押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

宮崎 勤よ、おまえは何者だ? 佐木隆三X篠田博之 論座2006.3

2006-02-23 13:40:08 | 気になる記事
記事と言うより正確には対談である。佐木隆三はご存知の通りこの事件を最初の犠牲者が出た1988年から関わっている。現場取材、公判傍聴、容疑者との文通などなどである。この対談の中では、私には、流石それだけやってきただけのことはある!と思わせる重みのある発言をしている、と感じられました。

私個人としてはこの事件に関心があり、最高裁判決の時メモを書きました。死刑にしても何も解決されていない、と言うような事でした。この対談で佐木隆三の発言は私の不満、疑問に少し答えてくるれものでした。

恣意的に、勝手気ままに、気づいたことを書き留めることにする。

「四人目の被害者の両手首、両手足を山林内に捨てたと起訴状に書いてあるのは間違いで、両手首は自分で食べた」と発言したことに驚いたからです。

・・・検察官がこう述べています「被告人はずいぶん言葉遣いに神経質で、供述調書にクレームをつけた。1989年9月17日付の印面調書で、性器について『大人は汚いが、子供はきれい』と録取したのを、『大人の女性の生きている性器を見るのは難しいが、子供は恥じらいがない』と訂正させています」。非常に興味深い部分です。

詐病という専門用語があるらしい。ネットサーフィンするとこんな説明がある。仮病に似ているが、寂しさだどで病気を装っているうちに本当に病気になってしまうものらしい。宮崎勤は詐病と言われているらしい。佐木隆三はそう思っている一人らしい。麻原彰晃もそう思われているらしい。

アスペルガー症候群と言う言葉も出て来る。これは別項で述べる積もりだが、自閉症の一種と考えられているようだが、知能指数は高いことが多く、高機能自閉症と言う言葉も用いられ、重複する部分が大きいようだ。しかし、宮崎勤はアスペルガー症候群ではないらしい。

この対談では裁判に対する不満が述べられているが、それは裁判で全てが解決すると言うことではなく、矯正プログラムを充実させる必要があるのではないか、と言うことに行き着くようである。刑務所生活は矯正、更正とは何の関係もなく、犯罪者は刑務所にぶち込んでおけば良い、と言う極めて古い考え方が未だに蔓延っていて、再犯が絶えないのはこうした事も背景にあるそうだ。

この事件はその後の様々な事件、酒鬼薔薇聖斗事件、池田小学校の宅間守死刑囚、奈良の小林薫被告などなど、の嚆矢となった訳で、死刑を執行しても社会の病理は解決、解明出来ない。

大局を読む 長谷川慶太郎 ビジネス社 ¥1575-

2006-02-22 01:29:00 | 気になる本
東谷 暁氏の「エコノミストは信用できるか」文春新書によれば、長谷川氏は70-80年代の活躍は膨大なデータの分析から生まれていた。思想的には同意出来ないが、80年代半ばの著作はやはり面白かった、とある。採点チャートによれば、長谷川氏は著作も多く、露出度は高いが、説得力、議論の整合性、時間的な一貫性などで不十分である、となっている。

この事を一応頭において、この本を読む。この本で言う大局とは2005年9月11日以後のある種の政変の捉え方と言う意味と考えて良いようである。衆議院解散があるとは殆どの人々、国民を問わず、政治家を問わず、エコノミスト、ジャーナリストも問わず、思わなかった。そして選挙結果があのようになるとも予想した人は甚だ少数であった。

この本はあの選挙の結果は然るべくしてああなった、とまで言い切っているようである。その意味では田中直毅氏の2005年体制の誕生とディテールは別として、小泉改革を肯定している。

この本で長谷川氏が予測していることがその時点で起こるかどうか、全体の推移がそうなるかどうか、は注目したい。差し当たりは、次期自民党総裁、である。私は一つの考え方として受け止めておきたい。田中直毅氏の考え方についても同様の受け取り方である。

因みに東谷 暁氏の評価は田中直毅氏、ついでに竹中平蔵氏。についても長谷川氏と同様に説得力、議論の整合性、時間的一貫性に欠ける、となっている。と言うことはこうした特性と小泉改革とに共通性があると言うことが考えられる。改革を遂行する人種は確かにこれまでとは違った考えを持っている訳で、東谷氏の分析は正しい面を持っている、と言える。但し、分析結果で善としたことが必ずしも善ではなく、悪が悪とは限らない。正誤が逆転することがある。と言うことになる。これはオセロゲームである。

橋からの眺め

2006-02-20 14:02:46 | 気になる映画/演劇
アーサー・ミラーの脚本に表題の作品があるそうな。それを民藝がやっていて、それを見た人が感想を書いていた。作品の持つ重さをきちんと捉えていない点が不満である、という内容のようだ。
見ていないし、見る積もりもないので、そのことについてここで云々する積りはない。アーサー・ミラーは赤狩りで仲間を裏切ったエリア・カザンを批判してこの作品を書いたと言われている。エリア・カザンはアカデミー生涯特別賞を何年か前に貰い、そのことが話題になった。このサイトを見て、思い出して、ネットサーフィンしてみた。
ヒットしたのは例えばこれ。これは鈴木頌さんのサイトの一部である。LAタイムズの記事を引用させて貰うと、
『 一連の流れはマーチン・スコセッシ監督とロバート・デニーロがうまく作った.「最後の大君」でカザンと仕事をともにした仲間である.
 二人はスコセッシが編集した「カザン名場面集」を紹介した.その最後は「波止場」の意気高いエンディング・ショットだった.カザンのスティル写真の下,二人はさらにカザンを劇的に賞賛し,その登場に向け観衆の拍手を得ようと図った.
 89歳の老け込んだ姿の監督が舞台に現れた.カメラは立ち上がって賞賛する何人かの観衆を捕らえた.カール・モールデン,ウォーレン・ビーティ,リン・レッドグレーヴ,ヘレン・ハント,メリル・ストリープ…….座ったまま拍手もしない人々も捕らえた.ニック・ノルティ,エド・ハリス,アミー・マディガンである.スピルバーグは彼らとは別の行動をとった.すなわち拍手はするが,立ち上がりはしなかった.
 カザンの挨拶は当り障りのないもので,議論を誘発するようなものではなかった.アカデミーとスコセッシ,デニーロに感謝した後,カザンは言った.「さて,私はそっと脱け出すこともできます」

