いつもの斎藤美奈子さんらしく、面白い視点からの書評。読者の視点も広げてくれる。善悪、正邪ではなく、視点の広さが主眼なのである。
例えば、174頁、「日本の歴史01 縄文の生活誌」岡村道雄著 講談社 ¥1575-、については、00巻の網野善彦の、・・・<女性、老人、子供、さらには被差別民の社会の中での役割>に目を向ける、と言う宣言に斎藤氏はちょっと興奮したが・・・、読んだら食わせ物だった。01巻は家父長的な、旧来の男社会の記述で、網野先生の宣言とは相容れない、と看破した。
そして、この項の注を読むと、これが例の遺跡捏造事件に関連して、この本は絶版になり、その改訂版が出た。改訂版についても面白い書評が341ページにあり、これらを読むと本当に面白い、斎藤美奈子さんって他人を楽しませてくれる、優れたエンターテイナーである。
因みに、これは図書館で借りた本で、年末が締め切りで、大急ぎで読んでいる一つ。
例えば、174頁、「日本の歴史01 縄文の生活誌」岡村道雄著 講談社 ¥1575-、については、00巻の網野善彦の、・・・<女性、老人、子供、さらには被差別民の社会の中での役割>に目を向ける、と言う宣言に斎藤氏はちょっと興奮したが・・・、読んだら食わせ物だった。01巻は家父長的な、旧来の男社会の記述で、網野先生の宣言とは相容れない、と看破した。
そして、この項の注を読むと、これが例の遺跡捏造事件に関連して、この本は絶版になり、その改訂版が出た。改訂版についても面白い書評が341ページにあり、これらを読むと本当に面白い、斎藤美奈子さんって他人を楽しませてくれる、優れたエンターテイナーである。
因みに、これは図書館で借りた本で、年末が締め切りで、大急ぎで読んでいる一つ。
Courrierと言う雑誌の3号を買った。この雑誌は世界の各新聞・雑誌の記事の紹介をしているが、これらを読むと面白い。普段読んでいる新聞が如何に微小部分しか吸い上げていないかが判る。
この号には戦場のブログと言う記事があった。見出しを書き綴ると、「兵士たちは、自分の恐怖を、哀しみを、そして戦争の現実を全世界へと発信しているー。」何処に居るどの国の兵士かお判りだろう。そして、最後にブログサイトのURLがあったので、辿ってみた。あった!まだ活きている、生きている。そして、同じようなブログサイトがリンクされている。因みに、前文、はしがき、のようなものを原文のまま掲載する。
New Lives
This is not a political blog, not an opinionated blog, not a blog intended to cause controversy. This is just my life, starting out in marriage and in the civilian job market, presented for you to enjoy, as I do on a daily basis. I may present things to think about, or little things I notice, but in general, this is my life's story, out there for all to see.
この号には戦場のブログと言う記事があった。見出しを書き綴ると、「兵士たちは、自分の恐怖を、哀しみを、そして戦争の現実を全世界へと発信しているー。」何処に居るどの国の兵士かお判りだろう。そして、最後にブログサイトのURLがあったので、辿ってみた。あった!まだ活きている、生きている。そして、同じようなブログサイトがリンクされている。因みに、前文、はしがき、のようなものを原文のまま掲載する。
New Lives
This is not a political blog, not an opinionated blog, not a blog intended to cause controversy. This is just my life, starting out in marriage and in the civilian job market, presented for you to enjoy, as I do on a daily basis. I may present things to think about, or little things I notice, but in general, this is my life's story, out there for all to see.
