無知の涙

おじさんの独り言

テロリストのパラソル

2014年09月14日 | 小説
気に入った作品を何度も何度も観たり読んだりする性癖がある。

ついでに言うと気に入っている本は何冊でも買ってしまう。古本屋で売られているのを見かけると、どうしても買ってしまう。病的である。最近は読書量そのものが激減しているので、古本屋もほとんど行かないが、一時期はひどいものだった。

音楽はバンドでありさえすれば、新しいものにも積極的に手を出すのだが、とりわけ小説は狭い。

たまに最近の小説を読むこともあるが、2ヶ月くらいすると何も残っていない。名前とかはどうでもいいが、人物たちがどういう事を思い、どういうふうに物語を結んだのかそれさえも忘れてしまうのは、なんというか、やりきれない思いがこみ上げてくる。

もちろんそれは作品のせいというよりは、個人的な能力の問題である。なにしろ容量が少ないので、必要と思うものを残すだけで精一杯で、結局忘れてしまった作品というのは、僕にとって必要のないものとして脳が取捨選択をした結果なのだ。

そうなるとますます新しいものを読もうという気がなくなってしまう。

でもさすがにそれではイカン
という事で、以前にI課長と飲んでる時にオススメ本を訊いてみた。

僕とはおよそ正反対で一定のジャンルに偏らず幅広く読んでいる方なので、そういう方が推す本というものに興味があった。

イチオシが高村勲のリビエラを撃て。

とりあえずこの本から読んでみようと書店に行ってみたが、リビエラを撃てだけがない。三軒まわったが、ない。

仕方ないのでレディージョーカーを購入。その際にテロリストのパラソルも購入。



I課長と飲んでる際にこのテロリストのパラソルが大変面白かったという話題で盛り上がり、また読みたくなっていた。

二十歳の頃にダヴィンチという小説専門の雑誌で紹介されていたのを見たのが読んだきっかけでしたが、その頃には既に、かの性癖がニョキニョキ芽生え始めていたので、この本を手に取ったことはまさに僥倖というしかない。

中年のバーテンで、しかもアル中。そんな男が物語の主人公なのであるが、これがまたハードボイルドでカッコいい男なのである。

文章もすごく情景的で、まるで映像を観ているかのように読み進められる。

だいたいその本が自分に合うか合わないかというのは、冒頭の1ページくらいで決まってしまうように思う。腕相撲をする時に、相手の手を握り込んだ瞬間に勝つか負けるか分かってしまうが、あの感覚によく似ている。

テロリストのパラソルについては、冒頭の8行でもうのめり込んでいた。 

特にこのバーテンが作るホットドッグが美味しそうで、この本を読む度にホットドッグが食べたくなって仕方ない。




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