悪魔超人を思わせるほどの残虐性
を発揮するフテブテ君。
彼が僕のもとに歩み寄ってくる。
やれやれ、
俺がいったい何をしたって言うんだ。
友達が一人も出来ない哀れな15歳。
出来れば大人しくしていたい。
高校からは喧嘩したりすると、
停学になるというし。
だが災難というのは、往々にして
降りかかる者に選択の余地は無い。
「よう」とフテブテ君が僕に言いました。
僕は無言。
とにかく座った状態でパンチ食らうと
かなりのダメージになるので、
立ち上がる事に。
「○○中だろ?」とフテブテ君。
なぜフテブテ君が僕の出身中学を知っているのか。
「そーだけど」
「オレ、○○中なんだよ」とフテブテ君。
知らん。
聞いたことない。
フテブテ君は何を思ったか、
僕の中学について語り始めた。
学校創立以来の悪童の巣窟。
突然変異。
高校生たちを狙ったカツアゲ、
店を潰すほどに横行する万引き、
ケンカによる殺傷事件が絶えず、
保護者も先生たちも恐怖に脅え、
卒業式は先生だけでなく在校生も歓喜の涙を流したという。
おいおい・・・。
ジャロに電話してやろうか。
だけど、確かに誇張はされているものの、
否定はできないのである。
でも僕自身に関係することは一部くらいで、
後は知らん。他の連中だ。
フテブテ君は実に僕の出身中学の情報に精通していた。
僕の知っている何人かの名前が挙げられ、
他の中学の誰ソレとどうとかこうとか。
不良というのは、
つくづく何一つ役に立たない情報を集めるのが好きである。
初めて自分の出た中学を恥ずかしいと思った。
そうこうしている内に生徒も集まり、
担任の先生が入ってきた。
フテブテ君も自分の席に戻った。
やれやれ。
大事なお友達探しの時間を
くだらないことに費やしたものだ。
そうして1時間目の休み時間
何も無し。
2時間目の休み時間
何も無し。
3時間目の休み時間。
熟睡。
4時間目~昼休み
早退。
ダメだ~!!!
俺はなんてダメ野郎だ!!
シャイのシャイによるシャイの為の
友達作りの方法は無いのか。
おまけに学校もフケてしまった。
まだ2日目なのに。
学校の途中にある駄菓子屋で、
チェリオを飲みながら友達作りについて悩んでいました。
そのときフテブテ君の顔が浮かんだ。
僕は全力で否定する。
あんな無抵抗の者を傷つけるような奴と友達になれるか。
顔も見たくない。
変なプライドが僕にはあるのだろうか?
いやいや、プライドなんて無いよ。
やはり僕から歩み寄るしか術はないのだ。
チェリオを飲み干して、駅に向かおうとすると、
「おーーーい」との声。
ヤベっ!先生か!?
驚いて振り向くと、
フテブテ君が走ってきます。
「おーい!待てよぉ」
なぁにぃぃぃぃぃ!!
歩み寄ってくんなぁぁぁ!!
「バックレかよ!」と笑いながらフテブテ君。
「俺もバックレてきたから、一緒に帰ろうぜ」
僕は君からバックレたい。
つづく