アルギエバ・３５

まつよいぐさの
花を眺めながら
もういい
おまえは休んでいろと
いう声が聞こえたことがあった

おまえは休んでいろ
わたしがやってやるから

あれは
あなたの声だったのですね
獅子の星よ

もうなくしてしまった
記憶の箱に
ひとつだけ残して欲しいものがあるとしたら
それなのです

もう疲れ果てて
ぼろぼろになっていた
娘だったころのわたしを
誰かが愛してくれいると
かすかに聞くことができた
あの甘い響きを

忘れたくないのです