者、雑誌記者の誰かが、杉田某女を追っかけをやめて、都内のビルの10棟、100棟について片っ端から、エレベーターの安全性、ここで言うオプションがついているかどうか?を調べて、その結果を実名入りで新書版の本にしたらどうだろう。

その次にはビルの安全性の基準にオプションでなく必要である事を明記するよう、法律を最優勢で改正する。都条例か国の法律化は知らないが、少なくとも東京都あるいは首都圏の都市についてはそうすることが必要だと思う。

2.次の問題は長時間電車が運休した問題である。報道によれば、新幹線は25分、地下鉄は・・・、京葉線が7時間とか。新幹線の復旧が何故早かったかはユレダスなどの地震検出システムを初期から整備して、地震対策を積極的に行っているからだと思う。
JRの説明では目視点検を行わないと震度5では運行再開は出来ないとの報道である。当日は土曜日で点検要員は自宅で召集を掛けられても電車が動かないから現場へ行けない!と漫画のような話だ。これも緊急に対策を考えなければならない。目視で何を確認するのか、何が安全確認なのかは知らないが、今はあらゆるセンサーがあり、高解像デジタル画像を容易に撮影・伝送出来るので、例えば、台車のような試験車にセンサー、カメラ等を載せて、作業員数人が別の台車で後ろについて、一体となって「目視」したらどうだろう。名付けて「デジタル目視」システム。

3.気象庁への地震データーの伝送の遅れ。これもシステムの問題。データー収集量が増えたのにそれらを処理する部分の増強・強化を忘れた責任者の頭の悪さは追求されるべきである。しかも二月の地震では震度4で同じような事が起っていたのにその対策が取り上げられていなかった、との報道NHKテレビ、がある。

以上、今回の震度5の地震を丁度良いシミュレーターとして、今回露呈されたあらゆる不具合を徹底的に調べて、一つ一つどう対策をとるか我々は考えるべきであろう。ここでも諸記者諸君は活動の場が、問題が沢山あることを承知されたし。

変わる産学広がる連携 日経2005年719日

2005-07-22 07:10:29 | きのうきょうの話題
産学共同研究ということが言われ始めて久しい。その具体的成果を特許として共有出願し、特許使用料を次の研究費に使おうと言う戦略を京都大学は見直すことになりそうだ。企業間の共同研究の成果については特許使用料は当事者間では払わないのが通例だそうで、大学側は企業からそう申し入れをされ、受け容れざるを得ない事になったのだと言う。この報道では東北大学も同様な見直しを検討中だという。

企業側の開発力の躍進が大学側の単純な特許ビジネス構想に魅力を感じなくなったのだろうか。

イワタニの岩谷直治名誉会長死去

2005-07-20 16:40:59 | きのうきょうの話題
イワタニの岩谷さんが亡くなった。カセットガスボンベを使って卓上コンロを使うことは我が家では十数年前から始めたと記憶している。当初はガスが出なくなってもボンベの中にガスが残っていて、外したボンベが冷たかったのを記憶している。物理用語を使うと「断熱膨張で冷却する」ためである。この原理を応用しているのが、冷蔵庫、空調機、エアコンなどなどである。
ところが、十年位前からボンベのガスを全部使い切るようになった。イワタニが始めたのだと思うが、特許も取っているとも、ガスが燃えるバーナーが熱くなるのだが、その熱をガス供給パイプを通じて、ボンベ側へ戻して、断熱膨張で冷えたボンベを適当に暖めるようにしたのである。具体的にはがす供給パイプを熱伝導性の良い金属で置き換えたのである。
これはある種のコロンブスの卵である。岩谷さんは102歳で亡くなられたので。このコロンブスの卵のアイデアにどのくらい関与したのかは知らない。お悔やみの記事を見ても私の見た限りではこのことに言及したものはなかった。

突然思い出したのだが、災害時にこの卓上コンロが大変役に立った、との被害者の談話を最近読んだ。加熱して消毒という調理法がそうした時には簡便で役に立つそうである。

「自民党をぶっ壊すか」田勢康弘 日経2005/7/18

2005-07-19 09:30:12 | きのうきょうの話題
郵政民営化法案の参議院審議で解散総選挙があるかないか?であれこれの予想、意見などなど喧々諤々になっているが、この記事が深く突っ込んでいると感心した。田勢康弘氏の記事、著書はこれまでも読んだ事があり、取材の執念と分析力とを兼ね備えた優れた記者の一人と思っているが。これもそうした意味で面白い、気になる記事である。

