部屋の中は暗かった。
当たり前だ。
既に2時を回っているのだ。
闇の中で彼女の静かな寝息だけが聞こえる。
最初に闇があった。
そこに誰かが、光あれ、と叫んだ。
そう記された書物がある。
そしてその書物には、こうも記さてもいる。
あらゆる善行も、愛がなければ全ては無益である、と。
完全な絶望というものは無い。
それがどんなに脆弱なものであっても、
我々が生きてゆくには希望が必要なのだ。
僕はキッチンの前に敷いた布団に入り、眠りについた。
翌日は雨だった。
僕は7時に起きて仕事場に向かった。
働く為だけに働く。
そこに自我はあっても自己は無い。
僕は誰かの意志であり、その誰かが属するものの何かだ。
意味などは無い。
「できれば今日は」
今朝、僕が部屋を出るとき彼女は言った。
「話したい事があるから、早めに帰って来てくれる?」
分かった、と僕は言った。
彼女が昼間、何をして、何を食べ、何を思い、
そして何に対して悩んでいるかは僕には分からない。
僕に分かることがあるとすれば、
全ての物事には始まりがあり、終わりがある、ということだけだ。
昼休みに外へ出た。
雨は相変わらず勢いよく降っていた。
そのせいで桜がだいぶ散ってしまっていた。
人や車に踏まれてグズグズになった桜の花びらの塊が、
通りのあちこちにゴミと一緒に溜まっていた。
毎年その光景を見ると、たまらなく憂鬱になる。
だから桜も好きになれない。
当たり前だ。
既に2時を回っているのだ。
闇の中で彼女の静かな寝息だけが聞こえる。
最初に闇があった。
そこに誰かが、光あれ、と叫んだ。
そう記された書物がある。
そしてその書物には、こうも記さてもいる。
あらゆる善行も、愛がなければ全ては無益である、と。
完全な絶望というものは無い。
それがどんなに脆弱なものであっても、
我々が生きてゆくには希望が必要なのだ。
僕はキッチンの前に敷いた布団に入り、眠りについた。
翌日は雨だった。
僕は7時に起きて仕事場に向かった。
働く為だけに働く。
そこに自我はあっても自己は無い。
僕は誰かの意志であり、その誰かが属するものの何かだ。
意味などは無い。
「できれば今日は」
今朝、僕が部屋を出るとき彼女は言った。
「話したい事があるから、早めに帰って来てくれる?」
分かった、と僕は言った。
彼女が昼間、何をして、何を食べ、何を思い、
そして何に対して悩んでいるかは僕には分からない。
僕に分かることがあるとすれば、
全ての物事には始まりがあり、終わりがある、ということだけだ。
昼休みに外へ出た。
雨は相変わらず勢いよく降っていた。
そのせいで桜がだいぶ散ってしまっていた。
人や車に踏まれてグズグズになった桜の花びらの塊が、
通りのあちこちにゴミと一緒に溜まっていた。
毎年その光景を見ると、たまらなく憂鬱になる。
だから桜も好きになれない。