半藤一利の昭和史(1926-1945)を読んだが、こちらの保阪正康の本は題目は違うが、扱っているテーマは殆んど同じで、併せて読むと視点の似ている部分、違う部分、異なる見方などなど、著者の個性が浮き出て来て面白い。
半藤一利氏は少し説教口調で、巻末に、五つの反省点を上げています。一番目は
1.国民的熱狂をつくってはいけない。中略。それは理性的でなく、感情的で、それに押し流されて、前後の見境がなくなるからである、とあります。
これは私個人としては余り気に入りません。例えば、では、「小泉劇場」には反対でしょうね。今回の衆議院選挙、その結果には国民的熱狂があると、私は思います。しかし、55年体制を崩す、崩した、一つの手法として、注意深く評価する必要があると私は考えます。この話題はちょっと別なので、ここまでで留めます。
保阪正康氏の議論の展開は余り説教口調ではありませんが、冷静で説得力があると私は感じました。例えば、
第一章 旧日本軍のメカニズム
第二章 開戦に至るまでのターニングポイント
1.発言せざを天皇が怒った「二・二六事件」
2.坂を転げ落ちるようにーー「真珠湾」に至るまで
*ここは面白い。陸軍が戦争を始めたと思われているが、実は海軍が始めたのだ、と言う説。これは保阪氏の独自説かどうか知らないが、説得力がある。関連して、戦争へと導いたのは軍人ではなく、軍事官僚だという話は初めて聞いた。更に、次章でもあるが、戦争を始めたら、どこでやめるか?それが判らないなら、始めない方法は考えられないのか?というような話があったらしい。*
第三章 快進撃から泥沼へ
1.「この戦争はなぜ続けるのか」ーー二つの決定的敗戦
*快進撃は「真珠湾奇襲」で二つの敗戦は「ミッドウエー敗戦」と「ガタルカナル敗戦」である。この二つの敗戦で、物量戦、情報戦で問題にならないことが明らかになった、という。*
2.曖昧な“真ん中”の昭和十八年
*そうした反省に立って戦争をやめる、という動きが曖昧にあったらしい。*
第四章 敗戦へーー「負け方」の研究
1.もはやレールに乗って走るだけ
*しかし、坂道を転げ落ちるだけになった。*
2.そして天皇が動いた
第五章 八月十五日は「終戦記念日」ではないーー戦後の日本
*八月十五日はポツダム宣言を受諾した日であって、敗戦の日は戦艦ミズーリの上での敗戦の調印式である。それまで満州では戦闘は続いていた。敗戦交渉は日ソの間ではなかった。この為に関東軍のシベリア抑留、民間人のソ連兵による蹂躙などなどの悲劇が起きた。残留孤児の問題もここから生じた。
戦争をいつ終わらせるか、は日露戦争では最初から考えられていたと言う。太平洋戦争では全体構想が曖昧なままで始まり、負けても、曖昧なままである。ここが一番の問題。
軍事官僚は今の自衛隊には生き残っていないのでしょうか、再生されていないのでしょうか?
1940年体制、55年体制、2005年体制などなどの議論の際にもこのような視点を保持しながら考えたい。
半藤一利氏は少し説教口調で、巻末に、五つの反省点を上げています。一番目は
1.国民的熱狂をつくってはいけない。中略。それは理性的でなく、感情的で、それに押し流されて、前後の見境がなくなるからである、とあります。
これは私個人としては余り気に入りません。例えば、では、「小泉劇場」には反対でしょうね。今回の衆議院選挙、その結果には国民的熱狂があると、私は思います。しかし、55年体制を崩す、崩した、一つの手法として、注意深く評価する必要があると私は考えます。この話題はちょっと別なので、ここまでで留めます。
保阪正康氏の議論の展開は余り説教口調ではありませんが、冷静で説得力があると私は感じました。例えば、
第一章 旧日本軍のメカニズム
第二章 開戦に至るまでのターニングポイント
1.発言せざを天皇が怒った「二・二六事件」
2.坂を転げ落ちるようにーー「真珠湾」に至るまで