小泉「原理主義」はぶれない、思い悩んだりしない、支持率も気にしない、党内情勢も尋ねない、などなど。詳しくは本文を読まれたし。また、これを参照しながら、各氏、各紙の意見を批判的に読み、楽しまれよ。

石綿 アスベスト 中皮腫 asbestos mesothelioma

2005-07-15 00:01:57 | 読みちらし
石綿の被害が暴露されつつある。この問題はILOで取り上げられたのが1970年代、WHOが1980年代と言う。担当省庁は当時では労働省と厚生省だろう。しかし、どちらも適切、迅速な対応はしなかったのだろう。それが今日の惨状を招いた可能性がある。

もしそうだとすると、これは近くは非加熱血液凝固因子製剤による非血友病HIV感染、古くはカネミ油症、森永砒素ミルクなどの事件と同じ厚生行政の怠慢と同類の人災の可能性がある。

タイトルに上げたキーワードをググルすると、日本語、英語でも沢山のヒットがある。スティーブ・マッキーンも出て来る。彼はバイク愛好家で当時の革ジャンの断熱材がアスベストだったとか、ブレーキパッドが石綿だったとか、の説明、推測がある。

また、イギリスでは毎年3000人余りが死んでいる、との記事もあった。日本ではまだ禁止できないらしい。恐ろしい事だ。

巨額粉飾の米ワールドコム元CEO、求刑は禁固85年

2005-07-14 09:32:51 | 読みちらし
日経の記事である。まだ連邦地裁の求刑の段階であるが、こうした重い刑罰を科することが出来るのは法体系が企業犯罪そしてその責任者に罪を問う事が出来るようになっているからではないか、と思う。このことは個人的には今後も調べたい。

談合などについても天下り、官業癒着などの側面もあるが、談合を企業犯罪ときちんと位置付けてその責任を問う事にすることがまず大切だと思うが、駄目なのだろうか?

鉄製橋梁工事受注の談合

2005-07-12 20:33:53 | きのうきょうの話題
この件に関して天下り職員が関与しているから、天下りを禁止せよ、それを検討している、との経団連会長談話があった、と書いて、情報開示と罰則を強化せよ、と述べた。

大阪市で制服などを無償で支給している事が問題となり、現役役職員に返済のカンパを要請したら、予想以上に集まったとか。

道路公団関連の今回の談合について、刑事罰とは別に、発注工事の正当な工事費を第三者(これが問題だが)に算出させ、差額(あるいは単純に10%とか20%)を関連会社並びに天下りOBから徴収してはどうだろうか?その際、週一回の出勤で年俸1500万円とかを頂戴していたとかの事も充分勘案して、カンパ額を提示したらどうだろう。

(7月13日補足)談合は英語でdangoである(本日の天声人語参照)。これらの鋼鉄製橋梁工事は国際競争入札にはなっていないのだろうか。横須賀だかの米軍基地の工事が日本の業者も入札参加資格を持っていて、談合が問題となったことがあったと記憶している。国際競争入札になれば透明性が強調されると思うのだが。調べてみたい。

<帝国>を考える 的場昭弘編著 双風舎 ¥1890-

2005-07-11 23:21:31 | 気になる本
的場昭弘の「マルクスだったらこう考える」を買って読んだ。あんまり面白くない。どうしてだろう。ソ連については書いてあるが、中国については何も書いてない。だからだろうか?

後ろの参考文献に <帝国>を考える があり、図書館で調べたら、在庫があり、予約した。借りてきてパラパラ読む。
プチ<帝国>としての日本 中村政則。これはなかなか面白い。実証的な議論の進め方は大変説得力がある。幾つかの文献も備えてあり、これらをまとめて読むと著者の考え方が良く分かるだろう。それは必ずしも中村政則を信ずる事ではなく、思考方法、分析方法を学ぶ事が出来る、と言う意味で面白そう。
藤原帰一 アメリカ政治と国際関係 も面白そう。まだパラパラの段階。
他にも面白そうな話があるがまだパラパラ以前。
皆さん<帝国>を一生懸命咀嚼しようと努力されている。
多分、この項続く。

