無知の涙

おじさんの独り言

東北のいま~福島~

2011年07月25日 | 2011年7月 東北

最終日は福島で1泊。

だいぶ運転したので、腕は疲れるし、眠くなるしで、疲れてしまいました。

お世話になったのは、二本松市にある櫟平ホテル。

車を駐車場に入れていると、目の前に1台のワゴン車が止まった。中からサッカーのユニフォームを着た小学生が降りてきた。ワゴン車の中には数名の小学生が同乗していて、さきほど降りた彼は車中にいる友達たちに手をふり、ホテルの中に入っていった。


あれ?どっかのマンションと間違えたかな?と思ったが、間違いなく予約したホテルである。


すぐにそんな事も忘れ、受付をすまして部屋へ案内してもらう。その部屋が最上階のすごい豪華な部屋でビックリしてしまった。

男2人でこんな豪華な部屋に泊まってどうすんだ。

 

最上階なので、眺めもバッチリ。

 

食事するラウンジも、なんか場違いだと感じるほどの雰囲気。食事も絶品でした。

 

露天風呂もあります。

飲み足りない気がしたので、ホテル内にある居酒屋へ行って軽く飲むことに。店主といろいろ話をしてみました。

 そこで初めて知ったのですが、このホテルには福島第一原発20キロ圏内の方が150人避難しているとのこと。

ここに来たときホテルに入って行った小学生は、避難者の家族だったのだ。

「ただ」と店主は言った。「このホテルに泊められるのも、今月一杯なんですよ。来月になったら出て行かなければならない。でも金がない。金がないから働かないとならないけど、家がない。みなさんこれからどうしようか真剣に困っています。原発難民というやつです」

原発難民・・・。

僕は礼を言って店を出た。

さっきまで大勢の人で賑わっていたロビーには、もう誰もいなかった。あの楽しそうだった家族も実は避難者だったのだろうか。僕は照明が落ちた休憩所のソファーに腰を掛けた。どれだけ考えても、どれだけ同情したとしても、僕は明日になれば何食わぬ顔で東京に帰ってゆく。そして明後日になれば何食わぬ顔で東京での日常を送り始めるのだ。

非常灯の寂しい灯りを辿るように、僕は部屋まで帰った。

 

 


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