*ここは面白い。陸軍が戦争を始めたと思われているが、実は海軍が始めたのだ、と言う説。これは保阪氏の独自説かどうか知らないが、説得力がある。関連して、戦争へと導いたのは軍人ではなく、軍事官僚だという話は初めて聞いた。更に、次章でもあるが、戦争を始めたら、どこでやめるか?それが判らないなら、始めない方法は考えられないのか?というような話があったらしい。*
第三章 快進撃から泥沼へ
1.「この戦争はなぜ続けるのか」ーー二つの決定的敗戦
*快進撃は「真珠湾奇襲」で二つの敗戦は「ミッドウエー敗戦」と「ガタルカナル敗戦」である。この二つの敗戦で、物量戦、情報戦で問題にならないことが明らかになった、という。*
2.曖昧な“真ん中”の昭和十八年
*そうした反省に立って戦争をやめる、という動きが曖昧にあったらしい。*
第四章 敗戦へーー「負け方」の研究
1.もはやレールに乗って走るだけ
*しかし、坂道を転げ落ちるだけになった。*
2.そして天皇が動いた
第五章 八月十五日は「終戦記念日」ではないーー戦後の日本
*八月十五日はポツダム宣言を受諾した日であって、敗戦の日は戦艦ミズーリの上での敗戦の調印式である。それまで満州では戦闘は続いていた。敗戦交渉は日ソの間ではなかった。この為に関東軍のシベリア抑留、民間人のソ連兵による蹂躙などなどの悲劇が起きた。残留孤児の問題もここから生じた。
戦争をいつ終わらせるか、は日露戦争では最初から考えられていたと言う。太平洋戦争では全体構想が曖昧なままで始まり、負けても、曖昧なままである。ここが一番の問題。
軍事官僚は今の自衛隊には生き残っていないのでしょうか、再生されていないのでしょうか?
1940年体制、55年体制、2005年体制などなどの議論の際にもこのような視点を保持しながら考えたい。
その後の次があった。みずほ証券が誤った株売買して、取り消しを出来なかったのは東証のシステムに誤りがあると判り、ここまでが「その後」、その「どさくさ」で儲けた大手の下部取引業者が、こうした利益の上げ方が「如何なものか」と批判された。その批判に応えて、儲けを返上する事になった、とさ。
当初みずほ証券側にのみ誤りがあるとの説明がされていたが、東証側にも落度があることが判って来たらしい。説明によると、誤発注の値段はストップ安の数値に直されて、「みなし発注」とされるが、これを取り消しできなかった、そうな。いずれにしても、「誤発注」「みなし発注」のテスト、訓練がされていなかった、ようだ。
みずほ証券による誤発注と言うハプニング、事件があった。株価と株数とを入れ間違え、発信してしまった、と言うよくある単純なミスである。双方の数値が近ければ問題にはならないが、かけ離れているとトンデモナイことになる。今回はそれだった。相場は乱高下し、ストップ高、ストップ安を繰り返したそうな。これらの値は悪意ある株売買人が居る事を想定した上限、下限なのだろう。と言うことはこうした間違いに対する歯止めがシステムとして組み入れられていなかった、と言う事になる。ネット証券会社が沢山出来ているのだから、こうした間違いが過去にもあったことは引用した新聞記事からも明らかである。だからこれは人災と言うべきで、勿論入力した人の責任ではない、ある。
・・・と書いたが、1円で61万株と売り注文をだして、誤りに気付き、同じ値段で取り消そうとしたが、東証側ではストップ安の金額57万円で値がついた。だから57万円で61万株を取り消す、とすれば、取り消し行為は成立したと言う。うーーん。消火訓練をしないで、消火器の使い方が判らず、火元に放り投げた、と言う類の笑えない話だ。
松下の温風機の不具合による死亡事故が止まらない。これはおかしい。原因は判っているが、それに対応処置が出来ない、と言える。私から見れば、対応処置が不完全で、それは原因究明が不十分で、判ったと早飲み込みしている、としか思えない。対応処置をしているグループが自縄自縛に陥っている可能性がある。こうした時は外部の素人を入れて、頭を冷して、考える必要がある。