袖のボタン/石原都知事に逆らって 丸谷才一

2005-07-09 23:19:35 | 気になる記事
すこし古いが7月5日の朝日新聞の記事。都市美と言えばパリ。花の都パリを造ったのはナポレオン三世。彼にまつわる楽しく新しいエピソードをまとめたのは鹿島茂「怪帝ナポレオンⅢ世」(講談社)。世界に名だたる都市の醜悪美をしめしているのが現在の東京。
しかし、石原都知事も「東京は救いようがないよ。・・・大震災でも来て・・・」とやけのやんぱち発言とか。そこで丸谷才一の提案は芦原義信の「街並みの美学」(岩波現代文庫)を掘り起こし。外壁から突出しているもの(広告塔、鈴蘭灯、電柱、電線、電柱広告、袖看板など)を少なくしよう、である。こうすれば街の景観はすっきりして、豊かな感じになる。こうすれば「芸術作品としての都市」は差当り高嶺の花だろう。しかしそれなら醜さを極力減じた「実用品としての都市」を作ろうじゃないか。

この提案と比べて学者の提案を皆さんどう受け止めるだろうか。

新世紀の世界史と日本

2005-07-07 23:16:27 | 気になる記事
2005年7月4日朝日新聞夕刊に表題の寺島実郎の記事がある。「事実認識を深めなければならない昨年の日本の貿易総額は米国18.62%、アジア45.7%である。」「取り戻すべきは主張を貫く理念である。例えば、国連常任理事国問題を巡る日本の姿勢は、「二割近くの国連分担金を負担する日本にもリーダーの地位を与えよ」という次元のものであってはならない。五大国主義と一線を画し、核保有国でも武器輸出国でもなく平和主義に徹した国が常任理事国になることの意義をひたすら訴えるものであるべきだろう。」一読の価値あり。

原油市場の複雑化

2005-07-06 00:26:31 | きのうきょうの話題
先に原油価格の高騰は中国の大量消費との説を紹介した。しかし昨日の日経(2005年7月4日)を読むとそれほど単純ではないらしい。
火力発電所に使う石炭を増産出来ないので例外的に原油の輸入量を増やした、とある。年率で15.6%の上昇だそうな。ちょっと飛躍があって判らない。石炭が増産できなくて、石炭による火力発電が落ち込み、石油による火力発電システムを急遽導入した、ということなのか?
いずれにしても中国が輸入している原油は軽質(ガソリン成分の比較的多い)で、米国や北海で産出する。日本が輸入する中東産の原油は重質で、重油成分が多く、硫黄も多い。従って、OPECの原油供給量が上がっても、原油価格は下がらない、と言う。実際、中東原油は余剰感があると言う。それなら日本のガソリンスタンドでのガソリン価格の上昇は便乗なのか?


経団連会長 天下り受け入れ停止を要請?

2005-07-03 04:17:52 | きのうきょうの話題
経団連奥田会長は表記の要請を傘下の会員会社にすることを検討している、との日経の記事。強い反対がなければ、会長談話と言うかたちで発表される。泥酔論説委員がこの事の意義、影響についての一面を論じている。
「天下り」と言う言葉が「利権と共に再就職」と言う事が問題なのであって、役人を一度でもやったら民間会社には移れない、ということであれば、今後とも外郭団体は減る事はなくなりそうだ。そうなると小さい政府という行政改革の目標の一つも実現は難しくなる、と思うのだが。
私は官公庁の完全な情報開示と談合に対する罰則の強化を行う方が実効はあると思う。

内部告発無罪判決確定

2005-07-02 11:17:06 | きのうきょうの話題
朝日ドットコムによると、

「 第二小法廷は「民事訴訟法が定める上告理由に当たらない」と述べた。

 二審判決は02年7月、「内部の不正をただすという観点からはむしろ信金の利益に合致するところもあった」などとし、「懲戒解雇は権利の乱用に当たる」として懲戒解雇無効を確認し、これまでの給与支払いを命じた。 」

とあり、極めて常識的と感じた。『常識的な内部告発は愛社精神の発露』とでも言うべきか。これが前例になれば良いと思う。

「リッチランド」のマルチ商法?で強制捜査

2005-07-02 00:39:57 | きのうきょうの話題
健康食品会社のリッチランドがマルチ商法の疑いで強制捜査を受けているそうな。その規模は集めた資金400億円一万人から、ということだ。持っている人は持っているし、法外な高配当にどうして引っ掛かるのか?とこの手の話が出る度に思う。
しかし、この規模を一万倍すると、400兆円、1億人となる。これのほぼ二倍が国債の規模となる。即ち2005年3月末で781兆円余である。
リッチランドって酷い事をしていると思ったが、我々国民は国レベルで同じ規模でマルチ商法ではないが、先送り商法?をやっているのだ。一万人なら自分は含まれていないから笑えるが、一億人なら笑えない。