押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

堺屋太一緊急直言 平成30年経済崩壊・・・週刊文春1/3・10/2008合併号

2007-12-29 01:36:58 | 齧り書き
毎年暮に正月の合併号が出て、出版方関係者は正月休みとなり、読者方はそれらを読むことになる。幾つか面白い記事があり、順次読書メモを記しておこう。

まず、堺屋太一の緊急直言 平成30年経済崩壊までのシナリオ と言う表題の記事。結構タイムリーで説得力がある、一読をお薦めする。堺屋太一は既に
「平成三十年」への警告 日本の危機と希望を語る 朝日新聞社 堺屋太一 630(税込) 2004/03
と言う警告の本を書いている。文春の記事は表記の警告を十年前に朝日に連載して、それから10年の中間点での中間報告である。この警告は、まだ読んでいないが、彼の要約によると、
1.国際競争力の低下によって円安が進行。1ドル250円を切り、300円をうかがう情勢となっている。
2.貿易とサービスの収支は1000億ドルの赤字、国際収支の赤字は500億ドルにのぼり、拡大を続けている。
3.消費者物価は20年前に比べ、約三倍になっている。中でもガソリンの値上がりは著しく、1リッター1000円。
4.消費税は12に引き上げられ20%も視野に。所得税は地方税も含めて50%に据え置かれたまま。
5.国家予算は大幅に膨張し、総額307兆円。77兆円の財政赤字は国債発行による借金で補っている。国民一人当たりの国内総生産(GDP)はアメリカの半分、台湾や韓国には抜かれつつある。
6.少子高齢化は一段と進み、地方の山間部は超過疎化している。
7.大陸からの酸性雨などの環境問題は益々厳しい。


以下続く・・・

SIGHT 2008/winterーその3 魚住 昭のインタヴュー

2007-12-24 23:28:27 | 齧り書き
魚住 昭のインタヴュー 表題 国家・官僚・メディア 副題 政治を本当に面白くするには?

このインタヴューは面白い。ここ十数年の検察官僚の動きを鋭く分析している。米国発のグローバリゼーション、規制緩和・構造改革の潮流にあわせて、検察官僚は旧経世会的な、日本型の所得再分配システムを破壊している、というのだ。こうした視点を提示している人は余り居ないのではないか、と思う。
田中角栄事件、リクルート事件、・・・鈴木宗男事件、ライブドア事件、村上ファンド事件、・・・は全てこうした流れの上にのっているのだという。別の表現をすれば、これらは国策捜査だと言うことが出来よう。検察=正義と言うような単純明快な図式が安易に作られ、テレビのワイドショーで宣伝され、強制捜査のダンボール箱に象徴される悪の図式。裁判員制度についても陪審員制度と似て非なる部分があり、警告を発している。

朝日新聞書評委員のお薦めから・・・

2007-12-24 17:23:51 | 齧り書き
毎年の事だと思うが、12月23日の新聞に表記のお薦めが3点X18人掲載されていた。
私が読んで見たいなと恣意的に思った本を列記する。
買いたいと思った本
1.サムライとヤクザー男の来た道(氏家幹人著、チクま新書、819円):野口武彦選
2.勘定奉行荻原重秀の生涯(村井淳志著、集英社新書、735円):野口武彦選
高価なので図書館で借りたいと思った本
3.「結婚式教会」の誕生(五十嵐太郎著、春秋社、1995円):斎藤美奈子選
4.ガイドブック的!観光社会学の歩き方(遠藤英樹著、春風社、2100円):斎藤美奈子選
5.生きさせろ!(雨宮処凛著、大田出版、1360円):香山リカ選
6.極中記(佐藤優著、岩波書店、1995円):柄谷行人選
7.ナショナリズムの由来(大澤真幸著、講談社、5000円):酒井啓子選
8株式会社ロシア 混沌から甦るビジネスシステム(栢(かや)俊彦著、日本経済出版社、1995円):高原明生選
9.滝山コンミューン1974(原武史著、講談社、1785円):重松清選、北田暁大選