 そのあとちょっとためらって,「何かもっと私に言わせたいことはありますか?」
 観衆の多くはそう思った.彼の謝罪を期待した.しかしそれは出るべくもなかった.
ドロシー・チャンドラー・パビリオンの外では反対派がプラカードを掲げ,スローガンを叫んでいた.そのプラカードには「密告者カザン」と書かれていた.』

しかし、アカデミー特別賞を与えることにも反対した人々もいた。急先鋒はリチャード・ドレイファスでLAタイムスを引用すると、『 ドレイファスは言う.「カザンはすでにその映画の仕事において賞賛されてきた.それで十分である」
 ドレイファスとその仲間は,カザンにアカデミー賞を与えることに反対している.なぜならカザンは50年代の赤狩りの時代にハリウッドの共産主義者や同調者とみなされた人々を「売った」からである.そして新聞マスコミ紙上で密告を奨励したからである.
 ドレイファスは言う.「カザンは賞賛を受けるべき人物ではない.彼は無害だったようにも見えるし,ひょっとすると正しかったように見えるかもしれない.が,本当は彼は間違っていたし,無害でもなかったからである」

 ドレイファスは受賞式のあいだ街を出ると述べた.カザンが賞を受けるところを見たくないからだ.』とある。

鈴木頌氏はドレイファスよりも更に厳しくエリア・カザンを追及している。詳しくは本文を読まれたい。

私はしかしそう一筋縄では行かない要素がこれらの問題にはあるような気がする。アメリカは多民族国家でこうした曖昧さに寛容な部分があって、辛うじて国として成り立っているのかな、とも思う。


日本にも「転向」という問題があった。転向者はその行為に苛まれてその後は優れた活動がなかったように私は感じている。それに比べると、較べることに意味があるかどうかという事も問題になり得るが、エリア・カザンは「波止場」のような優れた勇気と活力を与える作品を生み出した。この映画をビデオでも何回か見たが、最後に見たのはエリア・カザンが特別賞を受ける前で、こうした問題意識のないままで見たので、この作品に「裏切り」に関わる何かが込められているかどうか考えながら見ることはなかった。「転向者」が「波止場」を見たら、何か感ずるところがあっただろうか?

6大手銀行の業績大幅改善

2006-02-16 22:03:35 | きのうきょうの話題
日経の新聞記事だが、6大手銀行の業績が改善し、特に三菱UFJは1兆円を越えてトヨタ自動車を上回り、国内トップに躍り出たそうな。利益還元策を問われるとの解説があり、第一に株主への還元、第二に利用者への還元、具体的には支店内には顧客向けのトイレすらなく、とある。へェー、トイレなんてコンビニに任せて、私なら、顧客の一人の積りだが、利子を上げて欲しいね。今の利子は銀行とは言えないね。バカにするな!

ネット接続規制

2006-02-15 22:59:52 | きのうきょうの話題
米国務省は中国をはじめとする諸外国でのネット接続規制について重大な関心があるとして特別対策チームを立ち上げるとの意向を表明した、朝日ドットコムによる。ネットサーフィンしたら、この件を調べている学者がいた。ここを開くと更に詳しい話がある。
中国当局はネット監視による逮捕者なしとの反論があった、との報道もある。
一方米国議会では公聴会が開かれたとの報道もある。

イランの核武装について

2006-02-12 16:32:30 | きのうきょうの話題
イランは核武装へ向けてあれこれ準備している。核武装の論理は第二次大戦の戦勝国が構築し、彼等は核武装の独占でその論理を維持しようとしている、と私は考え、理解している。
ところで核独占国家の説得にも拘らずイランは核武装の準備を進めている。米国はこの外交交渉が失敗した時にイランの核施設を攻撃する計画を立案したとの英国の報道があるそうな。

この核の論理は北朝鮮も使っている。日本はこうした戦勝国の論理に敗戦国の卑屈な理屈でしか対応していないように私には思える。こうした戦勝国の論理は破綻しつつある。その最も具体的な事例はその後の経済的な発展、格差である。従って、こうした敗戦戦勝の単純な論理を乗り越えなければならない。日本はそうした行動をするに最も適した国である。イランと欧米諸国との外交交渉に日本も加わり、決裂、軍事攻撃に至らないよう努力する事が大切で、そこに21世紀が前の世紀とは違って戦いのない世紀にする可能性が存在する。

金大中事件関係文書公開について金大中氏コメント

2006-02-09 17:02:18 | 気になる記事
1973年の金大中事件に関する外交文書を韓国政府は先に公開したが、金大中氏はこれが不十分であるとのコメントをした。事件は韓国政府が関与しており、人権問題は政治決着では解決しない、とも述べた。金大中氏は大統領の任期中はこの事件に関して一切コメントはしなかった。