同じような状況にあると思えるのが、三菱ふそうのトラック事故の頻発である。こうした場合、現場の技術者は外部の人間が入ることを拒むのが通例で、会社のトップの賢明な決断が必要となる。それが出来なければ監督官庁の出番である。勿論、ユーザー、市民による追求も大切。一言で言えば、やはり、不勉強と言う事になる。
耐震設計偽装事件はシステムとして性悪説をとっていなかったために歯止めが掛からなかったと言えよう。
大規模な事業、行為、大金が動いている世界では性悪説、間違い、不勉強などなどについて不断のチェックが必要である。
・・・と書いたが、1円で61万株と売り注文をだして、誤りに気付き、同じ値段で取り消そうとしたが、東証側ではストップ安の金額57万円で値がついた。だから57万円で61万株を取り消す、とすれば、取り消し行為は成立したと言う。うーーん。消火訓練をしないで、消火器の使い方が判らず、火元に放り投げた、と言う類の笑えない話だ。
松下の温風機の不具合による死亡事故が止まらない。これはおかしい。原因は判っているが、それに対応処置が出来ない、と言える。私から見れば、対応処置が不完全で、それは原因究明が不十分で、判ったと早飲み込みしている、としか思えない。対応処置をしているグループが自縄自縛に陥っている可能性がある。こうした時は外部の素人を入れて、頭を冷して、考える必要がある。
同じような状況にあると思えるのが、三菱ふそうのトラック事故の頻発である。こうした場合、現場の技術者は外部の人間が入ることを拒むのが通例で、会社のトップの賢明な決断が必要となる。それが出来なければ監督官庁の出番である。勿論、ユーザー、市民による追求も大切。一言で言えば、やはり、不勉強と言う事になる。
耐震設計偽装事件はシステムとして性悪説をとっていなかったために歯止めが掛からなかったと言えよう。
大規模な事業、行為、大金が動いている世界では性悪説、間違い、不勉強などなどについて不断のチェックが必要である。
大規模開発事業の環境アセスメントの関る住民が原告たり得るかどうかを争っていた裁判の最高裁判決があった。結果は殆んどの原告に対しその適格性が認められた。従来は土地収用などに関る地権者だけが原告たり得たのだが、その範囲を大きく広げることを認めた画期的な判決である。
都会の再開発事業は従来許認可権を持つ国・地方自治体が主導し、ゼネコンが実行部隊として参加し、個々人の地権者、地域住民は二次的な受益者として位置づけられていた。こうした大規模再開発構造は結果として地域を破壊してきた訳だが、今回の判決で個人地権者、地域住民の自主性が尊重される事が期待される。
東京の各地で新しい地域活性化が巻き起こる事になるだろう。
都会の再開発事業は従来許認可権を持つ国・地方自治体が主導し、ゼネコンが実行部隊として参加し、個々人の地権者、地域住民は二次的な受益者として位置づけられていた。こうした大規模再開発構造は結果として地域を破壊してきた訳だが、今回の判決で個人地権者、地域住民の自主性が尊重される事が期待される。
東京の各地で新しい地域活性化が巻き起こる事になるだろう。
朝日ドットコムによれば、中国に端を発した河川の汚染は流れ下って日本海、日本海沿岸に及ぶそうな。
日本政府は中国政府に対し速やかに警告を発すべし。今後これに類する汚染事故は中国で頻発する恐れあり。警告を発するだけでなく、技術的支援を申出るべし。日本はかつて1960年代に掛かる事故を頻発し、それらを克服してきた実績があり、その経験を踏まえて、援助すべし。
日本政府は中国政府に対し速やかに警告を発すべし。今後これに類する汚染事故は中国で頻発する恐れあり。警告を発するだけでなく、技術的支援を申出るべし。日本はかつて1960年代に掛かる事故を頻発し、それらを克服してきた実績があり、その経験を踏まえて、援助すべし。