読んだら、読書ノートをここに掲載する積りでいます。

サブプライムローン基金の構想破綻

2007-12-23 11:07:05 | 齧り書き
サブプライムローン基金というオカシナ構想があり、どうなるのかな?と思ったら、破綻したらしい。
この朝日ドットコムのヘッドラインが良く書けているので引用すると、「 米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題への対策として、米3大銀行が設立を目指した「サブプライム支援基金」構想が頓挫した。サブプライムショックによる市場の混乱を鎮めることを狙ったが、逆に、効果が不透明な「損失先送り」と不信感を広げた。」
・・・と言うことらしい。

この記事には更に面白い事が書いてあるので、そこも引用すると、「約50億ドル(約5500億円)の融資枠の設定を求められた三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクには「巨額の融資の割に条件があいまい」という戸惑いの声が当初からあった。米大手銀の焦りもうかがえたが、結局、邦銀勢は「株主に説明できない」と断る方針に傾いた。損失への懸念から、自行の株価が急落したことが背中を押した。」
・・・つまり株価で、株主が、銀行の姿勢を、方針をコントロール出来るということを示した一例と言う事だと私は理解したのだが・・・。

サブプライムローン問題は実体経済に益々深刻な影響を与えつつあり、まだまだ底が知れない状態のようである。今後ともこの件は注目して、学習して行きたい。

SIGHT 2008/winterーその2 御厨 貴、上杉 隆のインタビュー

2007-12-21 16:58:02 | 齧り書き
御厨 貴のインタビュー、上杉 隆のインタビューは買って直ぐに読んだ時は面白い見方だな、と感心したが、このところの福田内閣の惨状を見ていると、その政治状況の捉え方の新鮮さは褪せて、現実が遥かに突き進んでいる、と思われる。今日の、12月21日、朝日ドットコムによれば、福田政権の支持率は31%で末期症状に落ち込んでいるそうな。朝日だけの世論調査だから、それほど大騒ぎする事ではないかも知れない。
しかし、年金問題の対応、肝炎問題で対応、などなどで首相としての指導力が見られず、官僚の言いなりになっている印象しかなかった。桝添厚生労働大臣の評判も落ちるところまで落ちたようだ。

・・・と言う訳で、これら二人のインタビューは残念ながら、気の抜けたビールとなってしまった。

SIGHT 2008/winterーその1 巻頭の渋谷陽一の意見

2007-12-09 00:41:27 | 齧り書き
巻頭の渋谷陽一の意見が良い。曰く「・・・なんで大連立が支持されなかったか、まるでわかっていないのである。それは、そんなものは有権者にとって、ひとつも面白くないからに決まっている。そんなことをさせるために、有権者は参院で民主に勝たせたわけではない。今の政治の枠組みでは、どうしようもないからどうにかしろ、と有権者はおもっているのだ。・・・」

良いね、これ!因みにこの巻頭言の題目は 政界再編! 副題は 参院・与野党逆転で政治が面白くなる である。

新聞、TV、週刊誌、月刊誌などなどのマスメディアの退潮には目を覆いたくなるものがある。既成の枠組みではどうにもならなくなっている兆候、現象があらゆる方面に現れて来ているのに、これらをまともに取り上げる事が出来ずに、ただ古い考えから、枠組みから批判している。これは正しい批判ではないだろう、従って、これらのマスメディアはいずれ破綻して、消え去るだろう。

SIGHTはこうした中で政治の世界にリベラルな立場から新しい切り口を読者に提供しているところが有難い、稀有な存在という意味でもある。

但し、長期的に見るならば、政治は上部構造で下部構造たる経済についてもリベラルな立場から発言する事を考える必要がある。最近のサブプライムローン問題に端を発した経済の不安定性はヘッジファンドなどの既成の経済の枠組みからはみ出した部分の活動にその原因があるように見える。

私見であるが、冷戦崩壊以後の激動の政治状況を見ると、それにもかかわらず、政治的には世界全体が破綻することなさそうである。しかし、経済的には世界全体が破綻する要素が、可能性が、はるかに大きいと思う。

ヘッジファンドの金余り現象が原油に投資し、原油価格の騰貴をもたらしている、また、それが有機燃料生産へ跳ね返り、穀物市場の不安定性を引き起こしている、などと言われている。

だからSIGHTさん、渋谷陽一さん、経済の勉強をリベラルにしよう。